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第1章
夏帆の死
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*修二*
今朝、病室へ入ると夏帆は酸素マスクをしていた。
「夏帆! どうしたんだい、息苦しいの?」
日に日に弱ってはいたけれど、昨夜帰るときは、息苦しさなどは訴えていなかった。
「明け方からちょっと苦しくなったの。大丈夫よ。酸素してもらったら、だいぶ良くなったわ」
肩で深く息をしている夏帆は、少しも大丈夫には見えなかった。
すでに尿道カテーテルも挿入されて、ベッド柵に尿バッグが下げられていた。
肺には癌があるのだし、咳き込むことは多かったけれど。
夏帆、頼む、……まだ逝かないでくれ。
切実な思いで夏帆を見つめた。
もっと徐々に悪くなっていくのだと、なぜかそんな風に勝手に思い込んでいた。
突然、こんなに悪くなってしまうなんて。
少しも不思議なことではないのに、自分の身に降りかかると、これほど動揺するものなのか。
「修二さん、、本当にありがとう。こんなに幸せにしてもらって……」
目に涙をためてそう言った夏帆に、どんな言葉をかけていいのかわからない。
「夏帆、、お礼なんて言わないで。大丈夫だ、まだ頑張れるだろう」
毛布の中の夏帆の手を握りしめる。
僕は残酷なことを言っているのかもしれない。こんなに苦しんでいる夏帆に、自分の願望だけを押しつけて。
だけど、だけど、、
「結婚してくれるなんて思わなかった。よかった、修二さんに出会えて、、」
「夏帆、無理に話さなくていいから」
「ううん、…話したいの。もう話せなくなるんだもの、、もっと、…もっと話したいわ。……修二さんのタキシード、とっても素敵だった」
目を潤ませながら、夏帆はかすれた声で呟く。
「夏帆のウエディング姿だってとっても綺麗だったよ」
「あの小さなマンションで一緒に暮らせて、楽しかった……」
「また暮らそう、夏帆。今度はもっと広いマンションで、、」
なにを言っているのだろう、僕は。
こんな状況で、見え透いた嘘など言って。
だけど僕は " 今までありがとう ” なんて言葉をまだかけたくない。
君は本当にもう、逝ってしまおうとしているのか。
スルスルとスライドドアが開き、看護師が顔をだした。
「あの、ご家族の方、ちょっといいですか?」
手招きされ、ドクターから話があると告げられる。
夏帆のそばを離れたくなかったが、仕方なく看護師について行き、医師のいる部屋へ通される。
シャーカステンに胸部レントゲン写真がかざされ、その前に初老の医師が座っていた。
第一線の医療から離れている医師は、いかにも惰性で仕事をしているようで、やる気のなさがにじみ出ていた。
「肺がもう、これだけ白くなってるんでね、間違いなく今日中に逝きます。会わせたい人には早めに会わせてあげて」
マンネリした日常の流れのように、感情もなく淡々と語った。
「………。」
誠意もやる気もないこの医師に、今更なにを期待しても無駄だろう。
息苦しい夏帆を少しでも楽にさせてあげたいとは思うけれど、モルヒネや鎮静剤を使うと意識は低下する。
せめて知佳さんにだけは、意識のあるうちに会わせてあげたい。
知佳さんに電話をすると、" 保護者会で幼稚園に来ているけれど、すぐに向かう " と言ってくれた。
病室へもどり、夏帆の手を握った。
手はさっきより冷たくなっていた。チアノーゼで紫色になっている。
「夏帆、もうすぐ知佳さんが来てくれるから」
呼びかけに夏帆はうっすらと目を開けた。
「知佳? 午前中は忙しいのに大丈夫かな?」
「息苦しいだろう? 」
肺の機能がダメになっている今となっては、酸素量をあげたところで、苦しさはかわらない。
真綿で首を絞められているようなものなのか………。
何ひとつしてあげられずに、ただそばで見ているだけの辛さ。
30分ほどして、息を切らせた知佳さんが、部屋に飛び込んできた。
「夏帆、どうして? 昨日あんなに元気だったじゃない!」
余命は過ぎているけれど、知佳さんにとっても、夏帆の急変は意外だったのだろう。
「あ、知佳、…ごめんね、…何度も来させて」
「そんなこと、、何度だって、、何度だって来てあげるわよ」
いつもなら気丈な知佳さんも、苦しげな夏帆の姿にショックを受けたようだった。
「知佳がいてくれなかったら私、…もっと早く死んじゃってたわ。…本当に、本当に……ありがとう」
「なに言ってるの。まだダメよ! みんなでクリスマスパーティしようねって、昨日言ったじゃないの」
