73 / 85
73
しおりを挟む
「……ではでは! 時也さんの退院を祝して、かんぱーい!」
真夜くんの乾杯の音頭で始まった時也さん退院祝いは、時也さんのマンションに大量のお酒を買い込んできた真夜くんと宇大さんの手土産で催された。
三人はさすが水の世界の集団、どんどん酒を開けていく中、俺はビール一缶にワインを一杯飲んだだけで既に頭が朦朧としてきている。
「聖くん大丈夫? お酒弱いの?」
真夜くんの問いに時也さんが思い出したようにハッとした顔をして、「聖ちゃん、また酔い殺しちまったか? 酒と俺の美貌に」と嘯いた。
「また、ってどういう意味?」
「いい質問だ、真夜。俺と聖ちゃんが初めて結ばれた夜の話なんだけど――」
「わー! 時也さん! その話はしなくていいです!」
酔いつぶれた挙句に時也さんの家にお持ち帰りされて、運命共同体になって抱かれただなんて恥ずかしすぎる。
「えー? 俺と聖ちゃんの大切な初夜の話じゃん? コイツらの前で盛大に惚気けてやんねぇと?」
「初夜とか言わないでくださいっ!」
自分でも真っ赤な顔をしているだろうことがわかるけれど、いい感じにお酒の入った時也さんがどこまで話してしまうかわかったものじゃなくて慌ててしまう。
「ノンケの時也さんが男に堕ちた夜の話、俺も気になります」
ククッと、宇大さんまでもがそんなことを言い出すから(っていうか、宇大さんもノンケだったのに真夜くんに堕ちたんじゃ!?)という疑問はさておき、必死に止めに入ってみるけれど――。
「いやー、あの日の聖ちゃんにはどんなAV女優も顔負けだろうよ。何せ俺に初めての男の抱き方を――」
「時也さんっ!」
真っ赤な顔で制止すると既に七缶ビールを開けてシャンパン三瓶を飲み下しているはずの時也さんは、顔色一つ変えずにケタケタと笑いながら「じょーだん!」と話を切りあげた。
「俺の姫との熱い夜を簡単に教えてやるかよ。つーか、宇大真夜夫婦。今晩はウチに泊めてやるけど、俺たちの愛の巣でいかがわしいことするなよ?」
「しませんよ! っていうか、いつの間に愛の巣に? 二人同棲するんですか?」
真夜くんが邪気のない瞳をくりくりさせるから、俺も初耳過ぎて(えっ!?)と時也さんを見遣ると、彼はグレーの瞳を眇めた。
「するよな? 聖ちゃん? 選択肢はYES一択な?」
(本当にこの人はもう……)
「……します……」
「わー! 聖くんの嫁入りにかんぱーい!」
なんて、嫁入りも決定されつつ、(まぁ、幸せだからいいか)と俺は弱い酒を入れながら四人の宴は続いた。
真夜くんの乾杯の音頭で始まった時也さん退院祝いは、時也さんのマンションに大量のお酒を買い込んできた真夜くんと宇大さんの手土産で催された。
三人はさすが水の世界の集団、どんどん酒を開けていく中、俺はビール一缶にワインを一杯飲んだだけで既に頭が朦朧としてきている。
「聖くん大丈夫? お酒弱いの?」
真夜くんの問いに時也さんが思い出したようにハッとした顔をして、「聖ちゃん、また酔い殺しちまったか? 酒と俺の美貌に」と嘯いた。
「また、ってどういう意味?」
「いい質問だ、真夜。俺と聖ちゃんが初めて結ばれた夜の話なんだけど――」
「わー! 時也さん! その話はしなくていいです!」
酔いつぶれた挙句に時也さんの家にお持ち帰りされて、運命共同体になって抱かれただなんて恥ずかしすぎる。
「えー? 俺と聖ちゃんの大切な初夜の話じゃん? コイツらの前で盛大に惚気けてやんねぇと?」
「初夜とか言わないでくださいっ!」
自分でも真っ赤な顔をしているだろうことがわかるけれど、いい感じにお酒の入った時也さんがどこまで話してしまうかわかったものじゃなくて慌ててしまう。
「ノンケの時也さんが男に堕ちた夜の話、俺も気になります」
ククッと、宇大さんまでもがそんなことを言い出すから(っていうか、宇大さんもノンケだったのに真夜くんに堕ちたんじゃ!?)という疑問はさておき、必死に止めに入ってみるけれど――。
「いやー、あの日の聖ちゃんにはどんなAV女優も顔負けだろうよ。何せ俺に初めての男の抱き方を――」
「時也さんっ!」
真っ赤な顔で制止すると既に七缶ビールを開けてシャンパン三瓶を飲み下しているはずの時也さんは、顔色一つ変えずにケタケタと笑いながら「じょーだん!」と話を切りあげた。
「俺の姫との熱い夜を簡単に教えてやるかよ。つーか、宇大真夜夫婦。今晩はウチに泊めてやるけど、俺たちの愛の巣でいかがわしいことするなよ?」
「しませんよ! っていうか、いつの間に愛の巣に? 二人同棲するんですか?」
真夜くんが邪気のない瞳をくりくりさせるから、俺も初耳過ぎて(えっ!?)と時也さんを見遣ると、彼はグレーの瞳を眇めた。
「するよな? 聖ちゃん? 選択肢はYES一択な?」
(本当にこの人はもう……)
「……します……」
「わー! 聖くんの嫁入りにかんぱーい!」
なんて、嫁入りも決定されつつ、(まぁ、幸せだからいいか)と俺は弱い酒を入れながら四人の宴は続いた。
22
あなたにおすすめの小説
夜が明けなければいいのに(洋風)
万里
BL
