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こくがいついほう
騎士候補と知られざる事実
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その時は、時間が止まったのかと思った。
いつもは働き蟻のように動く頭も動き止まって。
思考は、彼から突きつけられた事実で止まってしまう
「どうゆう…事、だ?」
「どうゆうも何も、」
「君は姫を殺したたんだ。」
「…は?」
俺が、姫を殺した?
あの時、俺が会いに行く前に…姫は死んでしまって…
血化粧に染まった真っ白い肌。
ネグリジェが赤く染まり、息もしてない彼女。
「姫は、もう死んでいて…
俺は、殺していな…い。」
「そうだろねぇ?君犬みたい姫について行ってたし。」
あっさりとした前言撤回
そして彼から思いの外ポジティブな意見が贈られ俺は分からなくなって混乱する。
「じゃあ…なんでそんな事言うんだ?」
「聞きたいかい?」
乾いた笑いが牢にこだまする。
「…僕が、本当の姫の騎士になるはずだった。」
その一言を区切りに彼は語り出す。
あったはずの彼の将来。
有り得たはずの未来。
ー五年前ー
「おい、サハナウェル・ヴァール。」
「は、はい!」
五年前の僕は、騎士団に入ったばかりの新入団員。
でも、成績はいつも5位圏内。
他の上位者は生活態度やらに問題がある中
僕だけ優等生、そんな心地の良い評価を守る為。
人がやりたくない仕事も受けたし
交友関係もなるべく広く深く心掛けた。
人に嫌われないように。
剣の腕が上がるように四方八方働き詰めの缶詰状態になっていて。
そんな時だった。
「お前、姫。アレス・マリーミールの護衛の騎士候補に選ばれた。」
「ほ!ホントですか!」
姫の護衛役とは、候補に上がるだけでも名誉な事でつまり王国で認められたと同じ事なのだ。
そこからの僕は、あまりの人と接することが少なくなり剣に打ち込み続けた。
姫の騎士になれば尊敬も得られる少し犠牲は仕方ないと思っていたし、それ以上の素晴らしい未来は約束されたも同然だったから。
だが…それは数日後壊された。
その日は、新入りという体で姫が入団してくるという感じの試験だった。
前もって情報を教えられたので、その日為に俺は努力を重ねた。
色んな展開を予測して、姫と戦ったやつが負けたところどうにかすれば勝機がある。
はずだった。
なのに…なぜ?
実力以外にも、姫を精神面でも救う。それが、騎士の役目ではないのか。
実力しか必要無いのなら最初から弱者に希望なんて見せないでくれ。
弱い者が出世を狙ってはいけないのか。
そんな言葉一気に心から溢れく。
「アレス・マリーミール」
「カルデア・キリシュ」
俺は、
彼らに復讐を誓いながら継ぎ接ぎだらけの俺の心を体を動かし騎士となる。
強く、孤高の。
完璧な騎士に、前より完璧に前よりも完全な騎士に。
なる。
俺は、俺の憧れの騎士になる。
彼の一人語りは、一方的に終わった。
その話は、俺の心を痛めるでも無く癒してくれるわけでも無かった。
でも…俺に、勇気をくれた。
「お前が、選ばれなかったのも俺が選ばれたのも姫の気まぐれだよ。」
「姫は俺を好きでもないし、お前を嫌いなわけでもない。
真実を曲解して、自分の実力にしろ短所から目を背けちゃいけないんだよ。」
あいつは、剣技をどれだけ努力しても強く慣れなかったように。
俺は、どんなに何かを努力して剣技しか認められなかったように。
「お前も俺も、所詮弱虫で。
お前は、周り。俺は姫から嫌われたくなかった。」
「でも、変わらないことなんてありやしないんだよ。
牢屋に閉じこもって、耳を塞いでたらダメなんだよ。」
俺は、真実を目にしなければならない。
殻にこもって耳を塞いで都合いい妄想にふけるのはもうやめよう。
苦しくても、辛くても真実に辿り着かなくてはならない。
これは、俺が真実を知るまでの物語。
そして、あったかもしれない未来の断片と知りたくもない過去を知る話。
いつもは働き蟻のように動く頭も動き止まって。
思考は、彼から突きつけられた事実で止まってしまう
「どうゆう…事、だ?」
「どうゆうも何も、」
「君は姫を殺したたんだ。」
「…は?」
俺が、姫を殺した?
