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現在
21 欺瞞 -Chapter セラフィム
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セレイナが王城に来て間もなく、リージェリアの表情が徐々に変わり始めた。
セラフィムがセレイナの方に視線を向けるたびに、彼女は顔を強張らせ身を硬くする。
「セレイナ妃が……」
薄紅髪が彼女の頬に影を作る。俯いた彼女は悲し気に微笑みながら、セレイナへの不満を述べるようになった。
「政務の折、彼女は……私に『貴方は無能だ』と言うのです」
その言葉は謙虚で、申し訳なさそうに聞こえた。だが、その度にセラフィムは、妻を宥めなければならなくなった。
「君は無能などではないよ、リージェリア。それにセレイナは、そういう人ではないはずだ」
そう言いつつも妻の涙を見れば、彼は自身の言葉に確信を持てずにいた。何度も何度も、この繰り返しが続いた。
セラフィムは、セレイナへの評価と、妻への責任の間で揺れていた。セレイナを見つめれば、リージェリアが傷つく。リージェリアを安心させれば、セレイナから遠ざからなければならない。
その葛藤と、妻を宥め続けるという疲弊。セラフィムは、その状況から逃げたかった。だから、彼はセレイナから距離を置くことを選んだのだ。
それが、彼の心の平穏を取り戻す唯一の方法だと信じて。
セラフィムは、セレイナとの面会を減らした。政務においても、直接彼女とのやり取りは避けるようになった。できるだけリージェリアの傍にいることで、彼女の不安を鎮めようとした。
それから次々とあがる、セレイナの所業。リージェリアから聞くこともあれば、彼女の侍女から聞くこともあった。
特にセラフィムの期待を裏切ったセレイナの行動は『宮廷の男性たちに色目を使う』と奏上があったというものだった。俄かには信じ難いものであったが、実際に官吏たちも彼女を避けているという。自らが巻き込まれることを恐れたのだろう。
こうなってくると、リージェリアの言う事が真実味を帯びて来る。セレイナと顔を合わせる気にもなれず、ただ政務を粛々と行ってくれれば良い。その点だけは有能だと考えるようになっていた。
その結果、彼は何をなしたのか。
セレイナに対する責任を放棄したのだ。
彼女を側妃として迎え入れておきながら、彼女に対する配慮を一切失った。セレイナがどのような状態にあるのか。彼女が何を感じているのか。
彼は、その一切を知ろうとしなかった。書類の上での管理があれば、それで十分だと。そう思い込んでいたのだ。
だが、エリオスの言葉で、セラフィムは知った。
彼が見ないふりをしていたもの。彼が無視していたもの。それは書類ではなく、一人の尊厳のある人間だった。自身の妃なのに、だ。
☆
およそ三年前。
ナルヴァ国への外交訪問。
国王の謁見の場で、彼は後ろから入ってくる王女を見た。薄紅色に輝く髪。透き通るような肌。桃色の瞳で、妖精のような可愛らしさ。そして彼に向けられる蕩けるような視線。
その瞬間、セラフィムの世界は変わった。
それまでの人生が、単なる序章のように思えた。
そんな折、セラフィムの恋心に気づいたのは皮肉にもミレーユだった。王太子妃教育を長年受け、セラフィムとの付き合いも長い彼女だからこそ、その変化は見落とさなかったのかも知れない。
ある日、ミレーユはセラフィムを招き、二人だけの場所へと導いた。
「殿下。本音でお話をしていただきたいのです」
その言葉は、提案というより懇願に近かった。
セラフィムは、彼女の意図を感じ取った。ミレーユがリージェリア王女と懇意にしていることを知っていた。だからこそ、彼は言うべきか悩んだ。言えば、多くのものが崩れ去る。
だがミレーユは、その苦悩を見透かしたように告げた。
「実はリージェリア王女殿下から、文を頂きましたの。王女殿下は、殿下のことを好ましく思っている……そう書いておられましたわ」
それを聞いた瞬間、セラフィムの息が止まった。その告白は、彼の堰を崩すには充分過ぎた。
ミレーユは続ける。
「私たちは最初から政略で結ばれた『同志』みたいなものです。そこに情はあれど、愛……とは、違いますでしょう?」