大国の第三皇子・ルシアンは、幼い頃から「王位には縁のない皇子」として育てられてきた。輝く金髪と碧眼を持つその美貌は、まるで人形のように完璧だが、どこか冷ややかで近寄りがたい。
しかしその裏には、誰よりも繊細で、愛されたいと願う幼い心が隠されている。
そんなルシアンに、ある日突然、国の命運を背負う役目が降りかかる。
長年対立してきた隣国との和平の証として、敵国の大公令嬢への婿入り――実質的な“人質”としての政略結婚が正式に決まったのだ。
「名誉ある生贄」。
それが自分に与えられた役割だと、ルシアンは理解していた。
部屋に戻ると、いつものように従者のカイルが静かに迎える。
黒髪の護衛騎士――幼い頃からずっと傍にいてくれた唯一の存在。
本当は、別れが怖くてたまらない。
けれど、その弱さを見せることができない。
「やっとこの退屈な城から出られる。せいせいする」
心にもない言葉を吐き捨てる。
カイルが引き止めてくれることを、どこかで期待しながら。
だがカイルは、いつもと変わらぬ落ち着いた声で告げる。
「……おめでとうございます、殿下」
恭しく頭を下げるその姿は、あまりにも遠い。
その淡々とした態度が、ルシアンの胸に鋭く突き刺さる。
――おめでとうなんて、言わないでほしかった。
――本当は、行きたくなんてないのに。
和風と洋風はどちらも大筋は同じようにしようかと。ところどころ違うかもしれませんが。
お楽しみいただければ幸いです。
鈴木さんちの家政夫
ユキヤナギ
BL
「もし家事全般を請け負ってくれるなら、家賃はいらないよ」そう言われて鈴木家の住み込み家政夫になった智樹は、雇い主の彩葉に心惹かれていく。だが彼には、一途に想い続けている相手がいた。彩葉の恋を見守るうちに、智樹は心に芽生えた大切な気持ちに気付いていく。
【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】
紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。
相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。
超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。
失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。
彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。
※番外編を公開しました(2024.10.21)
生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。
※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。
【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】
彩華
BL
俺の名前は水野圭。年は25。
自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで)
だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。
凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!
凄い! 店員もイケメン!
と、実は穴場? な店を見つけたわけで。
(今度からこの店で弁当を買おう)
浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……?
「胃袋掴みたいなぁ」
その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。
******
そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
今日もBL営業カフェで働いています!?
卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ
※ 不定期更新です。
君に不幸あれ。
ぽぽ
BL
「全部、君のせいだから」
学校でも居場所がなく、家族に見捨てられた男子高校生の静。
生きる意味を失いかけた時に屋上で出会ったのは、太陽に眩しい青年、天輝玲だった。
静より一つ年上の玲の存在は、静の壊れかけていた心の唯一の救いだった。
静は玲のことを好きになり、静の告白をきっかけに二人は結ばれる。
しかしある日、玲の口から聞いた言葉が静の世界を一瞬で反転させる。
玲に対する感情は信頼から憎悪へと変わった。
それから十年。
かつて自分を救った玲に再会した静は、玲を自分に惚れさせた上で捨てようとするが…
僕の恋人は、超イケメン!!
八乙女 忍
BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる