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──残り時間、あと10分。
ここまで順調に突破してきた俺たちの前に、最後の壁が立ちはだかった。
「……え、えっと、よくここまで辿り着きましたね。うん、本当に……すごいです」
緩やかに前に出たのは、橙の魔導教授──キシャル・ムーサレード先生。
ふわりとした口調、控えめな眼差し──だが、背後に広がる巨大な魔導陣がその実力を雄弁に物語っている。
「き、緊張しなくてもいいですよ?これは試験ですし……でも、手は抜きませんので、はい……」
小さく苦笑するように言いながら、キシャル先生は杖を軽く回転させる。
オレンジ色の魔力がゆらりと立ち昇った。
「……来なさい」
俺はわずかに息を吸った。
──この人は、勇者候補たちの教育係を勤めている男。
柔らかな雰囲気に隠されたその実力は、今まで何度も耳にしていた。
「ククル、援護頼むぞ」
「もちろん……ジム」
***
戦闘が始まった瞬間、空間がきしんだ。
「土の神ネルトゥシエルよ、我が祈りに応え、神々の御加護を顕現したまえ」
キシャル先生の魔導が唸る。
純粋な破壊力というより、速度と緻密な制御の極致──その変幻自在な切り替えが、俺の突進を翻弄する。
(くっ……読まれてる)
「えっと、その……本当に素晴らしい動きなんですけど……でも、まだまだ隙はありますよ?」
優しい声色なのに、一撃一撃が恐ろしく鋭い。
もしククルの補助がなければ、もう何度倒されていてもおかしくなかった。
「癒しの神アスクリィエルよ、彼の者の試練を和らげ、御加護を賜らん」
「……ありがとう、ククル!」
ククルの光の障壁が、ギリギリの防御を支えてくれる。
***
だが──本当の試練は、その先に待っていた。
「ここまで来られたのですね。さすがです」
静かな声と共に現れたのは──青の魔導教授、マリアン・ベリアル先生。
──異次元の強者。
「水の神ハーヤエルよ──」
言葉と共に、まるで空気そのものがマリアン教授に服従するように整列していく。
青の陣が幾重にも重なり、逃げ場のない檻のように展開された。
(……これがリンドラ様と肩を並べた実力……!)
俺は思わず喉が鳴った。
以前、ソフィア教授がぽつりと語っていた──かつてフェーゲ王国国境の守護竜《リンドラ・ナーガ》と共に戦っていた、青の悪魔、と。
今、俺はその本物と対峙している。
「無理をしなくて大丈夫ですよ。ここまで来られた時点で、十分に素晴らしい」
マリアン教授は、柔らかな口調でそう言った。
だが、圧倒的な力はそのまま微塵も揺らがない。
「……でも、まだ俺たちは、降りません」
「ええ。お待ちしていますよ」
青の輝きと光の障壁がぶつかり合う──限界の先を目指す戦いが始まった。
ここまで順調に突破してきた俺たちの前に、最後の壁が立ちはだかった。
「……え、えっと、よくここまで辿り着きましたね。うん、本当に……すごいです」
緩やかに前に出たのは、橙の魔導教授──キシャル・ムーサレード先生。
ふわりとした口調、控えめな眼差し──だが、背後に広がる巨大な魔導陣がその実力を雄弁に物語っている。
「き、緊張しなくてもいいですよ?これは試験ですし……でも、手は抜きませんので、はい……」
小さく苦笑するように言いながら、キシャル先生は杖を軽く回転させる。
オレンジ色の魔力がゆらりと立ち昇った。
「……来なさい」
俺はわずかに息を吸った。
──この人は、勇者候補たちの教育係を勤めている男。
柔らかな雰囲気に隠されたその実力は、今まで何度も耳にしていた。
「ククル、援護頼むぞ」
「もちろん……ジム」
***
戦闘が始まった瞬間、空間がきしんだ。
「土の神ネルトゥシエルよ、我が祈りに応え、神々の御加護を顕現したまえ」
キシャル先生の魔導が唸る。
純粋な破壊力というより、速度と緻密な制御の極致──その変幻自在な切り替えが、俺の突進を翻弄する。
(くっ……読まれてる)
「えっと、その……本当に素晴らしい動きなんですけど……でも、まだまだ隙はありますよ?」
優しい声色なのに、一撃一撃が恐ろしく鋭い。
もしククルの補助がなければ、もう何度倒されていてもおかしくなかった。
「癒しの神アスクリィエルよ、彼の者の試練を和らげ、御加護を賜らん」
「……ありがとう、ククル!」
ククルの光の障壁が、ギリギリの防御を支えてくれる。
***
だが──本当の試練は、その先に待っていた。
「ここまで来られたのですね。さすがです」
静かな声と共に現れたのは──青の魔導教授、マリアン・ベリアル先生。
──異次元の強者。
「水の神ハーヤエルよ──」
言葉と共に、まるで空気そのものがマリアン教授に服従するように整列していく。
青の陣が幾重にも重なり、逃げ場のない檻のように展開された。
(……これがリンドラ様と肩を並べた実力……!)
俺は思わず喉が鳴った。
以前、ソフィア教授がぽつりと語っていた──かつてフェーゲ王国国境の守護竜《リンドラ・ナーガ》と共に戦っていた、青の悪魔、と。
今、俺はその本物と対峙している。
「無理をしなくて大丈夫ですよ。ここまで来られた時点で、十分に素晴らしい」
マリアン教授は、柔らかな口調でそう言った。
だが、圧倒的な力はそのまま微塵も揺らがない。
「……でも、まだ俺たちは、降りません」
「ええ。お待ちしていますよ」
青の輝きと光の障壁がぶつかり合う──限界の先を目指す戦いが始まった。
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