セラフィムは何も言えなかった。ミレーユの言うとおりだ。彼女に対して、情もあれば信頼もしている。だがそれは、胸の高鳴りを覚えるような、切実なものではない。仮に彼女が他の男と共に居ても、何も思わないだろう。将来、彼女と後継を持たねばならぬ時、果たして彼女を抱けるのか? そう問われずとも、答えは直ぐに出る。無理だ。
「婚約を解消していただきたいのです。あなたも、王女殿下も、そして私も。誰もが本当の心に従う道を歩めるように」
ミレーユは淡々と、婚約の解消を願う言葉を口にする。
「国益からみても、私よりナルヴァ国のリージェリア王女殿下と婚姻される方が、はるかに良いはずですわ。ですが、王太子妃の座を失い、傷物となった私には……新たな縁談があるかどうか……」
セラフィムは彼女の言葉に戸惑った。ミレーユはゆっくりと瞼を閉じると、そっとため息を吐く。
「セラフィム殿下。あなたが私を捨てたという事実は残ってしまいます。世間的には、様々な憶測が流れるでしょう。どちらにしろ、暫くは騒がしくなってしまいます。ですので……私から一つのご提案を」
「……それは何だろうか?」
セラフィムの思考は、焦りと欲と計算で混沌としていた。
この先どう動けばいいか。まずはどこから説得していくべきか。必要な書類・賠償、様々なこと。その中で今、ミレーユは条件を突き付けているのだ。それを呑めば、王女との婚姻が近づく。愛しいと思える人を抱きしめられる未来が、実現されるかもしれない。
呑まないという選択は、セラフィムの中に一切無かった。
「ヴァルター・グレイストン公爵。彼と私の婚姻を、確約してください。彼を私の夫としてくださるよう、手を回していただけませんか? ただし、私の口からこの願いを申し上げたと言うことは、他言無用。殿下と私だけの秘匿として頂きたいのです」
この提案は、ミレーユからの遠回しな『告白』のように聞こえた。彼女にも想い人が居たのかと、安堵する気持ちを持って、セラフィムはその条件を受け入れた。
その話し合いの後すぐに、セラフィムは行動した。ミレーユの提案を、自身の選択として父王へ願い出た。
ミレーユとの婚約を白紙にし、リージェリア王女との婚姻を望む、と。
「ミレーユは、それに納得しているのか?」
父王の問いにセラフィムは頷いた。二人でしっかり話し合ったこと。その後のミレーユの縁談についても、王へ相談した。もちろん、彼女からの提案だということは全て伏せた。
「そうだな。彼ならば、中途半端な嫁ぎ先でもなかろう。ヴァルター公爵に、ミレーユとの婚姻を承諾させねばならんな」
父王は暫く、静かに思案に耽っているようだった。
ミレーユと婚約解消をすることは、ラフォード家への侮辱にもなる。だが、国益を考えれば、ナルヴァ国の王女との婚姻は、降ってわいたような話だが確実に益になる。
同盟と安定。両国の利益。
王は逡巡したのち、判断を下した。
☆
そこからの王の動きも速かった。
まずはラフォード侯爵家への賠償。金銭のみならず、利権や土地など過分なほどに用意していた。
その中のひとつ、ミレーユへの縁談。それも提示し、侯爵も国家の判断に異を唱えず、寧ろ快諾した。
そして、ヴァルター公爵を召し、話を進めた。
ヴァルターへは、領地の端である紛争地帯のさらなる金銭的支援を確約した。
王たちも合意した。ナルヴァ国の王とウィンター国の王が、我が子らが惹かれ合っていることを前提に、頭の中では国益を計算していた。
こうして、セラフィムとリージェリアの婚姻は、驚くべき速さで決定された。
この時のセラフィムは、自分の行為が完全に正当であると信じていた。心が選んだ相手。その心こそが、真実だと。
皆が納得の行く最善な方法で、それぞれが満たされた幸せな未来があるのだと、そう信じていた。
実際ミレーユは、公爵家で活躍しているという報告を聞いていた。ヴァルター公爵も、ミレーユを溺愛していると言う。最初は不本意だったかもしれないが、ミレーユは聡明で美しくもある。きっと、公爵の心を溶かしたのだろう。二人が幸せでいてくれていることは、セラフィムにとっても僥倖であった。
だが、セレイナはどうか。
彼女に与えたものは何か。
高い地位。充実した政務。世間の尊敬。
本当にそうなのか?
現実はどうだった?
