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別れの理由
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「趣味だけじゃないもん。いくら駿くんが美姫の好きなことだけに付き合ってくれたって、そんなのつまんない」
なんかわかったようで、わからない美姫の説明。
「たとえば、どんなところが嫌なの?」
「うーん、たとえばねぇ、駿くんはお笑い番組なんかを一緒にみてもちっとも笑わないし、美姫の隣で難しそうな本を読んでたりしてるんだぁ」
「だから、松岡くんは受験生なんだよ!それくらい許してあげられないの?」
受験生に対して、そのくらいの気遣いもしてあげられない美姫に腹が立つ。
「・・・美姫もねぇ、駿くんの楽しいことについて行けないの。駿くんと夏休みの間、色々なところに行ったよ。 遊園地にも行ったけど、駿くんの好きな美術館とか博物館とかにも行った。それでねぇ、駿くんは絵をみながら、この絵を描いたゴッホにはね、テオって言う弟がいてね、とか色々説明してくれるんだけど、美姫はそんなのつまらないの。授業を聞いてるみたいで、とっても眠たくなっちゃうの」
まぁ、確かにそうだろうなとは思う。
美姫の言い分はなんとなくわかった。
「あ、だけどね、そのゴッホっていう絵描きさん、自分の耳を剃刀で切り落としちゃったんですって! それでね、その耳を好きな女の子に贈っちゃったんだってぇ!! 美姫もう、びっくりしちゃって、その時だけは目がさめたの。ほんとに耳に包帯を巻いた絵があってさぁ~、めっちゃキモかった」
「……… 」
確かにこの二人には無理がある。
「ほらねぇ、だから駿くんと美姫とじゃ、一から十まで楽しいことが全部違うの」
「それで? 松岡くんはなんて?」
「駿くんはね、美姫と一緒に居られるのが楽しいんだって。だから美姫ちゃんの好きなように、したいようにしていいからって」
ーーいいな、美姫はそんなに愛されているんだ。
「美姫ちゃんは松岡くんと一緒に居られるだけではダメってこと?」
「うーん、よくわかんない。駿くんのことは好きだけど……。でも、そうやって美姫に合わせてばっかりって悲しいの。駿くんにだけ我慢させてるのって楽しくないでしょ。美姫は一緒に楽しんで、一緒に笑いたいの」
美姫にしては鋭い分析がなされているような気がする。勉強は出来ないけれど、頭は悪くないのかも知れない。
なんかわかったようで、わからない美姫の説明。
「たとえば、どんなところが嫌なの?」
「うーん、たとえばねぇ、駿くんはお笑い番組なんかを一緒にみてもちっとも笑わないし、美姫の隣で難しそうな本を読んでたりしてるんだぁ」
「だから、松岡くんは受験生なんだよ!それくらい許してあげられないの?」
受験生に対して、そのくらいの気遣いもしてあげられない美姫に腹が立つ。
「・・・美姫もねぇ、駿くんの楽しいことについて行けないの。駿くんと夏休みの間、色々なところに行ったよ。 遊園地にも行ったけど、駿くんの好きな美術館とか博物館とかにも行った。それでねぇ、駿くんは絵をみながら、この絵を描いたゴッホにはね、テオって言う弟がいてね、とか色々説明してくれるんだけど、美姫はそんなのつまらないの。授業を聞いてるみたいで、とっても眠たくなっちゃうの」
まぁ、確かにそうだろうなとは思う。
美姫の言い分はなんとなくわかった。
「あ、だけどね、そのゴッホっていう絵描きさん、自分の耳を剃刀で切り落としちゃったんですって! それでね、その耳を好きな女の子に贈っちゃったんだってぇ!! 美姫もう、びっくりしちゃって、その時だけは目がさめたの。ほんとに耳に包帯を巻いた絵があってさぁ~、めっちゃキモかった」
「……… 」
確かにこの二人には無理がある。
「ほらねぇ、だから駿くんと美姫とじゃ、一から十まで楽しいことが全部違うの」
「それで? 松岡くんはなんて?」
「駿くんはね、美姫と一緒に居られるのが楽しいんだって。だから美姫ちゃんの好きなように、したいようにしていいからって」
ーーいいな、美姫はそんなに愛されているんだ。
「美姫ちゃんは松岡くんと一緒に居られるだけではダメってこと?」
「うーん、よくわかんない。駿くんのことは好きだけど……。でも、そうやって美姫に合わせてばっかりって悲しいの。駿くんにだけ我慢させてるのって楽しくないでしょ。美姫は一緒に楽しんで、一緒に笑いたいの」
美姫にしては鋭い分析がなされているような気がする。勉強は出来ないけれど、頭は悪くないのかも知れない。
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