オメガの僕が運命の番と幸せを掴むまで

なの

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みんなと話が終わって、あさひが落ち着いたのをみて俺は全部正直に話をしようとおもった。

「あさひ、俺の話を聞いてくれるか?」

「話…ですか?」

「そう。俺のこともっと知って欲しくて…でも嫌われるかもしれないけどな。もしそうなら仕方ないけど…」  

「なんで…ですか?」

「あさひは俺と釣り合わないって言ったよな。でも俺はそんな大した人間なんかじゃないってわかってもらうためだよ。ただの立花幸樹という1人のアルファなだけだ。だから聞いて欲しいんだ」

俺はあさひを抱きしめながら話をした。アルファの両親から生まれた俺はもちろんアルファだった。小さい頃からなんでもできた。できて当たり前だとも言われきた。
2個下に妹の雪乃が生まれた。
でも雪乃はオメガだった…両親は俺に期待をしていたし、俺も人を救いたい。守りたいって警察官になった。
それなのに…俺は都会の生活にすっかり馴染んでしまって、なかなか帰ってこれずにいた。
そんな時、両親から連絡がきたんだ、雪乃に番ができたって。最初はびっくりしたけど、そのあと雪乃が幸せそうに連絡してきたからよかったって思ったのに…相手は酷いやつでさ。雪乃をすぐに捨てて他に番を作った。しかも俺がそのことに気づかないうちに両親は雪乃を施設に送った。抑制剤もあまり効かなかったみたいで…その施設が酷い施設で人を人とみない、家畜同然の扱いをしていたと後で聞いた。俺はアルファだから見舞いに行って顔を見ることも許されなかった。番の匂いがない中で薬も効かなくて辛かったんだろう。心も身体も壊れてしまった雪乃は自殺したんだよ。
俺がちゃんとこっちに帰って来てれば雪乃は死ななかったんじゃないかって、ずっと思ってる。きっと雪乃も…だからあさひの言うような立派な人間じゃないんだ。俺こそ、こんなんだからあさひと釣り合わないんじゃないかって思ってる。でもな。俺たちは運命の番なんだよ。だからあさひが俺と番になりたいと思ったときには…一緒になりたい

あさひは涙を溢しながら俺の話を聞いてくれた。そして
「立花さんも辛かったんですね。僕、何も知らなくて…ごめんなさい」

「あさひのせいじゃないから」

「今、立花さんのご両親は?」

「あぁ…元気にしてる。親父はこの街の町長だ。それなのに娘1人も守れなかったよ」

「そうだったんですね。でもなんで警察官をやめたんですか?」

「雪乃のことがあって番がいるのに捨てられたオメガは番の匂いで安心するって聞いてな。その匂いがあれば薬が効かない人も穏やかに生活できるんじゃないかって学校に通って勉強したんだ」

「凄いですね。そんな風に思ってくれてるお兄さんのこと凄いって思ってますよ」

「そんな事ないよ」

「だって佐竹さん。立花さんがいてくれてよかったって言ってましたよ。立花さんがいてくれたから仕事もできるようになったって。母さんも…立花さんに会えてたら…よかったのに…」

「ごめんあさひ、辛いこと思い出させて…」

「でもよかったです。立花さんの話が聞けて。僕、立花さんの匂いは好きだけど…人を好きになった事がないからわからないんです。立花さんの匂いが好きなだけじゃないかって…薬の影響で番だと認識してないんじゃないかって…」

「確かに運命の番は匂いでお互いを認識する。でもそれだけじゃないから。これからあさひに好きって思われるように頑張るから。だから、俺から逃げないで」

「立花さん、でも僕…」

「まだ何か不安か?」

「叔父さんと叔母さんに見つかったら連れ戻されるかもしれません。お金持ちのアルファの所に…」

「大丈夫だ。そんな事はさせないし、そんな事もうできないから」

「なんでですか?」

「もうそんな人達のことは忘れていいから。あさひの家族は俺がなるから」

「でも不安で…もし見つかったらって」

「大丈夫。大丈夫だよ」震える肩を抱きしめて背中をさすってやった。そんなに酷かったのか…あの2人以外にも酷いことをされたと聞いてたからな。怯える気持ちもわかる。

今は証拠を集めてる最中だけど、全部揃ったら警察にあの2人と従業員を突き出すつもりでいる。
オメガを守る法律が少しずつ動き出してる今がチャンスだと…
オメガにも人権がある。そして守られる、守っていかなければいけない1人の人間だということを…

そしたらこの世界も変わるだろう。理不尽に捨てられたり、酷い施設がなくなることを願っている。





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