妹の彼が好き

なごみ

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松岡くんの憂鬱①

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今日はテニス部のミーティングが長引いて、帰宅が遅くなった。


 家の玄関前まで来るとカレーの匂いが漂っていた。


母の作るカレーは、美姫に合わせて甘口だから、あまり好きではないけれど、腹ペコなので早く食べたい。


玄関ドアの取っ手に手をかけたら背後から呼ばれた。


「早希ちゃん、早希ちゃん!」


驚いて振り返ると、なんと松岡くんだった。


「松岡くん!!  ・・・ど、どうしたの?  」


松岡くんが決まりの悪い顔でうつむいた。


「そんなところにいないで中に入ったら?」


わたしを待ち伏せしてたってこと?


「あ、いや、中には入れないんだ。美姫ちゃんと約束しちゃったから」


「約束?  どんな約束?」


「うん、、早希ちゃんに頼みがあって来たんだ。ちょっといいかな?」


真剣な表情で松岡くんに見つめられて胸がドキドキと高鳴る。


な、なに?





***


松岡くんに連れられて、近くのファミリーレストランに入った。


窓際にひとつだけテーブルが空いていて、ウェイトレスに案内される。


「ごめん、突然で。本当にコーヒーでいいのかい?  お腹すいてるんじゃない?」


「大丈夫。話って美姫ちゃんのこと?  美姫ちゃんからは別れたって聞いたんだけど」


「…うん、僕、美姫ちゃんにフラれちゃって。あきらめなきゃいけないっていうのはわかってるんだ。わかってるんだけど……」


目を伏せ、沈痛に語る松岡くんに深く同情する。


だけど、わたしに一体なに用?


「美姫ちゃんにもう会いに来ないでって言われちゃって。だけど僕、今はそれ出来ないんだ。勉強もなにも手につかなくて………。迷惑なのはわかってる。だけど、、早希ちゃん助けてくれないかな?」


「助けるって、どうやって?  美姫を説得してってこと?」


松岡くん、こんなに美姫のことが好きだったんだ。


「説得が出来るなら、それが一番いいけど、多分もう無理だと思う」


「じゃあ、どうして欲しいの?」


「早希ちゃん、僕とつき合ってくれないかな?」


「えーっ!」












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