姫君殺しの騎士様

淡雪 理依奈

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なぞのうらないし

叶えたい思い

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奴の言う、守るべき誰かは分かってしまった。
『俺には、身内でも人生かけて守りたい人なんて…居な』

いや、居るのか一様。
姫を守るために俺は命を張ってきたのだし。

でも、それは名誉で仕事でこの国に生まれた真っ当に享受する宿命のようなもので。
彼女に、命をかけるまでのことを誰が望んだろうか。


『自分に、試練を与える形もあるから一概にそうも言えないか。』

乱暴に考えを区切って、話を変えようとする。
恨んでいたやつが
実はいい人だったり死刑囚は実は無実の濡れ衣を着せられたりなんていうのはあくまで、他人事だからこそ同情できるのだ。

『身近に起こってしまったら、そんなの…。』

駄目なのだ、人の裏側なんて無闇にやたらと探るものではないのだ。

知りたくもないことなら、尚更。

『裏切り者が裏切り者じゃなかったとしたら、俺はどうにかなってしまう。だから、俺の中で悪者でいてくれ。』
そう思ってしまう俺は酷く弱虫なのだろう。
人の裏側なんて知って気分のいいものなんかではないし、自分の憎いやつが良い奴だったら気持ちが鈍って自分に、当たるかもしれない。

流れていく映像と心が切り離される様なよくわからない感覚に押される。

「イリス様…、スコーン焼けましたよ?」
そこは、王宮から離れた素朴な町で大きな原っぱにシートをひいて彼女は寝転んでいた。

焼きたてのスコーンやサンドイッチを籠に入れて二人は幸せそうに食べている。

「久々の休暇、私じゃなくて姫様とお過ごしになればよかったのに…」
メイドは遠慮がちに言いながらも目を伏せる。
「アリスは…忙しいからな。
それに、お前と喋ってる方がアリスの話が出来るからな!」
一言言うとしょんぼりしたが普通に笑ってスコーンを頬張る。

「戦いも、王族もなんにも無くて身分なんて、何も無くて。
そんな世界に、なったらいいな。」
唐突に少し物寂しそうに彼女はそういう。
「…イリス様、」

「分かってるよ。そんなの叶わないことだって。でも、せめてあいつの周りだけを幸せにしなきゃな。」


「いえ!そう言うんじゃなくて、」

くらい雰囲気を脱するかのような笑顔でメイドはそう言った。

「いつか、戦いが終わって平和になったら2人にスコーンとか、マカロンとか、ザッハトルテとか、タタンタルトとか!

色んなものを作ってあげます。だから、その時姉妹で食べれたらいいですね!」

メイドは微笑んでそう言った。

「そんなに…食べれないよ。
だから、食べる時は一緒だ。

三人で美味しいものいっぱい食べよ。」
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