セラフィムは、その答えを避け続けていた。
自分たちの行動や決定が、彼女をどれほど絶望させていたのか。
彼はすべて知らなかった。知ろうとしなかった。
セラフィムがセレイナの方に視線を向けるたびに、彼女は顔を強張らせ身を硬くする。
「セレイナ妃が……」
薄紅髪が彼女の頬に影を作る。俯いた彼女は悲し気に微笑みながら、セレイナへの不満を述べるようになった。
「政務の折、彼女は……私に『貴方は無能だ』と言うのです」
その言葉は謙虚で、申し訳なさそうに聞こえた。だが、その度にセラフィムは、妻を宥めなければならなくなった。
「君は無能などではないよ、リージェリア。それにセレイナは、そういう人ではないはずだ」
そう言いつつも妻の涙を見れば、彼は自身の言葉に確信を持てずにいた。何度も何度も、この繰り返しが続いた。
セラフィムは、セレイナへの評価と、妻への責任の間で揺れていた。セレイナを見つめれば、リージェリアが傷つく。リージェリアを安心させれば、セレイナから遠ざからなければならない。
その葛藤と、妻を宥め続けるという疲弊。セラフィムは、その状況から逃げたかった。だから、彼はセレイナから距離を置くことを選んだのだ。
それが、彼の心の平穏を取り戻す唯一の方法だと信じて。
セラフィムは、セレイナとの面会を減らした。政務においても、直接彼女とのやり取りは避けるようになった。できるだけリージェリアの傍にいることで、彼女の不安を鎮めようとした。
それから次々とあがる、セレイナの所業。リージェリアから聞くこともあれば、彼女の侍女から聞くこともあった。
特にセラフィムの期待を裏切ったセレイナの行動は『宮廷の男性たちに色目を使う』と奏上があったというものだった。俄かには信じ難いものであったが、実際に官吏たちも彼女を避けているという。自らが巻き込まれることを恐れたのだろう。
こうなってくると、リージェリアの言う事が真実味を帯びて来る。セレイナと顔を合わせる気にもなれず、ただ政務を粛々と行ってくれれば良い。その点だけは有能だと考えるようになっていた。
その結果、彼は何をなしたのか。
セレイナに対する責任を放棄したのだ。
彼女を側妃として迎え入れておきながら、彼女に対する配慮を一切失った。セレイナがどのような状態にあるのか。彼女が何を感じているのか。
彼は、その一切を知ろうとしなかった。書類の上での管理があれば、それで十分だと。そう思い込んでいたのだ。
だが、エリオスの言葉で、セラフィムは知った。
彼が見ないふりをしていたもの。彼が無視していたもの。それは書類ではなく、一人の尊厳のある人間だった。自身の妃なのに、だ。
☆
およそ三年前。
ナルヴァ国への外交訪問。
国王の謁見の場で、彼は後ろから入ってくる王女を見た。薄紅色に輝く髪。透き通るような肌。桃色の瞳で、妖精のような可愛らしさ。そして彼に向けられる蕩けるような視線。
その瞬間、セラフィムの世界は変わった。
それまでの人生が、単なる序章のように思えた。
そんな折、セラフィムの恋心に気づいたのは皮肉にもミレーユだった。王太子妃教育を長年受け、セラフィムとの付き合いも長い彼女だからこそ、その変化は見落とさなかったのかも知れない。
ある日、ミレーユはセラフィムを招き、二人だけの場所へと導いた。
「殿下。本音でお話をしていただきたいのです」
その言葉は、提案というより懇願に近かった。
セラフィムは、彼女の意図を感じ取った。ミレーユがリージェリア王女と懇意にしていることを知っていた。だからこそ、彼は言うべきか悩んだ。言えば、多くのものが崩れ去る。
だがミレーユは、その苦悩を見透かしたように告げた。
「実はリージェリア王女殿下から、文を頂きましたの。王女殿下は、殿下のことを好ましく思っている……そう書いておられましたわ」
それを聞いた瞬間、セラフィムの息が止まった。その告白は、彼の堰を崩すには充分過ぎた。
ミレーユは続ける。
「私たちは最初から政略で結ばれた『同志』みたいなものです。そこに情はあれど、愛……とは、違いますでしょう?」
セラフィムは何も言えなかった。ミレーユの言うとおりだ。彼女に対して、情もあれば信頼もしている。だがそれは、胸の高鳴りを覚えるような、切実なものではない。仮に彼女が他の男と共に居ても、何も思わないだろう。将来、彼女と後継を持たねばならぬ時、果たして彼女を抱けるのか? そう問われずとも、答えは直ぐに出る。無理だ。
