オメガの僕が運命の番と幸せを掴むまで

なの

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結局、僕は立花さんを求めた。あんなに嫌だと思ってた行為は番を受け止めるだけで少し落ち着く。立花さんは僕が落ち着くと水分や、ご飯を食べさせてくれる。まるで雛鳥のように、甲斐甲斐しくお世話をされてしまった。
そんな日が3日を過ぎた頃、ようやく発情期が終わりそうな気がした。僕から発するフェロモンの匂いが前よりも少し落ち着いてきたと教えてくれて、僕自身も行為をしたいという気持ちが少しなくなってきたと思う。だいたい1週間前後だが、前回よりも番ができたから落ち着くのが早いのかと思っていた…

「あさひ念の為、発情期が終わった頃、病院行くぞ」

「病院ですか?」

「一応、みんなには連絡済みだが、心配してるからな」

「立花さんはいいんですか?」

「何が?」

「僕と番になってしまって…本当は…」

「あさひ、何回も言ったよ。忘れちゃった?」

「何が?」

「俺があさひを番にしたかった。俺だけのオメガなんだよあさひは。俺の方が謝らないといけない。本当はあさひの気持ちを待って番になりたかったのに…悪かった」

「いえ…僕は立花さんでよかったです。大事にしてくれてるのわかったので、それに…番ができたら他のアルファに触られるだけで嫌悪感が出ると聞きます。だから…きっと叔父、叔母も他のアルファと番ない僕のことは…でも、お金は返さないといけないので、働きたいと思います」

「そうか…あっ悪い電話だ」
そう言って立花さんは出てってしまった。これから先どうしようか?

「悪いあさひ、ちょっと用事ができて出かけることになった。留守番頼んでもいいか?」

「留守番ですか?」

「あぁ…夕方前には戻ってこられると思う。誰か来ても出なくていいから。頼んだぞ。まだ身体も辛いだろうから寝てていいから」
そう言って立花さんは出てってしまった。

1人ぼっちの部屋はなんだか違って見えた。僕の側にずっといてくれた立花さんがいなくて急に心細くなってしまった。
ベッドから降りてドアを開けると他にも3つドアが見えた。階段を降りるとキッチンとダイニングがあって
離れた所にもドアがあった。そっと覗くとたくさんの香水の瓶が置いてあった。ここで香水を作ってるんだろう。この1つ1つが番に捨てられたオメガの人の力になるんだ。凄い仕事だな。

久しぶりに起きてたからか、なんとなくだるくて疲れてしまった。ベッドに戻ろう。と階段を上がり、ベッドに横になった。
1人のベッドは広すぎて寂しくなってしまった。思わず立花さんの匂いがする枕に顔を埋めた。まだ足りない…ベッドの横にあるクローゼットを開けた。

「立花さんの匂いがする」
僕はかけてあった半袖のTシャツ、や引き出しからパンツやパジャマなど、立花さんの服をベッドに置いていった。立花さんの匂いがいっぱいする服の中に潜ってみた。立花さんの匂いが僕の身体を包み込んでくれてるようで、それだけで僕は履いていたパンツに染みを作ってしまい、お腹の奥が疼いてしまう。
早く帰ってきてほしい。立花さんは僕の巣に入ってくれるだろうか?褒めてくれるだろうか?だんだん不安になってきてしまった。
グスッ…涙が頬を伝って枕に染みを作る。

オメガの巣作りは聞いたことがあったけど、僕自身が作るなんて思っても見なかった。でも巣作りが失敗して番に嫌われたと聞いたこともある。嫌われたくない立花さんには…立花さん…会いたい…その時、ガチャとドアが開く音がした。

「あさひ…まだ寝てる?ってこれは…あさひ出て来れるかな?」そう立花さんに呼ばれた。涙で濡れた顔を隠したまま服の山から手を出すと
「俺の為に巣作りしてくれたんだね。上手にできてるよ。俺も入っていいかな?」そう言うと手をギュッと握ってくれた。

オメガの巣作りは聞いた事があった。でもこんなに早く作ってくれたと言う嬉しい気持ちと俺がいなくて寂しいかったんだと思うと切なくなった。
「あさひ寂しかった?ごめんね。もうどこにも行かないから」そう言うと

「立花さん…ギュッてして」
そんな可愛いおねだりを言われてしまった。あさひの顔を見ると涙に濡れた顔が見えた。
「あぁ。ギュッてしよう。寂しくて泣いたのか?」

「違うっ」

「じゃあどうした?俺に教えて?」

「あのね…巣作りしたんだけど、立花さんが入ってくれなかったらどうしようって…上手じゃないって嫌われたらどうしようって思ったら」

「上手だよ。オメガの巣作りなんて初めて見たけど、あさひは上手に作ってくれたよ。ありがとう」

「本当に?」

「あぁ…本当に。あさひありがとう」

「立花さん、大好き」と思いっきり抱きついてくる。甘えたなあさひを見られるなんて。なんて嬉しいんだろう。俺たちは初めての巣の中で愛を確かめあった。

あさひを抱きしめてやると俺にしがみつくように抱きついてくる。本当にかわいい。この番が幸せになるように、もっともっと頑張らないと…
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