最強賢者のスローライフ 〜転生先は獣人だらけの辺境村でした〜

なの

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生活魔術で銭湯建設!?村に湯けむりブーム到来

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「風呂、作れないか?」

その一言は、朝食中に突然ライガから放たれた。

「えっ、風呂?」

「村には、湯浴み場はあるが、川を引いただけの簡素なものだ。今の季節はいいが、冬は冷たくてかなわん。……だから、お前のその便利スキルで、なんとかならないかと思ってな」

「……風呂、ねえ……」

俺は生活魔術大全の知識を脳内でめくる。
水の制御、温度調節、空間設計、素材変換……いける……いけてしまう。
むしろ、これをやらずに何をする!俺自身も風呂入りたい。温泉とか最高じゃん。

「やりましょう。でっかいの作ってやりますよライガさん」

「……ふっ。頼もしいな」

そのときライガが見せた、ほんの少しの笑みが……反則級だったのは内緒だ。

***

三日後。

「うおおお!すげえええ!」

「なんだこの建物!?木と石でできてるのに、なめらかでツルツルだ!」

「湯気が、湯気がもくもくしてる~!」

完成したのは村の広場の一角に建つ簡易銭湯施設『ゆけむりの館』。
設計は脳内にあった現代銭湯+温泉旅館の折衷せっちゅうスタイル。もちろん男女別の脱衣所つきで源泉加熱方式(魔力式ボイラー搭載)

「えっ、これどう見ても【のんびりスローライフ】じゃないよね!?全力で働いてるよね俺!?」

「だが良い湯だ。入ってみろ、智也」

「えっ、あっ、ライガさん!?上半身裸……っていうか毛が濡れてツヤツヤしてる……!!」

「どうした。入らないのか?」

「こ、心の準備ってものが……というか距離が!近いですってば!」

視線が!狼耳が!尻尾が!全部攻撃力高いのなんなんだこの男!!

「ほら、これを見ろ」

ライガが指差した先、湯けむりの中で屈強な熊獣人がぷかぷか浮かんでいた。あれ……人が溶けてる?

「クマリオさん、完全にゆであがってない……?」

「村の者たちが、ここまで笑顔になるとは思わなかった」

ライガはふっと目を細めた。

「お前が来て、村が変わった。……俺も、変わったかもしれん」

「……っ、ずるいってば、そういうの」

この世界チートスキルとか転生とかあるけど、たぶん一番ずるいのは、ライガの言葉の重みだ。

***

夜、風呂の建物にぽつんと灯る明かりの中で、俺はひとり魔力調整をしていた。

【……魔力工学:極、空間設計:極、生活魔術大全】

全部便利すぎて、やればやるほどできることが増える。
でも、それってつまり……

「俺、これからも働き続けるってことじゃない……?」

現代で社畜、異世界でも賢者(強制)
たしかに想像してた【のんびりスローライフ】とは、ちょっと違うかもしれない。

でも……

「智也」

ライガが、タオルを肩にかけて湯上がりの色っぽさ全開で現れた。
月明かりの下で濡れた髪がしずくを落とす。思わず見惚れそうになる。やめてくれないかな……

「……今日は、ありがとう」

「どういたしまして。っていうか、こっちは君のせいで寿命縮んでるけどな!」

「……もっと縮めてやろうか?」

「やめろォォォ!!冗談きかない顔やめて!狼男が本気出すと人間死ぬの!!」

そんなやりとりをしながら、俺はふと思う。この世界でも俺は働いてる。でも、働く理由が前とは、ちょっと違う。この村にいたい。ライガの隣で、もう少し……それって、社畜のくせにけっこう贅沢な気がするけど……悪くないよな!?

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