最強賢者のスローライフ 〜転生先は獣人だらけの辺境村でした〜

なの

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好きって、どういう気持ち?

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翌朝。
智也は珍しく、早く目を覚ました。

ベッドの脇では、ライガが気持ちよさそうに寝息を立てている。大きな体を窮屈そうに丸めながら、智也の側を離れようとしないその姿に、ふと胸が締めつけられる。

「……昨日、また言ってたな。俺だけ見ろ、って……」

その声に返事はない。
けれど、智也はライガの寝顔をしばらくじっと見つめていた。

***

その日、智也は村の薬草園で子どもたちと作業をしていた。

春の陽気が心地よく、笑い声がそこかしこに響いている。けれど、ライガの姿が見えないことに、いつもより空気が軽すぎると感じてしまう自分に、気づいてしまった。……なんでだよ。ちょっと、依存しすぎじゃないか?

そこへ、ユノが近づいてきた。

「ライガなら、外の森の見回りだよ。……最近、魔獣の気配が強まってるって」

「魔獣……」

「あいつなりに、君を守ろうとしてるんだろうね。いつも、君を中心に動いてる」

「……あいつ、なんでそこまで……」

ユノは少し笑った。

「それが好きってことだよ。見返りも理由もなく、大事だと思う人のために動く。……君は、それ、されたことない?」

智也は、言葉を詰まらせた。

「分かんないよ、そういうの。俺、前の世界じゃ、そんなの全部避けてたから」

「でも今は、違うでしょ?」

智也は、静かに目を伏せた。

***

夕暮れ。
森から戻ったライガは、いつものように黙って智也の隣に腰を下ろした。

「怪我、してない?」

「してない」

「……そっか」

それだけの会話。けれど、沈黙の奥にある熱が痛いほど伝わってくる。

「なあ、ライガ」

「ん?」

「好きって、どういう気持ちだと思う?」

ライガは、少しだけ目を見開いて、それから迷いなく答えた。

「……その人の笑顔が、他の何よりも大事になること。傷つくなら代わってやりたいし、泣くくらいなら、笑わせたい。……できるなら、その人の全部を抱きしめて守ってやりたいって思う」

智也は、胸の奥がひどく熱くなるのを感じて、黙り込んだ。

それは、まさに、今のライガが自分にしてくれていること。
でも、同時に……智也自身の心の中にも、似たような感情が芽生えていることに気づいてしまった。

「……俺さ。もうちょっとで、分かるかもしれない。お前の気持ちも……俺の気持ちも」

その言葉に、ライガは智也の手を、そっと取った。

「急がなくていい。……けど、俺は待たない。気づいたなら、逃がさない」

智也は、今度は手を振り払わなかった。ただその熱を、ぎこちなくも受け止めようとしていた。

夜の風が、静かに二人の間を吹き抜ける。ふたりの距離は、確かに、少しずつ……けれど確実に、近づいていた。

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