61 / 65
語られる真実
2
しおりを挟む
以前に、一真くんが話してくれた「ちひろ」という彼の親友。男の子だと思い込んでいた。まさか、彼の娘だったなんて……。
でも、と思い出す。あの当時、神崎は妻と別居していて、娘は妻が引き取っていると言っていた。愛児園にいる、とは聞いていない。
「ちひろさんとは、愛児園で知り合ったって言ってなかったっけ」
「そうです。ちひろは、愛児園でボランティア活動をしていました。主に低学年の子どもを相手に、クリスマスや節分、雛祭り、夏休みのイベントを手伝うボランティアです。僕たちはそこで知り合いました」
「付き合ってるの? 彼女なの?」
「違います」
はっきりと、明確な否定。
「ちひろは親友です。恋愛感情ではないです。僕、恋愛感情ってよくわからないので」
それから、一真くんは詳細を話しだした。愛児園を出てから一真くん自身が仕事やアルバイトで忙しかったこともあって、ちひろさんとは久しく連絡を取っていなかったこと。久しぶりに彼女から連絡があり、その取り乱した様子から異変を感じ、彼女に会ったこと。そして、ちひろさんから、神崎の遺品整理をしていたときに、わたしの写真が出てきた、と聞いたのだと。
「ちひろにとって神崎は良い父親で、子煩悩で、彼女をすごく大切にしていた。その父親にまさかそんな一面……、ましてや母親を裏切ってたなんて微塵も思っていなかったそうです。二人の別居の理由は別にあったらしいんで」
一真くんは、わたしの反応を見ているのだろうか。しばらく黙り、そして覚悟を決めたように大きく呼吸をすると、言葉を続けた。
「出てきた写真は、とても公に見せられるものじゃなかった。僕も最初は目を疑いました。僕らはそういう世界を知らなかったんですよ。それが愛故に行われるものだという認識は、普通に何も知識がない人が見たらまず思わないでしょうし。一般的な常識から言っても、異常な世界に感じたっていうのが正直なところでした」
どんな写真なのか、その説明だけではわからないけれども想像がつく。神崎が何度となくわたしの、そのときの写真を撮っていたのは知っていた。まさか、プリントしていたとまでは思っていなかったけれども。
でも、と思い出す。あの当時、神崎は妻と別居していて、娘は妻が引き取っていると言っていた。愛児園にいる、とは聞いていない。
「ちひろさんとは、愛児園で知り合ったって言ってなかったっけ」
「そうです。ちひろは、愛児園でボランティア活動をしていました。主に低学年の子どもを相手に、クリスマスや節分、雛祭り、夏休みのイベントを手伝うボランティアです。僕たちはそこで知り合いました」
「付き合ってるの? 彼女なの?」
「違います」
はっきりと、明確な否定。
「ちひろは親友です。恋愛感情ではないです。僕、恋愛感情ってよくわからないので」
それから、一真くんは詳細を話しだした。愛児園を出てから一真くん自身が仕事やアルバイトで忙しかったこともあって、ちひろさんとは久しく連絡を取っていなかったこと。久しぶりに彼女から連絡があり、その取り乱した様子から異変を感じ、彼女に会ったこと。そして、ちひろさんから、神崎の遺品整理をしていたときに、わたしの写真が出てきた、と聞いたのだと。
「ちひろにとって神崎は良い父親で、子煩悩で、彼女をすごく大切にしていた。その父親にまさかそんな一面……、ましてや母親を裏切ってたなんて微塵も思っていなかったそうです。二人の別居の理由は別にあったらしいんで」
一真くんは、わたしの反応を見ているのだろうか。しばらく黙り、そして覚悟を決めたように大きく呼吸をすると、言葉を続けた。
「出てきた写真は、とても公に見せられるものじゃなかった。僕も最初は目を疑いました。僕らはそういう世界を知らなかったんですよ。それが愛故に行われるものだという認識は、普通に何も知識がない人が見たらまず思わないでしょうし。一般的な常識から言っても、異常な世界に感じたっていうのが正直なところでした」
どんな写真なのか、その説明だけではわからないけれども想像がつく。神崎が何度となくわたしの、そのときの写真を撮っていたのは知っていた。まさか、プリントしていたとまでは思っていなかったけれども。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
5
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる