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こくがいついほう
牢での話
しおりを挟む目が覚めると言うより、体が起きる起動するような感覚。
そんな感覚は姫に会う前の事を思い出す。
それでも、目覚めなければならないだろう。
ばっちりと目を開けて
起きて目覚めて見た場所は。
硬くて冷たい床、布団の一枚もなくやけに燃料のような匂いがする所だった。
服は、いつの間にかボロ布ような汚い服を着ていた。
いや、この格好は…
「囚人?」
「正解~。」
へっと笑うような軽薄な声ともに、檻の前には俺と同じような囚人服を着た男が居た。
「よー、新入りさん!」
鍵をガチャっと開けると檻の中にずっと入ってきた。
「、なんで、鍵を持ってんのに逃げないんですか?」
他にするべき質問があるとも少し思ったが
それでも一番に聞くべきはそこだ。
「ん…あぁ、そんな事聞く?んーとね。僕はあと1年で出所出来るからさ、変に危ない橋渡るより…ね」
その男は鍵のあるポケットをさすって項垂れるように下を向いた。
「それって、手頃な餌ぶら下げて走る馬と大差ないじゃないですか…
反逆心も反抗心もないのは牙っていう武器がないからでですか?」
目先の提示された条件に、
いやそれ以前に牙を抜かれていたとしても
それで諦めてしまう強さなんて
「心も弱くて体も弱い人ですね。」
中々彼からの返事なく俺は彼に軽蔑の眼差しとともにそう告げた。
言われた方はまだ目をぱちくりとそして、わざとらしく驚いたふうな顔をした。
「ぷ…あはは、」
緊張感の抜けた笑い声。驚きが抜けると笑い出す。
こいつは、おかしな奴なのだなと理解するが笑い声に少しむかっとくる。
「なんなんですか?」
「いや、まぁ…姫さんや王の言う通りの奴だな。と」
姫、王。
この言葉でやっと分かった。まず、囚人なんかに鍵を託すものか。俺がこんなに早く起きるのは計算外…ってことか。
「お前、地位は何だ?」
「おぉ…頭が切れるし度胸もある。」
「そんな…君が、姫を裏切るなんて。」
褒められて、気持ち悪い感触だったがそれより次の言葉が彼の独り言が聞こえなかった。
「まぁ、姫の専属騎士様だった君より立場は低いよ。
そうだねぇ…姫の専属騎士候補だった城内騎士団の総括役。って所かな。
で、なんで僕が君の拷問係だってわかったの?」
釜掛けのつもりは無かったし、ただ単純にどんなやつに任されるのか知りたかっただけなのだが。
拷問…か。
「王、姫。そんな国のてっぺんと喋れるのは近衛騎士団以上の地位は要る。
後は、俺が昔1度だけここを任されたことがあるからだ。」
「ふーん…なるほどねぇ。でも、一度しか任されなかったわけ君はわかってるの?」
こいつは、俺に関するデータを知っているのだろう。
この状況で知らばっくれればある事ないこと上に言われるのだろう
「…。姫に言われ事があるな。
『貴方は、野生の熊ね。本当は弱い癖に人から誤解される。
でも、貴方自身が誤解を解く前に周りの人間が弱いことを理解する。知能が、高いし環境適応能力も高い。
でも、あなたは人間よ。他の誰を殺して構わないけれど主君を裏切るのは駄目よ。』
とか。」
「まぁ、概ねその通りだ。
君は、主君を裏切ることはしない。でも、権力に屈するタイプでもないし。
でも、君が」
彼は、にっこり笑うと俺の知らない事実を伝える。
「姫を殺した事は裏切りじゃないのかねぇ?」
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