オメガの僕が運命の番と幸せを掴むまで

なの

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「熱い、苦しい」なぜ?なんなのこれ?どういうこと?もしかして…これが
発情ヒート?学校でオメガだけが集められて勉強したことがある。

3ヶ月に1週間程度、周期的にくるのが発情期だ。期間中は発情して性交することしか考えられなくなる。
そのため性交もしくは自己処理で欲を発散させるしか対処の方法がない。
抑制剤を服用して発情期の症状を和らげることができるけど、体質に合わずに抑制剤が効かない人もいると聞いたことがある。

「どうしよう…」そう呟いた声は小さく弱い声だった。僕は…発情期ヒートが来てしまった。あれほど来たくないと思って薬を飲んだのに…僕は…これからどうしたらいいの?

ふと天井を見上げると、いつも見ていた天井じゃないことがわかった。ここはどこだろう?寝返りを打った途端、布団に擦れた身体からは熱が上がってくる感じがした。しかも今までわからなかったくらい後孔が濡れている感じがする。
「いや…嫌だ…」
身体が熱くて仕方がない。腕には点滴の針が刺さってなかった。布団をめくってズボンとパンツを下ろした。もうこの熱を鎮めないと…でもどうやって?今まで発情期が来ていない僕は自分で慰める方法を知ってるけどやったことがない…怖い…どうしよう…と思ったその時、ガチャとドアが開いて北見先生と綺麗な男性が一緒に入ってきた。

「あさひくん気分はどう?」
僕は下半身に急いで布団をかけた。

「身体が熱くて…変なんです」

「うん。発情期ヒートってわかるよね?抑制剤打ったんだけどどうかな?辛いかな?初めてだから」

「初めまして、僕、達也の番の春樹です。僕もオメガだから色々と教えるからね。大丈夫だよ」

「はい…」

「じゃあ達也、あとは任せて。幸樹さんにも大丈夫って伝えておいてね」

北見先生はそのまま部屋を出て行ってしまった。

「本当は自己紹介したいんだけど…それはあとにしようか…あさひくんは自分で処理したことあるかな?」

「ありま…せん」

「そうか…発情期ヒート初めてだもんね。でも今、体が熱くて仕方ないでしょ?処理しないと、どんどん苦しくなるから1回出そうか?やり方教えるから…横向ける?」

僕は横を向いた。体が布団に擦れるだけでも何かわからないものが込み上げてくる感じがした。

「布団取るね。あぁ…服、脱いでるんだね。熱かったかな?身体は…もう大丈夫そうだね。ちょっとお尻にアザがあるけどぶつけたのかな?」
後孔が濡れて何か垂れている感じがする。自分のモノも立ち上がっていて恥ずかしくて俯いていると「大丈夫だからね。恥ずかしいことなんてないから…本当は身体を繋げられるアルファがいてくれたらいいんだけど…まだ無理だもんね。そのまま楽にしてて。今、準備するからね」
春樹さんはそう声をかけると青い手袋をつけながら
「あ!そうだ、達也から聞いたけど、この匂い嗅いだの?」

そう聞かれて思い出した。そういえば、あの匂いを嗅いでるときに心臓がドクッと音を立てて…そして発情期を迎えてしまった。でもとても落ち着く香りだった。また嗅いでみたい。あの森の中にいるような…それでいて爽やかで知ってるような香りがした気がした。「また嗅いでみたいです」そう答えていた。

すると、これにつけようか…側においてあったタオルにその香水をつけた。一気に香りが広がり思わずタオルを握りしめて鼻を埋める。「いい匂い。嗅いだことあるような…大好きな香りがします」

「それはよかった」
「はい。もっと嗅いでいたいです」
「うんうん。よかった。じゃあその匂い嗅ぎながら1回いっちゃおう。僕が手伝うから、変な感じがしてくるけど気持ち良くなるから、そのまま身を任せてね。これから、あさひくんのお尻に指を入れて奥にある場所を刺激するからね」そう説明すると後孔に指を這わした。

身体がゾクゾクして、ザワザワする。何かが這い出るような…そう思ってると誰にも触られたことがない後孔に指が入ってきた
「あっ…あ…」
痛くはない。自分じゃないような声が自然に出てしまう。

「声、出していいからね。大丈夫だから」
もっと、もっと…刺激が欲しくてタオルに顔を埋める。匂いを嗅いでいると誰かに抱きしめて欲しくなった。

「もっと気持ちよくなれるからね」

「ヒャー」中を触ってた指が一点を触ったときに今までにない快感が走った。
「ここが、あさひくんのいい所だね。気持ちいいことに集中しようね」

春樹さんの心地よい声が響く。いい場所を擦られたりして腰が自然に揺れて声が出てくる。

「あさひくん、自分の触れるかな?擦ってごらん?できなかったら僕がするよ」その言葉で僕は初めて自分のモノを握った。最初はゆっくり徐々にスピードを上げて擦っていく。それに合わせて中も掻き回したり、擦られたりして快感の波が走った。
息が上がり、身体が跳ね、背中をしならせた。
「はあっ…あっ…ああ!」絞り出すような声を上げながら僕は初めて欲望を吐き出した。その途端、下半身の力が一気に抜けて脱力した。

「よく頑張ったね」そう言って手袋を外した手で頭を撫でてくれた。でもその手は僕の求めていた手ではない。僕が欲しい手は…そう思いながら僕は初めての快楽と欲を発散した疲れで眠ってしまった。
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