終わったらバカンスに行くんだ!〜幻想に終わる社畜の夢〜

藤原遊

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ノー残業デイ

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「ノー残業デーの罠」

AM 9:00 — 本社の“働き方改革”発表

「チカ、ついに本社が“働き方改革”を始めるらしいぞ」

鬼島リョウが、珍しく苦笑いしていた。

「え、まさか……この会社が?」

📩 【本社からの通達】
📩 「今月より、毎週水曜日は“ノー残業デー”を実施します!」
📩 「定時になったら、皆さんすぐ帰ってください!」

「おお! これはついに私のバカンスが……!」

「……そう思うだろ?」

「(え、またですか?)」

AM 10:00 — 不穏な気配

「鬼島さん、でも“ノー残業デー”なら水曜日は早く帰れますよね?」

「チカ、今週のスケジュールを確認してみろ」

📅 今週のスケジュール
• 月曜:新規案件ミーティング(資料作成期限:水曜午前中)
• 火曜:本社からの追加依頼(対応期限:水曜午後)
• 水曜:ノー残業デー(17:30完全退社)
• 木曜:クライアント提出期限(準備は水曜中に)

「……え、これってつまり……」

「“水曜日に終わらせるはずの仕事”が、全部“火曜日までに”になってるってことだ」

「(ノー残業デーのために、前倒しで残業が増えてる!!!)」

PM 8:00 — 火曜日の夜

「チカ、どうだ、資料は?」

「終わりません!!! これ、ノー残業デー関係なく、今日が地獄なんですが!?」

「まぁ、“ノー残業デー”のためだからな」

「(いや、ノー残業デーのために残業させるって、本末転倒すぎる……)」

水曜日・ノー残業デー当日

📩 【本社からのメール】
📩 「皆さん、今日はノー残業デーです! 17:30には全員退社をお願いします!」

「鬼島さん、今日は絶対に帰れますよね!?」

「……」

📩 【クライアントからのメール】
📩 「本日中に確認依頼を送りますので、対応お願いします!」

「……来ましたね」

「チカ、“ノー残業デー”は“退社する日”であって、“仕事が終わっている日”ではないんだよ」

「(つまり、“家で残業”しろと……!?)」

PM 5:30 — 強制退社の現実

「チカ、もう17:30だぞ」

「え、でもこの資料、今日中に仕上げないと……!」

「本社が“帰れ”と言ってる」

「……いや、無理ですって!」

📩 【上司からのメッセージ】
📩 「ノー残業デーなので、会社にはいられませんが、各自で対応お願いします!」

「(え、つまり“会社を出ろ”であって“仕事を終われ”ではないの!?)」

PM 8:00 — 自宅でPCを開く

「鬼島さん、これってつまり……オフィスが使えないだけで、業務時間が短くなったわけではないってことですよね?」

「そうだな。“ノー残業デー”が“業務終了日”になるとは誰も言っていない」

「(“働き方改革”って、そういうことですか???)」

「**“場所を変えただけで、結局残業”**っていうのが、この会社の“ホワイト改革”だ」

「……これなら、普通に会社にいた方が楽だったんですが?」

PM 11:00 — 誰もいないはずの時間

📩 【社内チャット】
📩 「すみません、この件、今確認していただけますか?」

📩 「チカさん、今少しお時間あります?」

📩 「ノー残業デーって、皆さん本当に休んでます?」

「(全員、家で働いてるじゃん……!!)」

翌朝・木曜日

「鬼島さん、これ……何のための“働き方改革”なんでしょうか?」

「“表向きはホワイト企業”とアピールするためだ」

「(でも中身はブラックのまま……)」

📩 【本社からのメール】
📩 「“働き方改革”が成功していることをアピールするため、アンケートにご協力ください!」

「……働き方改革、成功してましたっけ?」

「……知らん。」

— 終わり(そして、次のノー残業デーが来る)
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