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王妃の憂鬱②
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アメリア……。会えないことにもっと違和感を持つべきだった。 ごめんなさい……アメリア。 すんなりと秘密裏に事後処理する国王に恐怖さえ覚えたわ。
歪んだ愛情表現って、意味わからない。そんな一言で終わらせていいものではないでしょう?
理解できない……。国王には理解できたということなのでしょうね。 歪んでる。
私が守らなければいけない。
ウィリアムは、私が厳しく育てるわ。
「王妃様、ウィリアム様は、王宮に迎えられますか」
「いいえ、そのまま公爵邸で乳母を増やして育てます。後見人は王家です。当主はウィリアム、歩き始めたら、家庭教師をつけて」
そうして、ウィリアムをこっそりと見守る生活が始まった。
「王妃様、私は文字を読めるようになりました」
黄金色の瞳をキラキラ輝かせて、国王にも似ている顔で、トテトテと近づいてくるウィリアム。
まるで尻尾をふりまく子犬のようね。
「そう、ウィリアムは文字も読めるのね」
天才だわ! さすがアメリアの息子。 私に子供ができたらこんな感じなのでしょうね。かわいい。 っといけないわ、平常心、平常心。厳しく育てないと。
こんな可愛い子に、厳しくなんてできない。そうだわ、いずれ生まれてくる子供のことを引き合いにだしましょう。
「いずれ生まれてくる王太子にも教えてあげてね」
「王妃様!今日は、練習試合で私が勝ちました。魔法攻撃で瞬殺でした」
「まぁ、もう魔法が使えるの」
すごいわ、ウィリアム! サラサラとしたその髪を撫でたい。 いい子いい子したい……。負けるな自分。
「お、王太子の護衛もできるわね」
そうして、ウィリアムと過ごすうちに、フレデリックが生まれた。念願の自分の子供。
黄金色の瞳に、黒い髪。王族特有の外見。
ウィリアムと兄弟みたいだった。
フレデリックが生まれてからは、私も忙しかったこともあり、ウィリアムが離れていっていることに気づかないふりをしていた。
私がいなくても、フレデリックが側にいる。ウィリアムは一人ではないから大丈夫よ。
優秀なウィリアムの背中を見て、フレデリックも切磋琢磨していた。
「ウィリアム従兄さま、番はどうやって見つけるのですか?」
「フレデリック、私は番はもうどうでもいい。それよりも、やりたいことをするよ」
「待ってください、ウィリアム従兄さまほど優秀な方が国王になるべきです。ですから、番を一一」
「フレデリック、王妃の前で、口が裂けてもそんなことを言うなよ! 何も知らないお前がうらやましいよ」
「従兄さま……」
偶然二人のやり取りを見て、胸がしめつけられた。
そうだわ……ウィリアムには不慮の事故で亡くなったと伝えている。アメリアが亡くなった時の詳細な資料は、厳重に隠し部屋に保管している。ウィリアムに話さないように、真実を知る者には誓約魔法もかけている。
仕方ないのよ。父親が母親と無理心中しただなんて、知らない方がいいに決まっている。
遠い昔の記憶に浸っていると、扉のノックの音で現実に引き戻された。
「王妃様、ウィリアム様をお連れしました」
「通して」
まるで今生の仇と対面するような、嫌悪の眼差しを向けるウィリアムに、動じず挨拶をする。
「とりあえず、そこにかけて、ウイリアム、色々と話があるでしょう?」
歪んだ愛情表現って、意味わからない。そんな一言で終わらせていいものではないでしょう?
理解できない……。国王には理解できたということなのでしょうね。 歪んでる。
私が守らなければいけない。
ウィリアムは、私が厳しく育てるわ。
「王妃様、ウィリアム様は、王宮に迎えられますか」
「いいえ、そのまま公爵邸で乳母を増やして育てます。後見人は王家です。当主はウィリアム、歩き始めたら、家庭教師をつけて」
そうして、ウィリアムをこっそりと見守る生活が始まった。
「王妃様、私は文字を読めるようになりました」
黄金色の瞳をキラキラ輝かせて、国王にも似ている顔で、トテトテと近づいてくるウィリアム。
まるで尻尾をふりまく子犬のようね。
「そう、ウィリアムは文字も読めるのね」
天才だわ! さすがアメリアの息子。 私に子供ができたらこんな感じなのでしょうね。かわいい。 っといけないわ、平常心、平常心。厳しく育てないと。
こんな可愛い子に、厳しくなんてできない。そうだわ、いずれ生まれてくる子供のことを引き合いにだしましょう。
「いずれ生まれてくる王太子にも教えてあげてね」
「王妃様!今日は、練習試合で私が勝ちました。魔法攻撃で瞬殺でした」
「まぁ、もう魔法が使えるの」
すごいわ、ウィリアム! サラサラとしたその髪を撫でたい。 いい子いい子したい……。負けるな自分。
「お、王太子の護衛もできるわね」
そうして、ウィリアムと過ごすうちに、フレデリックが生まれた。念願の自分の子供。
黄金色の瞳に、黒い髪。王族特有の外見。
ウィリアムと兄弟みたいだった。
フレデリックが生まれてからは、私も忙しかったこともあり、ウィリアムが離れていっていることに気づかないふりをしていた。
私がいなくても、フレデリックが側にいる。ウィリアムは一人ではないから大丈夫よ。
優秀なウィリアムの背中を見て、フレデリックも切磋琢磨していた。
「ウィリアム従兄さま、番はどうやって見つけるのですか?」
「フレデリック、私は番はもうどうでもいい。それよりも、やりたいことをするよ」
「待ってください、ウィリアム従兄さまほど優秀な方が国王になるべきです。ですから、番を一一」
「フレデリック、王妃の前で、口が裂けてもそんなことを言うなよ! 何も知らないお前がうらやましいよ」
「従兄さま……」
偶然二人のやり取りを見て、胸がしめつけられた。
そうだわ……ウィリアムには不慮の事故で亡くなったと伝えている。アメリアが亡くなった時の詳細な資料は、厳重に隠し部屋に保管している。ウィリアムに話さないように、真実を知る者には誓約魔法もかけている。
仕方ないのよ。父親が母親と無理心中しただなんて、知らない方がいいに決まっている。
遠い昔の記憶に浸っていると、扉のノックの音で現実に引き戻された。
「王妃様、ウィリアム様をお連れしました」
「通して」
まるで今生の仇と対面するような、嫌悪の眼差しを向けるウィリアムに、動じず挨拶をする。
「とりあえず、そこにかけて、ウイリアム、色々と話があるでしょう?」
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