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第4章 魔王軍再建と理解
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農園予定地を離れ、城へ戻る道すがら、ヴァルはしばらく黙っていた。歩調は一定で、表情も普段と変わらない。だが、その沈黙は、何も考えていない者のものではなかった。
「……それを言われたのは、君が初めてだ」
不意に落ちた低い声に、リュミエールは足を止めず、視線だけを向ける。
「どれを?」
「居座るつもりはない、という言葉だ」
ヴァルはわずかに口元を歪めた。それは自嘲に近い。
「魔王のために何かをした者たちは、皆、庇護を求めていた。力や地位、安全……見返りのない行動など存在しないと、そう思っていた」
与える側と、与えられる側。最初から上下が決まっている関係。それが、王として、魔王として慣れ親しんできた形だった。
「だが君は違う。助けたあとに去る前提で動いている。それは……対等だ」
その言葉には、戸惑いが混じっていた。拒絶ではない。ただ、慣れていない距離感への違和感だ。
リュミエールは少し考え、静かに口を開く。
「私が、あなたの部下だったら」
言葉を選ぶように続ける。
「それはそれで、負担が大きくなるだけじゃない?」
ヴァルが、わずかに目を見開いた。
「力のある部下は便利よ。でも同時に、王の判断を鈍らせる。考えるべきことを、部下が代わりに決めてしまうから」
だから、と彼女ははっきりと言う。
「私は味方でいたいの。命令を待つ立場でも、庇護を求める立場でもなく、横に立って意見を言える位置で」
それが、あなたのためになると思っただけ。
その言葉に、ヴァルはすぐには返せなかった。だが、その沈黙は拒絶ではない。歩きながら、胸の奥に生まれた感覚を言葉にできずにいた。
――心が、揺れた。
恐怖でも、怒りでもない。尊重されるという感覚。同じ重さで見られているという事実。
魔王ヴァルは、この時初めて理解する。この聖女は従属もしないし、支配もしない。ただ、並ぶ存在なのだと。
その在り方が、これほどまでに心を動かすものだとは、知らなかった。
彼は、無意識のうちに息を吐く。静かに、だが確かに。
魔王の内側で、何かが変わり始めていた。
「……それを言われたのは、君が初めてだ」
不意に落ちた低い声に、リュミエールは足を止めず、視線だけを向ける。
「どれを?」
「居座るつもりはない、という言葉だ」
ヴァルはわずかに口元を歪めた。それは自嘲に近い。
「魔王のために何かをした者たちは、皆、庇護を求めていた。力や地位、安全……見返りのない行動など存在しないと、そう思っていた」
与える側と、与えられる側。最初から上下が決まっている関係。それが、王として、魔王として慣れ親しんできた形だった。
「だが君は違う。助けたあとに去る前提で動いている。それは……対等だ」
その言葉には、戸惑いが混じっていた。拒絶ではない。ただ、慣れていない距離感への違和感だ。
リュミエールは少し考え、静かに口を開く。
「私が、あなたの部下だったら」
言葉を選ぶように続ける。
「それはそれで、負担が大きくなるだけじゃない?」
ヴァルが、わずかに目を見開いた。
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だから、と彼女ははっきりと言う。
「私は味方でいたいの。命令を待つ立場でも、庇護を求める立場でもなく、横に立って意見を言える位置で」
それが、あなたのためになると思っただけ。
その言葉に、ヴァルはすぐには返せなかった。だが、その沈黙は拒絶ではない。歩きながら、胸の奥に生まれた感覚を言葉にできずにいた。
――心が、揺れた。
恐怖でも、怒りでもない。尊重されるという感覚。同じ重さで見られているという事実。
魔王ヴァルは、この時初めて理解する。この聖女は従属もしないし、支配もしない。ただ、並ぶ存在なのだと。
その在り方が、これほどまでに心を動かすものだとは、知らなかった。
彼は、無意識のうちに息を吐く。静かに、だが確かに。
魔王の内側で、何かが変わり始めていた。
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