「余命よりも…ずっと長く生きれたもの。……この半年は本当に…幸せだった。ご主人と未央ちゃんにも迷惑かけたわ、…よろしく伝えてね」
「私の方がずっと助けられてたわ。夏帆がいなかったら、どうなってたか知れないわ」
知佳さんはもうボロボロに泣いていた。
「よかった、…最期に会えて。……本当にありがとう」
「修二さん、……ありがとう」
喘ぎながらやっとそう言うと、夏帆は目を閉じた。
「夏帆、、」
夏帆は意識を失って、深い眠りに落ちていった。
少しは苦しみからも解放されたのだろうか。
それから数時間して、夏帆はとうとう息をひきとった。
下顎呼吸がチェーンストークスに変わった頃、さっきの医者が来て、夏帆が死ぬのを待っていた。
呼吸も止まり、ハートモニターがフラットになったのを確認すると、腕時計を見た。
「15時23分、ご臨終です」
最後まで淡々と機械的な医師だった。
「夏帆、夏帆っ! うわぁーーん!」
さっきからずっとシクシク泣いていた知佳さんが、夏帆の身体にすがりついた。
僕には誠意のないあの医師を責める資格もない。
ただただ後悔しかなかった。
なぜ僕は夏帆の言うままに家に帰ったりすることが出来たのか。
なぜ一晩中、夏帆のそばにいてやらなかったのか。
いくら有紀と美冬が僕にとって、かけがえのない存在だったとしても。
看護師だけは傷ついている僕たちに、優しい気遣いをみせてくれた。
「あ、あの、器具などを外して、綺麗にしてあげたいのですが、よろしいですか?」
まだあどけなさを感じる若いナースが、遠慮がちに言った。
「お願いします」
涙をふきながら知佳さんが頭を下げた。
昨日、あんなに元気だったのに。
このホスピスに来て、まだ数日しか経っていないのに。
他の患者だったら、少しも珍しく思わない急変なのに、なんの疑いもなく僕は………。
取り乱して見えた知佳さんは、僕よりもずっと冷静だった。
霊柩車の手配も葬儀屋への連絡もテキパキと済ませていた。
死亡診断書を受け取り、夏帆の実家へ向かった。
夕方になって、知佳さんが一旦家に戻った。
夜の7時を過ぎた頃、葬儀屋が来て、湯灌の儀が執り行われた。
夏帆は密葬にして欲しいと言っていたが、知佳さんが友人に知らせたようで、10名ほどが集まった。
湯灌の最中にスマホが鳴った。
ーー有紀からだった。
今日は美冬の誕生日で、ホテルでの顔合わせの日でもあったのだった。
美冬の誕生日が夏帆の命日。
もう嘘をつく気力もなければ、言い訳もしたくなかった。
呼び出し音が途切れるのを待ってから、スマホの電源を切った。
有紀ごめん………。
今朝、病室へ入ると夏帆は酸素マスクをしていた。
「夏帆! どうしたんだい、息苦しいの?」
日に日に弱ってはいたけれど、昨夜帰るときは、息苦しさなどは訴えていなかった。
「明け方からちょっと苦しくなったの。大丈夫よ。酸素してもらったら、だいぶ良くなったわ」
肩で深く息をしている夏帆は、少しも大丈夫には見えなかった。
すでに尿道カテーテルも挿入されて、ベッド柵に尿バッグが下げられていた。
肺には癌があるのだし、咳き込むことは多かったけれど。
夏帆、頼む、……まだ逝かないでくれ。
切実な思いで夏帆を見つめた。
もっと徐々に悪くなっていくのだと、なぜかそんな風に勝手に思い込んでいた。
突然、こんなに悪くなってしまうなんて。
少しも不思議なことではないのに、自分の身に降りかかると、これほど動揺するものなのか。
「修二さん、、本当にありがとう。こんなに幸せにしてもらって……」
目に涙をためてそう言った夏帆に、どんな言葉をかけていいのかわからない。
「夏帆、、お礼なんて言わないで。大丈夫だ、まだ頑張れるだろう」
毛布の中の夏帆の手を握りしめる。
僕は残酷なことを言っているのかもしれない。こんなに苦しんでいる夏帆に、自分の願望だけを押しつけて。
だけど、だけど、、
「結婚してくれるなんて思わなかった。よかった、修二さんに出会えて、、」
「夏帆、無理に話さなくていいから」
「ううん、…話したいの。もう話せなくなるんだもの、、もっと、…もっと話したいわ。……修二さんのタキシード、とっても素敵だった」
目を潤ませながら、夏帆はかすれた声で呟く。
「夏帆のウエディング姿だってとっても綺麗だったよ」
「あの小さなマンションで一緒に暮らせて、楽しかった……」
「また暮らそう、夏帆。今度はもっと広いマンションで、、」
なにを言っているのだろう、僕は。
こんな状況で、見え透いた嘘など言って。
だけど僕は " 今までありがとう ” なんて言葉をまだかけたくない。
君は本当にもう、逝ってしまおうとしているのか。
スルスルとスライドドアが開き、看護師が顔をだした。
「あの、ご家族の方、ちょっといいですか?」
