妹の彼が好き

なごみ

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新しい彼

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季節は秋も過ぎ、来週からはもう師走に入る。


松岡くんの週2回の家庭教師はまだ続いていた。


美姫に会いに来ていることには間違いないのだけれど、ずっとわたし達の関係もこのまま続いていきそうな、そんな、そんな気がしていたのに………。


学校から帰ると、玄関に男物のナイキのシューズが脱ぎ捨てられてあった。


明らかに松岡くんのものではない。


いやな予感がしてリビングへ入ると、困惑した母の顔がみえた。


そして、ソファーに座っている美姫と見知らぬ男の子の笑い声が聞こえた。


………!!


ついに新しい彼氏ができてしまったのだ。


「…ただいま」


「あ、早希、おかえり」


母が助けを求めるような顔をして、わたしを見た。


美姫と彼氏はわたしの声が聞こえなかったのか、テレビを見ながらじゃれあっている。


美姫のとなりに座っている彼の横顔がみえた。


流行には敏感なのだろう。 髪型にはかなり神経を使っているようで、そこだけは余念がないように見えた。


一応、イケメンの部類に入るかも知れないその彼は、ひと目で軽薄と自堕落を感じさせる強いオーラを放っていた。



母の心配が手に取るようにわかる。


「美姫の彼氏?  同じ高校?」


「そうみたい・・・」


青ざめた顔でうつむく母。




二階の部屋へ行き、ルームウェアに着替える。


あと三十分もしたら松岡くんがやって来る。


どうしよう。


美姫と彼はすでに夕食もすませたようで、クイズ番組を見ていた。


晩ご飯の生姜焼きを食べながら、美姫と彼氏の会話に耳をそばだてる。


誰にでもわかるようなクイズに、彼氏が得意げに答えた。


「豊臣秀吉! よっしゃー!」


「わ~  尚くん、すごい、頭いい! 」


「おまえ、こんなことも知らねぇのかよ?  ホント、バカだよな」


その後もこんなことも知らないの? と、ツッコミたくなるような簡単な問題ばかりが続いていたけれど、間違えてたり、答えられなかったり。 やはり美姫と同じレベルだ。


駿くんをフって、なぜこの彼氏? と言いたくなるけれど、確かに一緒にテレビをみて楽しめるのはこっちの彼氏に違いない。


晩ご飯を食べ終わる頃、玄関のチャイムが鳴った。


松岡くんだ!












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