24 / 30
25
しおりを挟む
結局、僕は立花さんを求めた。あんなに嫌だと思ってた行為は番を受け止めるだけで少し落ち着く。立花さんは僕が落ち着くと水分や、ご飯を食べさせてくれる。まるで雛鳥のように、甲斐甲斐しくお世話をされてしまった。
そんな日が3日を過ぎた頃、ようやく発情期が終わりそうな気がした。僕から発するフェロモンの匂いが前よりも少し落ち着いてきたと教えてくれて、僕自身も行為をしたいという気持ちが少しなくなってきたと思う。だいたい1週間前後だが、前回よりも番ができたから落ち着くのが早いのかと思っていた…
「あさひ念の為、発情期が終わった頃、病院行くぞ」
「病院ですか?」
「一応、みんなには連絡済みだが、心配してるからな」
「立花さんはいいんですか?」
「何が?」
「僕と番になってしまって…本当は…」
「あさひ、何回も言ったよ。忘れちゃった?」
「何が?」
「俺があさひを番にしたかった。俺だけのオメガなんだよあさひは。俺の方が謝らないといけない。本当はあさひの気持ちを待って番になりたかったのに…悪かった」
「いえ…僕は立花さんでよかったです。大事にしてくれてるのわかったので、それに…番ができたら他のアルファに触られるだけで嫌悪感が出ると聞きます。だから…きっと叔父、叔母も他のアルファと番ない僕のことは…でも、お金は返さないといけないので、働きたいと思います」
「そうか…あっ悪い電話だ」
そう言って立花さんは出てってしまった。これから先どうしようか?
「悪いあさひ、ちょっと用事ができて出かけることになった。留守番頼んでもいいか?」
「留守番ですか?」
「あぁ…夕方前には戻ってこられると思う。誰か来ても出なくていいから。頼んだぞ。まだ身体も辛いだろうから寝てていいから」
そう言って立花さんは出てってしまった。
1人ぼっちの部屋はなんだか違って見えた。僕の側にずっといてくれた立花さんがいなくて急に心細くなってしまった。
ベッドから降りてドアを開けると他にも3つドアが見えた。階段を降りるとキッチンとダイニングがあって
離れた所にもドアがあった。そっと覗くとたくさんの香水の瓶が置いてあった。ここで香水を作ってるんだろう。この1つ1つが番に捨てられたオメガの人の力になるんだ。凄い仕事だな。
久しぶりに起きてたからか、なんとなくだるくて疲れてしまった。ベッドに戻ろう。と階段を上がり、ベッドに横になった。
1人のベッドは広すぎて寂しくなってしまった。思わず立花さんの匂いがする枕に顔を埋めた。まだ足りない…ベッドの横にあるクローゼットを開けた。
「立花さんの匂いがする」
僕はかけてあった半袖のTシャツ、や引き出しからパンツやパジャマなど、立花さんの服をベッドに置いていった。立花さんの匂いがいっぱいする服の中に潜ってみた。立花さんの匂いが僕の身体を包み込んでくれてるようで、それだけで僕は履いていたパンツに染みを作ってしまい、お腹の奥が疼いてしまう。
早く帰ってきてほしい。立花さんは僕の巣に入ってくれるだろうか?褒めてくれるだろうか?だんだん不安になってきてしまった。
グスッ…涙が頬を伝って枕に染みを作る。
オメガの巣作りは聞いたことがあったけど、僕自身が作るなんて思っても見なかった。でも巣作りが失敗して番に嫌われたと聞いたこともある。嫌われたくない立花さんには…立花さん…会いたい…その時、ガチャとドアが開く音がした。
「あさひ…まだ寝てる?ってこれは…あさひ出て来れるかな?」そう立花さんに呼ばれた。涙で濡れた顔を隠したまま服の山から手を出すと
「俺の為に巣作りしてくれたんだね。上手にできてるよ。俺も入っていいかな?」そう言うと手をギュッと握ってくれた。
オメガの巣作りは聞いた事があった。でもこんなに早く作ってくれたと言う嬉しい気持ちと俺がいなくて寂しいかったんだと思うと切なくなった。
「あさひ寂しかった?ごめんね。もうどこにも行かないから」そう言うと
「立花さん…ギュッてして」
そんな可愛いおねだりを言われてしまった。あさひの顔を見ると涙に濡れた顔が見えた。
「あぁ。ギュッてしよう。寂しくて泣いたのか?」
「違うっ」
「じゃあどうした?俺に教えて?」
「あのね…巣作りしたんだけど、立花さんが入ってくれなかったらどうしようって…上手じゃないって嫌われたらどうしようって思ったら」
「上手だよ。オメガの巣作りなんて初めて見たけど、あさひは上手に作ってくれたよ。ありがとう」
「本当に?」
「あぁ…本当に。あさひありがとう」
「立花さん、大好き」と思いっきり抱きついてくる。甘えたなあさひを見られるなんて。なんて嬉しいんだろう。俺たちは初めての巣の中で愛を確かめあった。
あさひを抱きしめてやると俺にしがみつくように抱きついてくる。本当にかわいい。この番が幸せになるように、もっともっと頑張らないと…