「婚約を解消していただきたいのです。あなたも、王女殿下も、そして私も。誰もが本当の心に従う道を歩めるように」
ミレーユは淡々と、婚約の解消を願う言葉を口にする。
「国益からみても、私よりナルヴァ国のリージェリア王女殿下と婚姻される方が、はるかに良いはずですわ。ですが、王太子妃の座を失い、傷物となった私には……新たな縁談があるかどうか……」
セラフィムは彼女の言葉に戸惑った。ミレーユはゆっくりと瞼を閉じると、そっとため息を吐く。
「セラフィム殿下。あなたが私を捨てたという事実は残ってしまいます。世間的には、様々な憶測が流れるでしょう。どちらにしろ、暫くは騒がしくなってしまいます。ですので……私から一つのご提案を」
「……それは何だろうか?」
セラフィムの思考は、焦りと欲と計算で混沌としていた。
この先どう動けばいいか。まずはどこから説得していくべきか。必要な書類・賠償、様々なこと。その中で今、ミレーユは条件を突き付けているのだ。それを呑めば、王女との婚姻が近づく。愛しいと思える人を抱きしめられる未来が、実現されるかもしれない。
呑まないという選択は、セラフィムの中に一切無かった。
「ヴァルター・グレイストン公爵。彼と私の婚姻を、確約してください。彼を私の夫としてくださるよう、手を回していただけませんか? ただし、私の口からこの願いを申し上げたと言うことは、他言無用。殿下と私だけの秘匿として頂きたいのです」
この提案は、ミレーユからの遠回しな『告白』のように聞こえた。彼女にも想い人が居たのかと、安堵する気持ちを持って、セラフィムはその条件を受け入れた。
その話し合いの後すぐに、セラフィムは行動した。ミレーユの提案を、自身の選択として父王へ願い出た。
ミレーユとの婚約を白紙にし、リージェリア王女との婚姻を望む、と。
「ミレーユは、それに納得しているのか?」
父王の問いにセラフィムは頷いた。二人でしっかり話し合ったこと。その後のミレーユの縁談についても、王へ相談した。もちろん、彼女からの提案だということは全て伏せた。
「そうだな。彼ならば、中途半端な嫁ぎ先でもなかろう。ヴァルター公爵に、ミレーユとの婚姻を承諾させねばならんな」
父王は暫く、静かに思案に耽っているようだった。
ミレーユと婚約解消をすることは、ラフォード家への侮辱にもなる。だが、国益を考えれば、ナルヴァ国の王女との婚姻は、降ってわいたような話だが確実に益になる。
同盟と安定。両国の利益。
王は逡巡したのち、判断を下した。
☆
そこからの王の動きも速かった。
まずはラフォード侯爵家への賠償。金銭のみならず、利権や土地など過分なほどに用意していた。
その中のひとつ、ミレーユへの縁談。それも提示し、侯爵も国家の判断に異を唱えず、寧ろ快諾した。
そして、ヴァルター公爵を召し、話を進めた。
ヴァルターへは、領地の端である紛争地帯のさらなる金銭的支援を確約した。
王たちも合意した。ナルヴァ国の王とウィンター国の王が、我が子らが惹かれ合っていることを前提に、頭の中では国益を計算していた。
こうして、セラフィムとリージェリアの婚姻は、驚くべき速さで決定された。
この時のセラフィムは、自分の行為が完全に正当であると信じていた。心が選んだ相手。その心こそが、真実だと。
皆が納得の行く最善な方法で、それぞれが満たされた幸せな未来があるのだと、そう信じていた。
実際ミレーユは、公爵家で活躍しているという報告を聞いていた。ヴァルター公爵も、ミレーユを溺愛していると言う。最初は不本意だったかもしれないが、ミレーユは聡明で美しくもある。きっと、公爵の心を溶かしたのだろう。二人が幸せでいてくれていることは、セラフィムにとっても僥倖であった。
だが、セレイナはどうか。
彼女に与えたものは何か。
高い地位。充実した政務。世間の尊敬。
本当にそうなのか?
現実はどうだった?
セラフィムは、その答えを避け続けていた。
自分たちの行動や決定が、彼女をどれほど絶望させていたのか。
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