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君がいるから、僕は戦える
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漆黒のローブに身を包んだ男の声が、村の空気を凍りつかせる。智也の肌をなぞるように、冷たい魔の気配が忍び寄ってきた。
「……誰だ、あいつは」
「……元は、同じ騎士団にいた奴だ。王都で暗殺と政治の闇に手を染めた闇の従者……そして今は、俺が殺せなかった過去の亡霊だ」
ライガは静かに言った。けれどその横顔は、怒りでも恐れでもなく「悔しさ」を滲ませていた。
「へえ、まだそんな目ができるんだな。感情を殺した獣が、人ひとり守るために吠えるなんて。……滑稽だな」
男の手が軽く動くと、空気が歪み、闇から異形の魔獣が呼び出された。
数は3体。どれも智也が今まで見た中で最も異質で、禍々しい。
「……智也、逃げろ」
「やだ」
「逃げろって言ってんだ!」
ライガが吠える。けれど、智也は一歩も退かなかった。
「怖いよ。でも……逃げたくない。俺、やっと気づいたんだ。ライガと一緒にいたいって思うほど、同じものを背負いたくなる。その背中だけじゃなくて、その痛みも……全部、俺が受け止めたいって思ったんだ」
ライガの目が、驚きと……静かな感情で揺れる。
「……お前、それって」
「俺も、好きだよ。お前が」
その瞬間、智也の胸の奥が、ぽうっと淡く光った。懐から溢れ出した光の粒が、ゆっくりと空へ昇る。
「これは……!」
ユノが息を呑んだ。
「智也くん……君の中の賢者の核が反応してる。これは、伝説級の魔法具と同調する覚醒の兆候……!」
智也の手のひらに、静かに魔法陣が浮かび上がる。それはまるで長い眠りから目覚めたような神聖な輝きだった。
「……俺、やるよ。ライガの隣に立てるように、強くなる」
ライガは智也を見て、そして微笑んだ。それは、今までで一番優しく、誇らしげな笑顔だった。
「じゃあ、俺の背中は預けねぇ。……お前と一緒に、前に出る」
智也とライガ、ふたりは並んで魔獣に向かった。
闇が襲い来る中、ふたりの手が重なり光と獣の雄叫びが、戦場に響いた。
闇の魔獣の鋭い牙、異形の爪。常人なら恐怖で立ち竦むその姿を前に、智也は逃げなかった。その隣には、ライガがいたから。
「行くぞ、智也!」
「うん、任せて!」
ライガが前衛で魔獣の攻撃を受け流し、智也は背後から魔法陣を描く。光がほとばしり、空間が軋む音とともに、炸裂する聖光の刃が魔獣の腕を貫いた。
「っ、効いてる……!」
だが、敵はそれだけではなかった。
ローブの男、ゼヴェルと呼ばれるかつての王都騎士は、低く笑っていた。
「まさか賢者が、この村に再誕するとはな。だが、運命は変えられない。この世界は絶望の上に築かれる。お前たちがどれほど足掻こうとも、なっ!」
ゼヴェルの指先が虚空を裂く。魔の渦が開き、さらに巨大な魔獣……かつて人だった何かが這い出てくる。
「……あれは、禁忌融合……!」
ユノの声が震えた。
「魂と魔素を強制的に融合させた禁呪。……そんなの、智也くんじゃまだ……!」
「いや、大丈夫」
智也がふいに、静かに言った。その声は震えていなかった。覚悟を定めた者の、それだけが持つ光があった。
「俺には、ライガがいる。あの人が隣にいる限り、俺は絶対に負けない」
その瞬間、智也の足元に浮かんだ魔法陣が、虹のように光を放った。空気が澄み、周囲の闇が押し返される。
「それは……時律結界!」
ユノが呆然とつぶやく。
「時間魔法の一種。自分と周囲の空間を光の流れで操る超上位魔法……!そんなこと人間に……!」
「行け、智也!」
ライガが魔獣に向かって突っ込む。その瞬間、智也が時間を歪めるようにして空間を操り、ライガの一撃を導く。雷鳴のような衝撃音。巨大な魔獣が、悲鳴も上げぬまま、塵と化した。
「……はぁ、はぁ……!」
肩で息をする智也の背に、ライガがそっと手を置いた。
「すげぇな……お前、本当に……」
智也は振り向き、少し照れたように笑った。
「俺、やっと分かったんだ。守られるだけじゃなくて、守りたいって気持ち。それをくれたのは……お前だよ、ライガ」
ライガは黙って智也を引き寄せ、額を重ね、そっと囁いた。
「……好きだよ、智也。俺の全部を賭けても、お前を守りたいって思えるのは、お前だけだ」
その言葉に、智也はそっと目を閉じ頷いた。
「……俺も。お前がいるから、俺は……戦える」
そして、倒れ伏すゼヴェルの目が、かすかに笑った。