そんな日が3日を過ぎた頃、ようやく発情期が終わりそうな気がした。僕から発するフェロモンの匂いが前よりも少し落ち着いてきたと教えてくれて、僕自身も行為をしたいという気持ちが少しなくなってきたと思う。だいたい1週間前後だが、前回よりも番ができたから落ち着くのが早いのかと思っていた…
「あさひ念の為、発情期が終わった頃、病院行くぞ」
「病院ですか?」
「一応、みんなには連絡済みだが、心配してるからな」
「立花さんはいいんですか?」
「何が?」
「僕と番になってしまって…本当は…」
「あさひ、何回も言ったよ。忘れちゃった?」
「何が?」
「俺があさひを番にしたかった。俺だけのオメガなんだよあさひは。俺の方が謝らないといけない。本当はあさひの気持ちを待って番になりたかったのに…悪かった」
「いえ…僕は立花さんでよかったです。大事にしてくれてるのわかったので、それに…番ができたら他のアルファに触られるだけで嫌悪感が出ると聞きます。だから…きっと叔父、叔母も他のアルファと番ない僕のことは…でも、お金は返さないといけないので、働きたいと思います」
「そうか…あっ悪い電話だ」
そう言って立花さんは出てってしまった。これから先どうしようか?
「悪いあさひ、ちょっと用事ができて出かけることになった。留守番頼んでもいいか?」
「留守番ですか?」
「あぁ…夕方前には戻ってこられると思う。誰か来ても出なくていいから。頼んだぞ。まだ身体も辛いだろうから寝てていいから」
そう言って立花さんは出てってしまった。
1人ぼっちの部屋はなんだか違って見えた。僕の側にずっといてくれた立花さんがいなくて急に心細くなってしまった。
ベッドから降りてドアを開けると他にも3つドアが見えた。階段を降りるとキッチンとダイニングがあって
離れた所にもドアがあった。そっと覗くとたくさんの香水の瓶が置いてあった。ここで香水を作ってるんだろう。この1つ1つが番に捨てられたオメガの人の力になるんだ。凄い仕事だな。
久しぶりに起きてたからか、なんとなくだるくて疲れてしまった。ベッドに戻ろう。と階段を上がり、ベッドに横になった。
1人のベッドは広すぎて寂しくなってしまった。思わず立花さんの匂いがする枕に顔を埋めた。まだ足りない…ベッドの横にあるクローゼットを開けた。
「立花さんの匂いがする」
僕はかけてあった半袖のTシャツ、や引き出しからパンツやパジャマなど、立花さんの服をベッドに置いていった。立花さんの匂いがいっぱいする服の中に潜ってみた。立花さんの匂いが僕の身体を包み込んでくれてるようで、それだけで僕は履いていたパンツに染みを作ってしまい、お腹の奥が疼いてしまう。
早く帰ってきてほしい。立花さんは僕の巣に入ってくれるだろうか?褒めてくれるだろうか?だんだん不安になってきてしまった。
グスッ…涙が頬を伝って枕に染みを作る。
オメガの巣作りは聞いたことがあったけど、僕自身が作るなんて思っても見なかった。でも巣作りが失敗して番に嫌われたと聞いたこともある。嫌われたくない立花さんには…立花さん…会いたい…その時、ガチャとドアが開く音がした。
「あさひ…まだ寝てる?ってこれは…あさひ出て来れるかな?」そう立花さんに呼ばれた。涙で濡れた顔を隠したまま服の山から手を出すと
「俺の為に巣作りしてくれたんだね。上手にできてるよ。俺も入っていいかな?」そう言うと手をギュッと握ってくれた。
オメガの巣作りは聞いた事があった。でもこんなに早く作ってくれたと言う嬉しい気持ちと俺がいなくて寂しいかったんだと思うと切なくなった。
「あさひ寂しかった?ごめんね。もうどこにも行かないから」そう言うと
「立花さん…ギュッてして」
そんな可愛いおねだりを言われてしまった。あさひの顔を見ると涙に濡れた顔が見えた。
「あぁ。ギュッてしよう。寂しくて泣いたのか?」
「違うっ」
「じゃあどうした?俺に教えて?」
「あのね…巣作りしたんだけど、立花さんが入ってくれなかったらどうしようって…上手じゃないって嫌われたらどうしようって思ったら」
「上手だよ。オメガの巣作りなんて初めて見たけど、あさひは上手に作ってくれたよ。ありがとう」
「本当に?」
「あぁ…本当に。あさひありがとう」
「立花さん、大好き」と思いっきり抱きついてくる。甘えたなあさひを見られるなんて。なんて嬉しいんだろう。俺たちは初めての巣の中で愛を確かめあった。
あさひを抱きしめてやると俺にしがみつくように抱きついてくる。本当にかわいい。この番が幸せになるように、もっともっと頑張らないと…
159
あなたにおすすめの小説
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
契約結婚だけど大好きです!
