オメガの僕が運命の番と幸せを掴むまで

なの

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巣作りが上手くいったのが嬉しかったのか、あさひは自分が作った巣をなかなか壊そうとはしなかった。
確かに初めて作ってもらって俺も嬉しかったのだが、それでも、あさひにわからないように1枚ずつパジャマやシャツ、パンツを取り出した。そうじゃないと俺の着る服がクローゼットにほとんど残ってなかったのだから…でもまだ発情期のあさひに「服が欲しいから巣を壊していい?」そんなことを聞いて泣かれては困る。それでなくても初めて巣を作ってくれた時に「嫌われたらどうしよう。巣に入ってくれなかったらどうしよう」と泣いていたんだから…そんな悲しい思いはさせたくない。俺の服はなんとかなるだろう。ついつい番には甘くなってしまう。初めてだが仕方がないだろう。

結局、あさひの発情期は5日経ってようやく終わりを迎えた。
巣にあった服を片しながら
「あさひ体調はどうだ?」と聞いてみた。

「立花さん、ご迷惑をおかけしました。僕、佐竹さんの家に戻ります。送ってくれませんか?」

「あさひ何言ってるの?あさひの家はもうここだよ。だって俺たち番になったんだから」

「でも…」

「大丈夫。心配しなくてもいいから…だから本当の番になろう」
そう言って俺は番契約書と婚姻届を取り出した。

「これ…」

「俺はあさひを手放すつもりはないよ。これからずっと一緒だから。色々、考えるかもしれないけど、明日、達也たちに承認になってもらおうな」

「立花さん…」

「あさひ、あさひはこれから立花になるんだから名前で呼んでくれないか?」

「えーっと、幸…樹…さん」

「よく言えました」そう言って頭を撫でてやると目が潤みはじめた。

「どうした?」

「僕、幸せになってもいいんですか?」

「もちろん。俺が世界で1番幸せにするよ」
抱きしめると俺の背中にしがみついて声も出さずに泣いていた。
色々、苦しいことを思い出したんだろう。辛いこと、苦しいこと…全部、忘れるくらい幸せにしてやりたい。あさひの背中を撫で続けた。結局あさひは泣きながら眠ってしまった。まだ疲れていたんだな。俺もあさひを抱きしめて眠りについた。

翌朝、まだ眠ってるあさひの横で、俺は達也に電話をかけた。
「おはよう。もう起きてたか?」

「あぁ…子どもたちに朝から起こされたよ。それで?あさひくんは落ち着いた?」

「多分、匂いも落ち着いてると思う」

「今日、来るのか?」

「その予定なんだが、何時ごろに行けばいいかと思って電話した」

「そうか、今日は予約が立て込んでて、病院が終わる17時に来てくれないか?」

「わかった。じゃあその頃に行くから。頼むな」

「幸樹…よかったな。幸せになれよ」

「ありがとう。じゃあ後で」
電話が終わってもまだ眠っているあさひを抱きしめると、俺の胸に擦り寄ってくる。可愛くて頭を撫でてやると嬉しそうに笑みを浮かべていた。
「可愛いな」つい心の声が漏れてしまう。
あさひの髪をかき分け、おでこにキスをして俺は朝食を作るために起き上がった。

あさひには言ってないが、1人暮らしが長いせいか、家事は全てできる。自慢じゃないが、料理するのは得意だ。いつか、あさひと料理ができるだろうか?とりあえず洗濯を仕掛けて、朝ごはんは何にしようか…と思って冷蔵庫を開けた時に電話がなった。

「もしもし…」

「立花先輩早くにすみません。小野です」

「どうした?」電話をくれてのは警察官時代の俺のバディの小野からだった。

「この前、言われていた三浦あさひさんの件ですけど」

「わかったのか?」

「はい。あの2人、自分たちが経営していた印刷工場の水増し請求をしていました。それを従業員のせいにして…損害賠償責任をさせようとしてました。それと、お金は持ってるけど番いがいないアルファにオメガの斡旋する違法な業者と提携してキックバックをもらっていました。あさひさんを行かせようとしていた方はその業者の名簿に上がってた1人のようです。業者を介すとお金がもらえないと思って直接交渉をしていたようです」

「そうか、色々調べてくれてありがとう」

「いえ…2人は詐欺罪で逮捕されました。あと、あさひさんのお母様は、あさひさんにお金を残していたみたいです。それも自分たちの豪遊のために使ってて、これから工場も家も売って、あさひさんに返済予定です。先輩のお金はまだ手をつけてなかったので、今後返却予定です。あさひさんの怪我ですが、今、被害届を出しても、怪我をしたその日に届を出さないと傷害罪として立件が難しいじゃないですか、なので目撃者やカメラの映像の証拠を集めました」

「証拠…あったのか?」

「はい。暴行をしていた1人がその映像を撮り溜めてたんです」

「バカなことをする奴もいるんだな」

「変な性癖を持ったやつで、他にもオメガを虐めてる映像が出てきました」

「小野、こんな俺のためにありがとな」

「お礼なんて言わないでください先輩。先輩と一緒に仕事できないのは寂しいですが、姉を助けてくれましたから」

「それは…」

「先輩は番をなくしたオメガの救世主ですから」

「そんなことないのに…」

「じゃあ先輩、また連絡します」

「ありがとな」
こんなに早く証拠が見つかるなんて、あさひは辛いかもしれないけど、これであの従業員たちにも制裁を加えることができる。
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