覇王はトラウマごと疫病神を愛しすべてを覆す

ちろる

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 指を引き抜かれて、とろけたまま拡げられた淫孔が喪失感にひくひくと蠕動ぜんどうして、時也ときやさんを欲している罪深さに思わず唇を噛み締める。

 けれど彼は、「なんも心配しないでいいから」と、俺の心の内をみ取りながら情動の切っ先をほころびに押し当てた。

 優しい声とは裏腹、彼の視線は男の色気を醸し出していて、欲望の受け口を舌なめずりするように見つめているのがわかってギュッと目を閉じる。

 ゆっくり、長い眠りから目覚めさせられた狭隘きょうあいな進路に、時也さんの熱が押し沈められていくどうしようもない劣情に、大きく背がしなって堪えきれない短い悲鳴が口から漏れ出す。

「男の……ってか、っ、ひじりちゃんの中、ヤバいっ……あんま煽んないでくれ……この時也さんが超早漏になるだろうがっ」

 時也さんの荒い呼気と余裕のない言葉を俺が呼び起こしているのかと思うと、それだけで身体がぞわぞわと極まり始め、言いようのない高揚感に包まれる。

「ん、時也さ、んを、求めて……ごめんなさいっ……あっ、……つ、時也さんのこと、不幸に――」

 その言葉の続きは、ゆっくりと身体を揺さぶられながら有無を言わせないのだとばかりに噛み付くように唇を塞がれたことで、甘い吐息となって散っていった。

(どうか、時也さんが不幸になりませんように――)

 ただそれだけを祈りながら、コツを掴んだように身の内を暴いてくる時也さんに脳まで掻き乱されて、決して離れてしまわぬように、その背に縋る。

 まつわる唇を放してくれない時也さんは、最後まで俺に否定の言葉を紡がせてはくれず、許されているのかもしれないという幻想に胸が詰まって。

「絶対、……っ、放さないから、覚悟しとけ? 聖ちゃ、ん」

 それだけこぼして再び唇を強引に奪われるから、快楽に従うままに身体の奥で時也さんを感じ、満たされ、導かれるように俺の熱は再び弾け、同時に体内を濡らされた。

「――っ、はっ、これで運命共同体だな?」

「……はっ、ぁ……っ、死なないで、時也さん……」

「だから俺は死なねぇって、安心しろ」

 抱きしめられた腕の心地良さを感じながら、久しぶりの温もりを享受した俺の意識は、ぼんやりと霞んでいった――。
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