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4章 波乱の中の協力
③
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※ルシアン視点
修道院にいると聞いて以来、リリアナのことが気にかかって仕方がなかった。彼女が突然修道女を目指すと言い出したと聞いた時、何かが胸の中で崩れるような感覚を覚えた。
あの強くて誇り高い彼女が、修道院のような閉ざされた場所で過ごすことを選ぶ。それがどうしても納得できなかった。
(彼女らしくない――いや、それ以前に、彼女が何かに追い詰められているのではないか?)
そう考えずにはいられなかった。彼女がどんな困難にも毅然と立ち向かう女性だと知っているだけに、その選択に裏があると感じずにはいられなかったのだ。
修道院を訪ねた時も、リリアナは静かに微笑みながら言った。
「殿下、わたくしはただ平穏を求めているだけです。」
その言葉を聞いた瞬間、怒りにも似た感情が胸を突き上げた。彼女が本当にそれを望んでいるはずがない。いや、望んでいたとしても、それは追い詰められた末の言葉だ。
「平穏だと?君に平穏なんて似合わない。」
そう口にした時、リリアナの表情が少しだけ曇ったように見えた。だが、すぐに微笑みを浮かべる彼女の姿を見て、これ以上追及することはできなかった。
そして今、彼女が修道院を出たと聞いた時、心の奥底でほっとした自分がいることに気づいた。だが同時に、それが危険を伴う行動ではないかという不安も感じていた。
(彼女が外に出るということは……また何かに巻き込まれているのか?)
リリアナが修道院にいる間は、彼女を守る必要がないと思うことで自分を落ち着かせていた。だが、今や彼女がどこに向かうのかも分からない。
「リリアナが一人で抱え込むことを、また繰り返しているのか?」
私はふと呟いた。彼女のことを知れば知るほど、彼女の強さと脆さが交錯するその姿が頭から離れなくなる。
ヴァレンシュタイン家に戻ったと聞いて、私はすぐに家臣に調べさせた。彼女がそこでどんな行動を取っているのか、何を考えているのか、それを知るためには、直接彼女に会うしかない。
数日後、夜会の場で、彼女の姿を見つけた時、胸が高鳴るのを感じた。彼女はいつも通り堂々としているように見えたが、その目にはどこか影があった。
(やはり、彼女は何かを隠している。)
私は彼女に近づき、軽く微笑みを浮かべながら声をかけた。
「久しぶりだな、リリアナ。」
「お久しぶりです、殿下。」
彼女の声は変わらず穏やかだったが、その言葉の裏に、何かを隠している気配があった。
「修道院を出たと聞いたが、何があった?」
「特に何もありません。ただ、少し気になることがありまして。」
「気になること?」
「ええ。」
リリアナはそれ以上何も言わなかった。だが、その言葉の奥に隠された意図を感じ取れないほど、私は彼女を知らないわけではない。
「君が何を考えているのか、全部を聞き出すつもりはない。だが、君が一人で動くのなら、俺も手を貸さなければならないな。」
そう言うと、彼女は少しだけ目を見開いたが、すぐに微笑んで答えた。
「殿下が手を貸してくださるのは心強いですが、わたくしは一人でも十分です。」
「そうか。」
その言葉に、私は少しだけ肩をすくめて笑った。だが、心の中では、彼女が何をしようとしているのか、全てを掴む決意を固めていた。
(リリアナ……君がどこに行こうとも、俺が守る。)
彼女の背中を見送りながら、私は改めて胸に誓った。
修道院にいると聞いて以来、リリアナのことが気にかかって仕方がなかった。彼女が突然修道女を目指すと言い出したと聞いた時、何かが胸の中で崩れるような感覚を覚えた。
あの強くて誇り高い彼女が、修道院のような閉ざされた場所で過ごすことを選ぶ。それがどうしても納得できなかった。
(彼女らしくない――いや、それ以前に、彼女が何かに追い詰められているのではないか?)
そう考えずにはいられなかった。彼女がどんな困難にも毅然と立ち向かう女性だと知っているだけに、その選択に裏があると感じずにはいられなかったのだ。
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その言葉を聞いた瞬間、怒りにも似た感情が胸を突き上げた。彼女が本当にそれを望んでいるはずがない。いや、望んでいたとしても、それは追い詰められた末の言葉だ。
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そして今、彼女が修道院を出たと聞いた時、心の奥底でほっとした自分がいることに気づいた。だが同時に、それが危険を伴う行動ではないかという不安も感じていた。
(彼女が外に出るということは……また何かに巻き込まれているのか?)
リリアナが修道院にいる間は、彼女を守る必要がないと思うことで自分を落ち着かせていた。だが、今や彼女がどこに向かうのかも分からない。
「リリアナが一人で抱え込むことを、また繰り返しているのか?」
私はふと呟いた。彼女のことを知れば知るほど、彼女の強さと脆さが交錯するその姿が頭から離れなくなる。
ヴァレンシュタイン家に戻ったと聞いて、私はすぐに家臣に調べさせた。彼女がそこでどんな行動を取っているのか、何を考えているのか、それを知るためには、直接彼女に会うしかない。
数日後、夜会の場で、彼女の姿を見つけた時、胸が高鳴るのを感じた。彼女はいつも通り堂々としているように見えたが、その目にはどこか影があった。
(やはり、彼女は何かを隠している。)
私は彼女に近づき、軽く微笑みを浮かべながら声をかけた。
「久しぶりだな、リリアナ。」
「お久しぶりです、殿下。」
彼女の声は変わらず穏やかだったが、その言葉の裏に、何かを隠している気配があった。
「修道院を出たと聞いたが、何があった?」
「特に何もありません。ただ、少し気になることがありまして。」
「気になること?」
「ええ。」
リリアナはそれ以上何も言わなかった。だが、その言葉の奥に隠された意図を感じ取れないほど、私は彼女を知らないわけではない。
「君が何を考えているのか、全部を聞き出すつもりはない。だが、君が一人で動くのなら、俺も手を貸さなければならないな。」
そう言うと、彼女は少しだけ目を見開いたが、すぐに微笑んで答えた。
「殿下が手を貸してくださるのは心強いですが、わたくしは一人でも十分です。」
「そうか。」
その言葉に、私は少しだけ肩をすくめて笑った。だが、心の中では、彼女が何をしようとしているのか、全てを掴む決意を固めていた。
(リリアナ……君がどこに行こうとも、俺が守る。)
彼女の背中を見送りながら、私は改めて胸に誓った。
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