堕天使様との恋は前途多難です!〜この恋は筋書きにありません!〜

明夏 向日葵

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愛の証明

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扉から離れ、魔王城へ戻ろうとした矢先――。
背後から冷たい声が降りかかる。

「……誰かと思えば。スカーレット?どうして……?あなたは死んだはずでしょう?」

振り返れば、宙に舞う純白の衣と天使の微笑み――聖女マリアが飛行術で彼らの行く手を塞いでいた。

スカーレットは一歩前に出て、毅然とした瞳で言い放つ。
「そうね。あのままだったら私は死んでいたでしょう。けれど……ジルベール様の医術と、ラファエル様の祈りが天に届いて、女神様が私に微笑んでくださったの。だから私は生きているのよ」

その言葉に、マリアの笑みがかすかに引き攣る。
ラファエルを庇おうと前に立つスカーレット。だがラファエルはその手を強く握り、自ら彼女と並んで前へ出た。

「……ラファエル様? あなた……普通の人間に戻ったのね。まさか、あんなに早くレーヴ・オブスキュールが解けるなんて……」

「お前が全てを仕組んでいた方が、俺には驚きだがな」
ラファエルの声音は低く冷たい。

マリアは瞳を揺らし、必死に縋りつく。
「それより……ラファエル様。皆が言うのです。あなたが愛しているのはスカーレットだと。そんなわけ、ありませんわよね? 本当は、私しか愛せないはず……」

細い指がラファエルの腕に絡みついた瞬間――。

「……触れるな。穢らわしい」
ラファエルは氷の刃のような声音で言い放つ。

「一度でもお前に好意を向けていた自分が許せない。はっきり言っておく。お前がセシルの婚約者になった時点で、俺のお前への気持ちはもう消えていた。俺が愛するのはスカーレットだけだ」

「う、嘘よ! そんな女のどこがいいの!?」

「嘘ではない。……疑うなら、自分の目で確かめろ」

そう言うや否や、ラファエルはスカーレットの顎を掴み、強引に唇を重ねた。

「――っ!? ラファエル様!」

必死に抗うスカーレットの両手も、ラファエルの大きな手に包まれ、抵抗の術を奪われる。
唇は深く重なり、やがて舌が絡み合う。

(だ、だから……!こんなところで、こんなキスだめですってば!)

潤んだ瞳が彼を見上げる。名残惜しそうに唇が離れると、ラファエルはそのままスカーレットを抱きしめた。

「も、もう……! ラファエル様、今はそんな状況じゃありませんわ!」

「分かっている。……だが、これも必要だ。マリアに、俺たちの愛を突きつけるためにな」

その言葉通り、マリアの顔は怒りと絶望に歪み、唇を噛みしめる。
「……っ! ラファエル……!」

震える声を残し、彼女は光の翼をはためかせて姿を消した。

スカーレットはラファエルの胸に額を預け、息を整える。
「……ラファエル様、やりすぎですわ……」

「いいや、これでいい。あいつは自分が勝てないと悟ったはずだ」

サムが二人の横に歩み寄り、真剣な眼差しで促す。
「……今は一刻も早く戻りましょう。ジルベール様に報告を」

三人は互いに頷き、夜の王都を駆け抜けて、魔王城を目指した――。
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