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第8章
飼い主の責任
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「ドレスを破られたの以外、何もされてないわね…?」
「はい…お姉様が助けてくれましたから」
「そう…」
ユリアのドレスは、前が破られている、というよりは刃物で切られていた。
いくらいじめにしてもやりすぎだ。このままでは夜会にも行けないだろう。
まあ、それが狙いだったんだろうけど……
泣きながら震えているユリアの背中を撫でつつ、こうなった理由を聞いてみる。
「ユリア、なぜこうなったの?」
「私がッ、お姉様を、いじめてるっ…て、言われて……」
「あぁ…」
今日何度目かのため息が思わず出てしまう。
「それで?」
「平民がこんなところにッ……来るなと…ドレスをっ」
「そう…辛いことを思い出させてしまったわね、ごめんなさい」
「い…いえ」
なるほど。
私をいじめてるユリアを制裁するっていう名目で、平民上がりのユリアをいじめてたのか。
ヨミはきっと、これを期待してたんだろう。
マリアージュ家は公爵家だから、下手に手出しすると自分の家にも影響が及ぶ。どんなに気に入らなくても黙っているしかない。
でも、そこに『ユリアがルシアをいじめている』という噂がたったとしたら。
ここぞとばかりに平民出のユリアをいじめに来るご令嬢方がたくさんいるだろう。
それに今は、ルークの興味を引いているというのもあるし。
そのきっかけを作ったのはヨミだ。
しかも、大元の原因は私にあるから罪悪感が凄まじい。
……しょうがない。
「…カーネ、予備の服貸して」
「構いませんが…」
馬車の近くまで引き返し、馬車の中にいるであろう侍女に声をかけると、すぐに返答がある。
「…ルシア様?」
「着替えるの手伝って」
「お姉様?!」
馬車に乗り込むやいなやドレスを脱ぎ始めた私を見てユリアが唖然としている。
馬車は広いから、2人一緒に着替えても大丈夫だろう。
……あ、カーネ、カーテンはちゃんと閉めてね。
「早くユリアもそのドレス脱ぎなさい」
「え、えと…」
「カーネ、ユリアの着替えを手伝ってあげて」
いつも私の無茶振りに付き合ってくれるカーネは、ちょっと驚きつつもすぐに諦めたようで、ユリアの着替えを手伝ってくれる。
私は慣れないドレスに躓いたりしながらも脱ぐと、カーネの予備の侍女服に袖を通す。
ユリアも着替え終わったのか、目をパチクリしながら立っている。
さすが。カーネはドレスを着せるのが、私が知っている侍女の中で一番早い。
化粧も瞬間的に終わらせる万能侍女は、ちょっと不服そうな顔をしているけど。
「御者さん、急いで会場に向かってください」
御者に向かってそう声をかけると、馬車が今までよりも少し早めに動き出す。
夜会に向かっている間に髪も整え終え、準備万端だ。
「あの、お姉様、本当に…」
「早くいきなさい、ユリア」
「は、はい…」
気まずそうにしながらも夜会会場に行くユリアの背中を見つめながら、少し考えた。
あのドレスは、ルークが私にくれたものだ。
ルークが傷付かないだろうか、と…。
そこまで考えて、あのドレスにそんな深い意味はないと考え直し、会場に背を向ける。
きっと、王妃様に言われてドレスをくれたんだ。つまりは社交辞令に過ぎない。
それに、こうなったのは私の責任でもあるんだから。
犬を御せなかった飼い主の責任。
でも、どうしてかな…
あのドレスを着ているユリアが少し羨ましく思えた。
「はい…お姉様が助けてくれましたから」
「そう…」
ユリアのドレスは、前が破られている、というよりは刃物で切られていた。
いくらいじめにしてもやりすぎだ。このままでは夜会にも行けないだろう。
まあ、それが狙いだったんだろうけど……
泣きながら震えているユリアの背中を撫でつつ、こうなった理由を聞いてみる。
「ユリア、なぜこうなったの?」
「私がッ、お姉様を、いじめてるっ…て、言われて……」
「あぁ…」
今日何度目かのため息が思わず出てしまう。
「それで?」
「平民がこんなところにッ……来るなと…ドレスをっ」
「そう…辛いことを思い出させてしまったわね、ごめんなさい」
「い…いえ」
なるほど。
私をいじめてるユリアを制裁するっていう名目で、平民上がりのユリアをいじめてたのか。
ヨミはきっと、これを期待してたんだろう。
マリアージュ家は公爵家だから、下手に手出しすると自分の家にも影響が及ぶ。どんなに気に入らなくても黙っているしかない。
でも、そこに『ユリアがルシアをいじめている』という噂がたったとしたら。
ここぞとばかりに平民出のユリアをいじめに来るご令嬢方がたくさんいるだろう。
それに今は、ルークの興味を引いているというのもあるし。
そのきっかけを作ったのはヨミだ。
しかも、大元の原因は私にあるから罪悪感が凄まじい。
……しょうがない。
「…カーネ、予備の服貸して」
「構いませんが…」
馬車の近くまで引き返し、馬車の中にいるであろう侍女に声をかけると、すぐに返答がある。
「…ルシア様?」
「着替えるの手伝って」
「お姉様?!」
馬車に乗り込むやいなやドレスを脱ぎ始めた私を見てユリアが唖然としている。
馬車は広いから、2人一緒に着替えても大丈夫だろう。
……あ、カーネ、カーテンはちゃんと閉めてね。
「早くユリアもそのドレス脱ぎなさい」
「え、えと…」
「カーネ、ユリアの着替えを手伝ってあげて」
いつも私の無茶振りに付き合ってくれるカーネは、ちょっと驚きつつもすぐに諦めたようで、ユリアの着替えを手伝ってくれる。
私は慣れないドレスに躓いたりしながらも脱ぐと、カーネの予備の侍女服に袖を通す。
ユリアも着替え終わったのか、目をパチクリしながら立っている。
さすが。カーネはドレスを着せるのが、私が知っている侍女の中で一番早い。
化粧も瞬間的に終わらせる万能侍女は、ちょっと不服そうな顔をしているけど。
「御者さん、急いで会場に向かってください」
御者に向かってそう声をかけると、馬車が今までよりも少し早めに動き出す。
夜会に向かっている間に髪も整え終え、準備万端だ。
「あの、お姉様、本当に…」
「早くいきなさい、ユリア」
「は、はい…」
気まずそうにしながらも夜会会場に行くユリアの背中を見つめながら、少し考えた。
あのドレスは、ルークが私にくれたものだ。
ルークが傷付かないだろうか、と…。
そこまで考えて、あのドレスにそんな深い意味はないと考え直し、会場に背を向ける。
きっと、王妃様に言われてドレスをくれたんだ。つまりは社交辞令に過ぎない。
それに、こうなったのは私の責任でもあるんだから。
犬を御せなかった飼い主の責任。
でも、どうしてかな…
あのドレスを着ているユリアが少し羨ましく思えた。
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