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第一章 黒猫の夢?
二十七話
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[ももんぐさん、盗み食いしてたんですか?]
瑞樹が、ジト目でももんぐさんに訪ねると、頭の上で、もぞもぞ動いて、瑞樹の視界から逃げるようにしてから、コホンと、咳払いした。
[いや、なに、あのな、そやつの遊び仲間の風の子達が、そやつの、母君の料理が旨いと言っとったから、つい、手が出てしまってのう]
「つい、って…あなたのせいで、ほぼ毎日、卵焼き弁当になったんですよ。肉食べたかったのに…」
[「ええ、なにそれ?どういう事?正兄」]
「ああ、弁当食べながら、話をしよ」
俺達が通う高校の卒業生である正兄は、高校入学直後、弁当に、隙間があるのが気になった。母親…ばあちゃんが、そんな隙間がある弁当を作る事が不思議で、家に帰って話をすると、じいちゃんが、弁当箱をみて、土地神様に、気に入られたのかもそれないと言い出した。
それを信じたばあちゃんが、どこに隙間があったのか聞いて、どうやら卵焼きが、好きらしいという事が分かると、おかずのメインが卵焼きという弁当を持たされる事が多くなったそうだ。
そして、卒業間近になって、初めて自分の弁当から卵焼きを抱えるムササビを見ることができたが、直ぐに姿が消えてしまった。
そして、その事を家に帰って話すと、じいちゃんは、ハッハッハッと、笑って、『ももんじい』だったか、まぁ、あの森の主だろうから問題ないだろうと、言っていたそうだ。
成長期だった正兄は、卵焼きも好きだが、肉の比率をもう少し増やして欲しかった…と、呟いた。俺達は、笑ってしまった。
[ああ、あん時は、たまげたな。姿を隠しておったのに、目があってしもうて、慌てて逃げたんじゃ、その後、お主が、来んようになってしまって、あの旨い卵焼きが、食べれんようになって、ほんに、残念じゃ]
「卒業して、ここを離れましたからね。でも、なんで、あの時だけ、姿が見えたのか不思議だったんですけど、お前達のせいだったんだな」
?
「どういう事?」
「ももんぐさんを見ることが出来た日は、一週間前に、幸夫さんが亡くなって、お前達が家に預けられた次の日だ」
……
父さんが死んで、母さんが、一人で…というか、俺達を育てる自信がないとかなんとか言って、じいちゃん家に、俺達を置いて行った日の次の日…
[ほほー、風の子達を使う力だけだと、おもっとったのに、お前さん達の影響で、ワシが見えたのか、面白いのう]
卵焼きが、好きというから、駅弁についていた卵焼きをあげたら、甘すぎるとか、なにやら雑味があるとか、なんとか、文句を言いながらも、全部食べきったももんぐさんに、そう言われたけれど…俺達は、なんの事か分からない。
しかも、あの近辺の事は、あまり思い出したくない事ばかりがあったし、小さかったから、記憶も曖昧になっている。
「そう言えば、正兄。俺達の夢について、説明出来るって、言ってなかった?」
[えっ?ホント?]
猫になって、のほほんとしていると思っていたけど、やはり不安だったのか、瑞樹は、正兄の膝の上で話を聞いていた。
そんな、瑞樹の頭を撫でながら、正兄は、頷いた。
瑞樹が、ジト目でももんぐさんに訪ねると、頭の上で、もぞもぞ動いて、瑞樹の視界から逃げるようにしてから、コホンと、咳払いした。
[いや、なに、あのな、そやつの遊び仲間の風の子達が、そやつの、母君の料理が旨いと言っとったから、つい、手が出てしまってのう]
「つい、って…あなたのせいで、ほぼ毎日、卵焼き弁当になったんですよ。肉食べたかったのに…」
[「ええ、なにそれ?どういう事?正兄」]
「ああ、弁当食べながら、話をしよ」
俺達が通う高校の卒業生である正兄は、高校入学直後、弁当に、隙間があるのが気になった。母親…ばあちゃんが、そんな隙間がある弁当を作る事が不思議で、家に帰って話をすると、じいちゃんが、弁当箱をみて、土地神様に、気に入られたのかもそれないと言い出した。
それを信じたばあちゃんが、どこに隙間があったのか聞いて、どうやら卵焼きが、好きらしいという事が分かると、おかずのメインが卵焼きという弁当を持たされる事が多くなったそうだ。
そして、卒業間近になって、初めて自分の弁当から卵焼きを抱えるムササビを見ることができたが、直ぐに姿が消えてしまった。
そして、その事を家に帰って話すと、じいちゃんは、ハッハッハッと、笑って、『ももんじい』だったか、まぁ、あの森の主だろうから問題ないだろうと、言っていたそうだ。
成長期だった正兄は、卵焼きも好きだが、肉の比率をもう少し増やして欲しかった…と、呟いた。俺達は、笑ってしまった。
[ああ、あん時は、たまげたな。姿を隠しておったのに、目があってしもうて、慌てて逃げたんじゃ、その後、お主が、来んようになってしまって、あの旨い卵焼きが、食べれんようになって、ほんに、残念じゃ]
「卒業して、ここを離れましたからね。でも、なんで、あの時だけ、姿が見えたのか不思議だったんですけど、お前達のせいだったんだな」
?
「どういう事?」
「ももんぐさんを見ることが出来た日は、一週間前に、幸夫さんが亡くなって、お前達が家に預けられた次の日だ」
……
父さんが死んで、母さんが、一人で…というか、俺達を育てる自信がないとかなんとか言って、じいちゃん家に、俺達を置いて行った日の次の日…
[ほほー、風の子達を使う力だけだと、おもっとったのに、お前さん達の影響で、ワシが見えたのか、面白いのう]
卵焼きが、好きというから、駅弁についていた卵焼きをあげたら、甘すぎるとか、なにやら雑味があるとか、なんとか、文句を言いながらも、全部食べきったももんぐさんに、そう言われたけれど…俺達は、なんの事か分からない。
しかも、あの近辺の事は、あまり思い出したくない事ばかりがあったし、小さかったから、記憶も曖昧になっている。
「そう言えば、正兄。俺達の夢について、説明出来るって、言ってなかった?」
[えっ?ホント?]
猫になって、のほほんとしていると思っていたけど、やはり不安だったのか、瑞樹は、正兄の膝の上で話を聞いていた。
そんな、瑞樹の頭を撫でながら、正兄は、頷いた。
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