堕天使様との恋は前途多難です!〜この恋は筋書きにありません!〜

明夏 向日葵

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作戦会議

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魔王城、重厚な石造りの会議室。
壁に揺れる燭台の炎が影を伸ばし、冷えた空気が張り詰めていた。

スカーレット、ラファエル、そしてサムが駆け込むと、すでにジルベールが長机の奥に座り、待っていた。
「……戻ったか。顔を見るに、ただ事ではなかったようだな」

スカーレットは深く息を整え、短く頷く。
「はい。マリアの目的がはっきりしました。彼女は王を暗殺し、セシル王子を王位に就けて自ら王妃になるつもりです」

ジルベールの紫の瞳が鋭く光る。
「……やはりな。王妃が動けなくなった今、マリアが次に狙うのは王その人しかない。思った以上にあの女は追い詰められている」

ラファエルが低い声で言葉を継ぐ。
「問題は、父上が暗殺される前に手を打てるかどうか、だ。……王城の警備は厳しいが、マリアは聖女という立場を利用して自由に出入りできる。彼女の“仮面”を暴かねばならん」

サムが腕を組み、険しい顔で口を挟む。
「ですが、マリアを正面から告発しても証拠がなければ逆に我々が糾弾されかねません。『偽聖女』などという噂は容易に掻き消されるでしょう」

「ではどうすればいいの?」
スカーレットが問うと、ジルベールが指先で机を軽く叩き、思案を示す。

「……まずは二段階でいこう。
第一に、マリアが王暗殺を企んでいるという証拠を押さえること。奴が魔術か毒か、あるいは別の手段を用いるかは不明だが……必ず痕跡を残すはずだ。
第二に、王の前でマリアの化けの皮を剝ぐ場を作る。……王自らの目で真実を確かめさせる必要がある」

「なるほど……」とスカーレットは呟く。だが不安が胸をよぎった。
「ですが……もしマリアが先に行動を起こしたら……」

「だからこそ、こちらから仕掛ける」
ジルベールは静かに微笑む。その笑みには冷ややかな決意が宿っていた。

「スカーレット。お前とラファエルには“囮”を担ってもらう。マリアにとって最大の障害はお前たち二人。……奴が必ず牙を剥くはずだ。その瞬間を、こちらが捕らえる」

ラファエルの瞳が鋭くなる。
「つまり……俺とスカーレットを餌にして、マリアの正体を暴く……そういうことか」

「その通りだ。危険ではあるが、最も確実な策でもある」

スカーレットはラファエルの横顔を見つめ、そっと頷いた。
「大丈夫よ。今度は私も、貴方と一緒に戦う。絶対に負けたりしないわ」

ラファエルは彼女の手を握り返し、低く囁く。
「……ならば俺は、お前を決して離さない。それだけは約束する」

サムは小さく息をつき、短剣を握り直す。
「……腹は決まりましたね。俺も徹底的にサポートします」

ジルベールはゆるやかに立ち上がり、三人を見渡す。
「よかろう。これで布陣は整った。――次に動くのは我らだ。偽りの聖女マリアの終幕を、この手で描こうではないか」

燭火が強く揺れ、闇を裂くように会議室を照らした。
王を狙うマリアとの決戦、その幕がいよいよ上がろうとしていた――。
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