泉あけの
BL
子爵令息のイヴ・ランヌは伯爵ベルナール・オルレイアンに恋をしている。
そんな中、子爵である父からオルレイアン伯爵から求婚書が届いていると言われた。
片思いをしていたイヴは憧れのベルナール様が求婚をしてくれたと大喜び。
しかしこの結婚は両家の利害が一致した契約結婚だった。
イヴは恋心が暴走してベルナール様に迷惑がかからないようにと距離を取ることに決めた。
......
「俺と一緒に散歩に行かないか、綺麗な花が庭園に咲いているんだ」
彼はそう言って僕に手を差し伸べてくれた。
「すみません。僕はこれから用事があるので」
本当はベルナール様の手を取ってしまいたい。でも我慢しなくちゃ。この想いに蓋をしなくては。
この結婚は契約だ。僕がどんなに彼を好きでも僕達が通じ合うことはないのだから。
※小説家になろうにも掲載しております
※直接的な表現ではありませんが、「初夜」という単語がたびたび登場します
《一時完結》僕の彼氏は僕のことを好きじゃないⅠ
MITARASI_
BL
彼氏に愛されているはずなのに、どうしてこんなに苦しいんだろう。
「好き」と言ってほしくて、でも返ってくるのは沈黙ばかり。
揺れる心を支えてくれたのは、ずっと隣にいた幼なじみだった――。
不器用な彼氏とのすれ違い、そして幼なじみの静かな想い。
すべてを失ったときに初めて気づく、本当に欲しかった温もりとは。
切なくて、やさしくて、最後には救いに包まれる救済BLストーリー。
続編執筆中
ジャスミン茶は、君のかおり
霧瀬 渓
BL
アルファとオメガにランクのあるオメガバース世界。
大学2年の高位アルファ高遠裕二は、新入生の三ツ橋鷹也を助けた。
裕二の部活後輩となった鷹也は、新歓の数日後、放火でアパートを焼け出されてしまう。
困った鷹也に、裕二が条件付きで同居を申し出てくれた。
その条件は、恋人のフリをして虫除けになることだった。
妹に奪われた婚約者は、外れの王子でした。婚約破棄された僕は真実の愛を見つけます
こたま
BL
侯爵家に産まれたオメガのミシェルは、王子と婚約していた。しかしオメガとわかった妹が、お兄様ずるいわと言って婚約者を奪ってしまう。家族にないがしろにされたことで悲嘆するミシェルであったが、辺境に匿われていたアルファの落胤王子と出会い真実の愛を育む。ハッピーエンドオメガバースです。
【完結済】極上アルファを嵌めた俺の話
降魔 鬼灯
BL
ピアニスト志望の悠理は子供の頃、仲の良かったアルファの東郷司にコンクールで敗北した。
両親を早くに亡くしその借金の返済が迫っている悠理にとって未成年最後のこのコンクールの賞金を得る事がラストチャンスだった。
しかし、司に敗北した悠理ははオメガ専用の娼館にいくより他なくなってしまう。
コンサート入賞者を招いたパーティーで司に想い人がいることを知った悠理は地味な自分がオメガだとバレていない事を利用して司を嵌めて慰謝料を奪おうと計画するが……。
僕たちの世界は、こんなにも眩しかったんだね
舞々
BL
「お前以外にも番がいるんだ」
Ωである花村蒼汰(はなむらそうた)は、よりにもよって二十歳の誕生日に恋人からそう告げられる。一人になることに強い不安を感じたものの、「αのたった一人の番」になりたいと願う蒼汰は、恋人との別れを決意した。
恋人を失った悲しみから、蒼汰はカーテンを閉め切り、自分の殻へと引き籠ってしまう。そんな彼の前に、ある日突然イケメンのαが押しかけてきた。彼の名前は神木怜音(かみきれお)。
蒼汰と怜音は幼い頃に「お互いが二十歳の誕生日を迎えたら番になろう」と約束をしていたのだった。
そんな怜音に溺愛され、少しずつ失恋から立ち直っていく蒼汰。いつからか、優しくて頼りになる怜音に惹かれていくが、引きこもり生活からはなかなか抜け出せないでいて…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる