亡命した混血の俺と天使の幼馴染、七斗学院で新しい人生を始めます

藤原遊

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──あと5分。

限界はとっくに超えていた。

俺は全身に魔力を巡らせ、最後の力を振り絞ってマリアン教授の術式を突破しようとする。

「はああっ!」

青の結界の隙間を突いて突進する。その瞬間──

「……さすがですね」

マリアン教授の声が落ち着き払って響く。

「水の神ハーヤエルよ、渦流を導きたまえ」

幾重にも重なる青の魔導陣がわずかにずれ、誘導された水の刃が俺の進路を逸らした。直接の打撃を避けながらも、確実に行動を封じてくる。

(……まるで手のひらの上だ)

この人と正面から戦えば、まだ勝てない。
でも──それでも。

「ジム!」

「──ああ!」

ククルの障壁と回復が、俺のギリギリの踏み込みを支えてくれる。
俺たちは二人で今までやってきた。その積み重ねが、わずかに射し込む光となる。

「ここで倒れるわけには……いかない!」

瞬間、マリアン教授の防御陣の外縁に、一筋の裂け目が生まれた。

その一撃を──

「届けっ!!」

振り下ろす。全力の拳が水流を裂き──

「──終了です」

マリアン教授の声が静かに響いた。
水流の壁がふわりと霧散する。

──青の魔導陣が、停止した。

「合格です。ここまでです」

俺は、反射的に力を抜き、その場に膝をついた。
すぐ横でククルが駆け寄ってくれる。

「ジム、大丈夫!?」

「ああ……ありがとな。助かった……」

肩で息をしながら顔を上げると、マリアン教授とキシャル教授が微笑んで立っていた。

「お見事でした」

「えっと……わたしも、本当に感動しました……はい」

穏やかな拍手を二人が贈ってくれた。
審査を終えた演習場に、静かな称賛の空気が広がる。

***

──翌日、成績表が渡された。

俺たちの名前は、首席の欄に並んでいた。
寮の部屋で二人並んでそれを見下ろし──

「……やったね、ジム」

「ああ。お前と一緒だから、ここまで来られた」

ククルの淡い笑顔が、夕陽に照らされて美しく滲んでいた。
俺はそっとその手を握り返した。

「……次も、絶対に離さない」

「……うん」

静かな決意が、二人の間にまたひとつ積み上がった。

──こうして俺たちは、学院内で正式に「将来有望な特待生」として認められることとなった。
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