16 / 29
新しい彼
しおりを挟む
季節は秋も過ぎ、来週からはもう師走に入る。
松岡くんの週2回の家庭教師はまだ続いていた。
美姫に会いに来ていることには間違いないのだけれど、ずっとわたし達の関係もこのまま続いていきそうな、そんな、そんな気がしていたのに………。
学校から帰ると、玄関に男物のナイキのシューズが脱ぎ捨てられてあった。
明らかに松岡くんのものではない。
いやな予感がしてリビングへ入ると、困惑した母の顔がみえた。
そして、ソファーに座っている美姫と見知らぬ男の子の笑い声が聞こえた。
………!!
ついに新しい彼氏ができてしまったのだ。
「…ただいま」
「あ、早希、おかえり」
母が助けを求めるような顔をして、わたしを見た。
美姫と彼氏はわたしの声が聞こえなかったのか、テレビを見ながらじゃれあっている。
美姫のとなりに座っている彼の横顔がみえた。
流行には敏感なのだろう。 髪型にはかなり神経を使っているようで、そこだけは余念がないように見えた。
一応、イケメンの部類に入るかも知れないその彼は、ひと目で軽薄と自堕落を感じさせる強いオーラを放っていた。
母の心配が手に取るようにわかる。
「美姫の彼氏? 同じ高校?」
「そうみたい・・・」
青ざめた顔でうつむく母。
二階の部屋へ行き、ルームウェアに着替える。
あと三十分もしたら松岡くんがやって来る。
どうしよう。
美姫と彼はすでに夕食もすませたようで、クイズ番組を見ていた。
晩ご飯の生姜焼きを食べながら、美姫と彼氏の会話に耳をそばだてる。
誰にでもわかるようなクイズに、彼氏が得意げに答えた。
「豊臣秀吉! よっしゃー!」
「わ~ 尚くん、すごい、頭いい! 」
「おまえ、こんなことも知らねぇのかよ? ホント、バカだよな」
その後もこんなことも知らないの? と、ツッコミたくなるような簡単な問題ばかりが続いていたけれど、間違えてたり、答えられなかったり。 やはり美姫と同じレベルだ。
駿くんをフって、なぜこの彼氏? と言いたくなるけれど、確かに一緒にテレビをみて楽しめるのはこっちの彼氏に違いない。
晩ご飯を食べ終わる頃、玄関のチャイムが鳴った。
松岡くんだ!
松岡くんの週2回の家庭教師はまだ続いていた。
美姫に会いに来ていることには間違いないのだけれど、ずっとわたし達の関係もこのまま続いていきそうな、そんな、そんな気がしていたのに………。
学校から帰ると、玄関に男物のナイキのシューズが脱ぎ捨てられてあった。
明らかに松岡くんのものではない。
いやな予感がしてリビングへ入ると、困惑した母の顔がみえた。
そして、ソファーに座っている美姫と見知らぬ男の子の笑い声が聞こえた。
………!!
ついに新しい彼氏ができてしまったのだ。
「…ただいま」
「あ、早希、おかえり」
母が助けを求めるような顔をして、わたしを見た。
美姫と彼氏はわたしの声が聞こえなかったのか、テレビを見ながらじゃれあっている。
美姫のとなりに座っている彼の横顔がみえた。
流行には敏感なのだろう。 髪型にはかなり神経を使っているようで、そこだけは余念がないように見えた。
一応、イケメンの部類に入るかも知れないその彼は、ひと目で軽薄と自堕落を感じさせる強いオーラを放っていた。
母の心配が手に取るようにわかる。
「美姫の彼氏? 同じ高校?」
「そうみたい・・・」
青ざめた顔でうつむく母。
二階の部屋へ行き、ルームウェアに着替える。
あと三十分もしたら松岡くんがやって来る。
どうしよう。
美姫と彼はすでに夕食もすませたようで、クイズ番組を見ていた。
晩ご飯の生姜焼きを食べながら、美姫と彼氏の会話に耳をそばだてる。
誰にでもわかるようなクイズに、彼氏が得意げに答えた。
「豊臣秀吉! よっしゃー!」
「わ~ 尚くん、すごい、頭いい! 」
「おまえ、こんなことも知らねぇのかよ? ホント、バカだよな」
その後もこんなことも知らないの? と、ツッコミたくなるような簡単な問題ばかりが続いていたけれど、間違えてたり、答えられなかったり。 やはり美姫と同じレベルだ。
駿くんをフって、なぜこの彼氏? と言いたくなるけれど、確かに一緒にテレビをみて楽しめるのはこっちの彼氏に違いない。
晩ご飯を食べ終わる頃、玄関のチャイムが鳴った。
松岡くんだ!
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
6
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる