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松岡くんの憂鬱②
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「ご、ごめん。他に美姫ちゃんに会える良い方法って思い浮かばなくて。ストーカーなんかしてても、美姫ちゃんに怖がられるだけだろう? 本当に失礼なお願いで申し訳ないんだけど」
「……それはいいけど、いつまでも長引いて辛くなるだけなんじゃないのかな?」
松岡くんの想いはよくわかる。
わたしだって松岡くんと少しでも一緒にいられるなら、この惨めな役割だって幸せに感じられそう。
だけど、松岡くんが美姫に未練がなくなった時、わたしたちの関係はすぐに終わってしまうんだ。
その時のわたしの心情を思うと、とても哀しくなる。
立ち直れるだろうか?
今なら傷つくことも軽いのだけれど。
「早希ちゃん、やっぱりダメかな?」
「いいよ、松岡くんが美姫のこと忘れられるまで付き合えばいいんでしょ。もしかしたら、よりが戻るかもしれないし。うちの両親も松岡くんのことはとっても気に入ってるの。美姫ちゃんにはもったいないねって」
「本当にいいの? ありがとう。助かるよ、早希ちゃん」
ホッとしている松岡くんの嬉しそうな顔を見て、複雑な心境になる。
美姫は駿くんのことがまだ好きと言っていたから、わたしに取られてライバル意識を燃やすかもしれない。
そうすれば、松岡くんの目論見は大成功ということになる。哀しくて、惨めなのはわたしだけ。
でも、それでもいい。もしかしたら一生恋愛なんて出来ないかもしれないんだから。失恋だってしないよりはした方が、まだマシなような気がする。
ファミレスを出て、松岡くんと一緒に我が家に向かって歩く。
家に近づくにつれて、松岡くんの顔が緊張でこわばっているのがわかった。
「ただいま~」
リビングのドアをあけて入ると、すでに父も帰宅していてカレーを食べていた。
「おかえり。あら、駿くんも一緒だったの? 偶然?」
なにも知らない母が松岡くんを見て微笑んだ。
ソファに座ってバラエティ番組を見ていた美姫が、駿くんと聞いて振り返った。
「駿くん! どうしたの? なんで来たの?」
美姫が立ち上がって、咎めるように松岡くんを見つめた。
松岡くんがうなだれて、チラッとわたしを見て助けを求めた。
「……それはいいけど、いつまでも長引いて辛くなるだけなんじゃないのかな?」
松岡くんの想いはよくわかる。
わたしだって松岡くんと少しでも一緒にいられるなら、この惨めな役割だって幸せに感じられそう。
だけど、松岡くんが美姫に未練がなくなった時、わたしたちの関係はすぐに終わってしまうんだ。
その時のわたしの心情を思うと、とても哀しくなる。
立ち直れるだろうか?
今なら傷つくことも軽いのだけれど。
「早希ちゃん、やっぱりダメかな?」
「いいよ、松岡くんが美姫のこと忘れられるまで付き合えばいいんでしょ。もしかしたら、よりが戻るかもしれないし。うちの両親も松岡くんのことはとっても気に入ってるの。美姫ちゃんにはもったいないねって」
「本当にいいの? ありがとう。助かるよ、早希ちゃん」
ホッとしている松岡くんの嬉しそうな顔を見て、複雑な心境になる。
美姫は駿くんのことがまだ好きと言っていたから、わたしに取られてライバル意識を燃やすかもしれない。
そうすれば、松岡くんの目論見は大成功ということになる。哀しくて、惨めなのはわたしだけ。
でも、それでもいい。もしかしたら一生恋愛なんて出来ないかもしれないんだから。失恋だってしないよりはした方が、まだマシなような気がする。
ファミレスを出て、松岡くんと一緒に我が家に向かって歩く。
家に近づくにつれて、松岡くんの顔が緊張でこわばっているのがわかった。
「ただいま~」
リビングのドアをあけて入ると、すでに父も帰宅していてカレーを食べていた。
「おかえり。あら、駿くんも一緒だったの? 偶然?」
なにも知らない母が松岡くんを見て微笑んだ。
ソファに座ってバラエティ番組を見ていた美姫が、駿くんと聞いて振り返った。
「駿くん! どうしたの? なんで来たの?」
美姫が立ち上がって、咎めるように松岡くんを見つめた。
松岡くんがうなだれて、チラッとわたしを見て助けを求めた。
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