「……その絆こそが、運命の起点か……。面白い。もっと、見せてもらうぞ。この異世界の歯車がどう回るのかを……な」
そう言ってゼヴェルは暗闇に消えて行った……。
「……誰だ、あいつは」
「……元は、同じ騎士団にいた奴だ。王都で暗殺と政治の闇に手を染めた闇の従者……そして今は、俺が殺せなかった過去の亡霊だ」
ライガは静かに言った。けれどその横顔は、怒りでも恐れでもなく「悔しさ」を滲ませていた。
「へえ、まだそんな目ができるんだな。感情を殺した獣が、人ひとり守るために吠えるなんて。……滑稽だな」
男の手が軽く動くと、空気が歪み、闇から異形の魔獣が呼び出された。
数は3体。どれも智也が今まで見た中で最も異質で、禍々しい。
「……智也、逃げろ」
「やだ」
「逃げろって言ってんだ!」
ライガが吠える。けれど、智也は一歩も退かなかった。
「怖いよ。でも……逃げたくない。俺、やっと気づいたんだ。ライガと一緒にいたいって思うほど、同じものを背負いたくなる。その背中だけじゃなくて、その痛みも……全部、俺が受け止めたいって思ったんだ」
ライガの目が、驚きと……静かな感情で揺れる。
「……お前、それって」
「俺も、好きだよ。お前が」
その瞬間、智也の胸の奥が、ぽうっと淡く光った。懐から溢れ出した光の粒が、ゆっくりと空へ昇る。
「これは……!」
ユノが息を呑んだ。
「智也くん……君の中の賢者の核が反応してる。これは、伝説級の魔法具と同調する覚醒の兆候……!」
智也の手のひらに、静かに魔法陣が浮かび上がる。それはまるで長い眠りから目覚めたような神聖な輝きだった。
「……俺、やるよ。ライガの隣に立てるように、強くなる」
ライガは智也を見て、そして微笑んだ。それは、今までで一番優しく、誇らしげな笑顔だった。
「じゃあ、俺の背中は預けねぇ。……お前と一緒に、前に出る」
智也とライガ、ふたりは並んで魔獣に向かった。
闇が襲い来る中、ふたりの手が重なり光と獣の雄叫びが、戦場に響いた。
闇の魔獣の鋭い牙、異形の爪。常人なら恐怖で立ち竦むその姿を前に、智也は逃げなかった。その隣には、ライガがいたから。
「行くぞ、智也!」
「うん、任せて!」
ライガが前衛で魔獣の攻撃を受け流し、智也は背後から魔法陣を描く。光がほとばしり、空間が軋む音とともに、炸裂する聖光の刃が魔獣の腕を貫いた。
「っ、効いてる……!」
だが、敵はそれだけではなかった。
ローブの男、ゼヴェルと呼ばれるかつての王都騎士は、低く笑っていた。
「まさか賢者が、この村に再誕するとはな。だが、運命は変えられない。この世界は絶望の上に築かれる。お前たちがどれほど足掻こうとも、なっ!」
ゼヴェルの指先が虚空を裂く。魔の渦が開き、さらに巨大な魔獣……かつて人だった何かが這い出てくる。
「……あれは、禁忌融合……!」
ユノの声が震えた。
「魂と魔素を強制的に融合させた禁呪。……そんなの、智也くんじゃまだ……!」
「いや、大丈夫」
智也がふいに、静かに言った。その声は震えていなかった。覚悟を定めた者の、それだけが持つ光があった。
「俺には、ライガがいる。あの人が隣にいる限り、俺は絶対に負けない」
その瞬間、智也の足元に浮かんだ魔法陣が、虹のように光を放った。空気が澄み、周囲の闇が押し返される。
「それは……時律結界!」
ユノが呆然とつぶやく。
「時間魔法の一種。自分と周囲の空間を光の流れで操る超上位魔法……!そんなこと人間に……!」
「行け、智也!」
ライガが魔獣に向かって突っ込む。その瞬間、智也が時間を歪めるようにして空間を操り、ライガの一撃を導く。雷鳴のような衝撃音。巨大な魔獣が、悲鳴も上げぬまま、塵と化した。
「……はぁ、はぁ……!」
肩で息をする智也の背に、ライガがそっと手を置いた。
「すげぇな……お前、本当に……」
智也は振り向き、少し照れたように笑った。
「俺、やっと分かったんだ。守られるだけじゃなくて、守りたいって気持ち。それをくれたのは……お前だよ、ライガ」
ライガは黙って智也を引き寄せ、額を重ね、そっと囁いた。
「……好きだよ、智也。俺の全部を賭けても、お前を守りたいって思えるのは、お前だけだ」
その言葉に、智也はそっと目を閉じ頷いた。
「……俺も。お前がいるから、俺は……戦える」
そして、倒れ伏すゼヴェルの目が、かすかに笑った。
「……その絆こそが、運命の起点か……。面白い。もっと、見せてもらうぞ。この異世界の歯車がどう回るのかを……な」
そう言ってゼヴェルは暗闇に消えて行った……。
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