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サバゲーの頂点に立ちたいでしょう?

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 体育館の中に、1メートル4方のクッションがいくつも置かれ、壁はすべてブルーシートで覆われた。

「すごいですね……」

 五十個のクッションが両陣営に鏡写になるように置かれ、対角線上に旗がひとつずつ。

「これがフラッグハントのステージネー。っていっても、広さとかは公式戦の半分デスケドネー」

 にこにこ笑みを浮かべた尋。いつもの突撃銃AKM74ではなく、極短化された突撃銃《AKS74U》をもっていた。

「Standby,Move,Shot.戦闘行動の三原則ネー!」

「その凝縮形こそが、フラッグハントだ」

 いつも通りふたりは肘膝にパッドを付けた黒いつなぎ姿。それに予備の弾倉や拳銃を納めたプレートキャリア。

 尋とフーの装備は、形が同じだが、明確に違う点がある。

 尋は黒いつなぎ以外は、すべて砂色の迷彩が施されている。首には似たような柄のスカーフが巻かれていて、ほかの装備と同じ迷彩柄のキャップに髪を押し込んでいる。

 片やフーは黒一色。スカーフだけは濃い赤。

 森の中では完全に浮き上がってしまうように思えるが、普段ならその上に森そのもののようなマントを羽織るので問題はない。

 今日は使用するエアソフトがライフルタイプではないため、ライフル用の弾倉入れは付けていない。代わりにプレートキャリアには細長い予備弾倉入れがついている。

「フーセンパイのエアソフトって、不思議な形してますよね」

 ここ最近、自発的にエアソフトなどの雑誌を見るようなった音羽だが、どの雑誌にも彼女のカービン銃は掲載されていない。フーの事だから、自分で作ったのだろうかと思った。

「これは、ピストルカービンという。中に拳銃を入れて使う拡張キットだ」

「フーの場合、それをさらに改造してるネー。原型があんまり残ってないヨー」

 意味はよくわからないが、どうやら拳銃が中に入っている事が、なんとなくわかった。

「拳銃なんですか?」

「拳銃の短所を徹底的につぶした結果だ」

「拳銃の長所を徹底的につぶした結果ネー」

 すると尋はひょいとフーの後ろに回り込み、がしっと抱きしめ羽交い絞めにする。

 そしてフーの右脇にプラスチックのホルスターに収められた拳銃を抜く。

「これと同じのが入ってるネー」

 取り出したモノを音羽に見せた。

「MEUじゃないがな」

「原型は同じネー」

 細身だが大きい拳銃だ。音羽とほとんど同じ背格好の少女が使うには、かなり大きい。

 中に拳銃が入っているとは思えないほど、フーのカービン銃は形が変わっている。細長いボディに、ライフルの肩当て。光学機器がごてごてと搭載されたそれは、小型の突撃銃だ。まず拳銃には見えない。

「センパイたちの大きいですね。ほかの人は、結構小さいのばかりです」

 周囲を見渡すと、フーのカービン銃が一番大きい。

 ほかの参加者は、ほとんどが小型の短機関銃だ。それも極端に切り詰めたもので、肩当てがついたエアソフトを持っているのは、音羽たちだけである。

 フーから離れながら、自分のエアソフトに弾倉を入れる尋が笑う。
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