あの時、俺が会いに行く前に…姫は死んでしまって…
血化粧に染まった真っ白い肌。
ネグリジェが赤く染まり、息もしてない彼女。
「姫は、もう死んでいて…
俺は、殺していな…い。」
「そうだろねぇ?君犬みたい姫について行ってたし。」
あっさりとした前言撤回
そして彼から思いの外ポジティブな意見が贈られ俺は分からなくなって混乱する。
「じゃあ…なんでそんな事言うんだ?」
「聞きたいかい?」
乾いた笑いが牢にこだまする。
「…僕が、本当の姫の騎士になるはずだった。」
その一言を区切りに彼は語り出す。
あったはずの彼の将来。
有り得たはずの未来。
ー五年前ー
「おい、サハナウェル・ヴァール。」
「は、はい!」
五年前の僕は、騎士団に入ったばかりの新入団員。
でも、成績はいつも5位圏内。
他の上位者は生活態度やらに問題がある中
僕だけ優等生、そんな心地の良い評価を守る為。
人がやりたくない仕事も受けたし
交友関係もなるべく広く深く心掛けた。
人に嫌われないように。
剣の腕が上がるように四方八方働き詰めの缶詰状態になっていて。
そんな時だった。
「お前、姫。アレス・マリーミールの護衛の騎士候補に選ばれた。」
「ほ!ホントですか!」
姫の護衛役とは、候補に上がるだけでも名誉な事でつまり王国で認められたと同じ事なのだ。
そこからの僕は、あまりの人と接することが少なくなり剣に打ち込み続けた。
姫の騎士になれば尊敬も得られる少し犠牲は仕方ないと思っていたし、それ以上の素晴らしい未来は約束されたも同然だったから。
だが…それは数日後壊された。
その日は、新入りという体で姫が入団してくるという感じの試験だった。
前もって情報を教えられたので、その日為に俺は努力を重ねた。
色んな展開を予測して、姫と戦ったやつが負けたところどうにかすれば勝機がある。
はずだった。
なのに…なぜ?
実力以外にも、姫を精神面でも救う。それが、騎士の役目ではないのか。
実力しか必要無いのなら最初から弱者に希望なんて見せないでくれ。
弱い者が出世を狙ってはいけないのか。
そんな言葉一気に心から溢れく。
「アレス・マリーミール」
「カルデア・キリシュ」
俺は、
彼らに復讐を誓いながら継ぎ接ぎだらけの俺の心を体を動かし騎士となる。
強く、孤高の。
完璧な騎士に、前より完璧に前よりも完全な騎士に。
なる。
俺は、俺の憧れの騎士になる。
彼の一人語りは、一方的に終わった。
その話は、俺の心を痛めるでも無く癒してくれるわけでも無かった。
でも…俺に、勇気をくれた。
「お前が、選ばれなかったのも俺が選ばれたのも姫の気まぐれだよ。」
「姫は俺を好きでもないし、お前を嫌いなわけでもない。
真実を曲解して、自分の実力にしろ短所から目を背けちゃいけないんだよ。」
あいつは、剣技をどれだけ努力しても強く慣れなかったように。
俺は、どんなに何かを努力して剣技しか認められなかったように。
「お前も俺も、所詮弱虫で。
お前は、周り。俺は姫から嫌われたくなかった。」
「でも、変わらないことなんてありやしないんだよ。
牢屋に閉じこもって、耳を塞いでたらダメなんだよ。」
俺は、真実を目にしなければならない。
殻にこもって耳を塞いで都合いい妄想にふけるのはもうやめよう。
苦しくても、辛くても真実に辿り着かなくてはならない。
これは、俺が真実を知るまでの物語。
そして、あったかもしれない未来の断片と知りたくもない過去を知る話。
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