手招きされ、ドクターから話があると告げられる。
夏帆のそばを離れたくなかったが、仕方なく看護師について行き、医師のいる部屋へ通される。
シャーカステンに胸部レントゲン写真がかざされ、その前に初老の医師が座っていた。
第一線の医療から離れている医師は、いかにも惰性で仕事をしているようで、やる気のなさがにじみ出ていた。
「肺がもう、これだけ白くなってるんでね、間違いなく今日中に逝きます。会わせたい人には早めに会わせてあげて」
マンネリした日常の流れのように、感情もなく淡々と語った。
「………。」
誠意もやる気もないこの医師に、今更なにを期待しても無駄だろう。
息苦しい夏帆を少しでも楽にさせてあげたいとは思うけれど、モルヒネや鎮静剤を使うと意識は低下する。
せめて知佳さんにだけは、意識のあるうちに会わせてあげたい。
知佳さんに電話をすると、" 保護者会で幼稚園に来ているけれど、すぐに向かう " と言ってくれた。
病室へもどり、夏帆の手を握った。
手はさっきより冷たくなっていた。チアノーゼで紫色になっている。
「夏帆、もうすぐ知佳さんが来てくれるから」
呼びかけに夏帆はうっすらと目を開けた。
「知佳? 午前中は忙しいのに大丈夫かな?」
「息苦しいだろう? 」
肺の機能がダメになっている今となっては、酸素量をあげたところで、苦しさはかわらない。
真綿で首を絞められているようなものなのか………。
何ひとつしてあげられずに、ただそばで見ているだけの辛さ。
30分ほどして、息を切らせた知佳さんが、部屋に飛び込んできた。
「夏帆、どうして? 昨日あんなに元気だったじゃない!」
余命は過ぎているけれど、知佳さんにとっても、夏帆の急変は意外だったのだろう。
「あ、知佳、…ごめんね、…何度も来させて」
「そんなこと、、何度だって、、何度だって来てあげるわよ」
いつもなら気丈な知佳さんも、苦しげな夏帆の姿にショックを受けたようだった。
「知佳がいてくれなかったら私、…もっと早く死んじゃってたわ。…本当に、本当に……ありがとう」
「なに言ってるの。まだダメよ! みんなでクリスマスパーティしようねって、昨日言ったじゃないの」
「余命よりも…ずっと長く生きれたもの。……この半年は本当に…幸せだった。ご主人と未央ちゃんにも迷惑かけたわ、…よろしく伝えてね」
「私の方がずっと助けられてたわ。夏帆がいなかったら、どうなってたか知れないわ」
知佳さんはもうボロボロに泣いていた。
「よかった、…最期に会えて。……本当にありがとう」
「修二さん、……ありがとう」
喘ぎながらやっとそう言うと、夏帆は目を閉じた。
「夏帆、、」
夏帆は意識を失って、深い眠りに落ちていった。
少しは苦しみからも解放されたのだろうか。
それから数時間して、夏帆はとうとう息をひきとった。
下顎呼吸がチェーンストークスに変わった頃、さっきの医者が来て、夏帆が死ぬのを待っていた。
呼吸も止まり、ハートモニターがフラットになったのを確認すると、腕時計を見た。
「15時23分、ご臨終です」
最後まで淡々と機械的な医師だった。
「夏帆、夏帆っ! うわぁーーん!」
さっきからずっとシクシク泣いていた知佳さんが、夏帆の身体にすがりついた。
僕には誠意のないあの医師を責める資格もない。
ただただ後悔しかなかった。
なぜ僕は夏帆の言うままに家に帰ったりすることが出来たのか。
なぜ一晩中、夏帆のそばにいてやらなかったのか。
いくら有紀と美冬が僕にとって、かけがえのない存在だったとしても。
看護師だけは傷ついている僕たちに、優しい気遣いをみせてくれた。
「あ、あの、器具などを外して、綺麗にしてあげたいのですが、よろしいですか?」
まだあどけなさを感じる若いナースが、遠慮がちに言った。
「お願いします」
涙をふきながら知佳さんが頭を下げた。
昨日、あんなに元気だったのに。
このホスピスに来て、まだ数日しか経っていないのに。
他の患者だったら、少しも珍しく思わない急変なのに、なんの疑いもなく僕は………。
取り乱して見えた知佳さんは、僕よりもずっと冷静だった。
霊柩車の手配も葬儀屋への連絡もテキパキと済ませていた。
死亡診断書を受け取り、夏帆の実家へ向かった。
夕方になって、知佳さんが一旦家に戻った。
夜の7時を過ぎた頃、葬儀屋が来て、湯灌の儀が執り行われた。
夏帆は密葬にして欲しいと言っていたが、知佳さんが友人に知らせたようで、10名ほどが集まった。
湯灌の最中にスマホが鳴った。
ーー有紀からだった。
今日は美冬の誕生日で、ホテルでの顔合わせの日でもあったのだった。
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