29 / 107
現在
29 イカ缶とキルト
しおりを挟む
セレイナが辺境に来てから一か月半。二か月には満たない時間が経っていた。
この日は早冬にしては珍しく穏やかな晴れで、街は年末の支度に沸いていた。
石畳の上には薄く雪が積もり、人々の足跡が幾筋も交差している。靴の跡の隙間から、雪解け水が陽光に反射して光っていた。
広場では荷馬車が行き交い、露店前では子どもたちが店の手伝いをしていたり、雪だるまを作って遊んでいたり。煮込み鍋の香りと焼き菓子の甘い匂いが、風に乗り吹き抜ける。寒気の中にも人々の笑い声と体温が溶け込み、王都の整然とした冷たさとは違う暮らしの音と匂いがあった。
エリオスは街中を視察がてらセレイナと共に、彼女の体調に合わせてゆっくりと歩いていた。彼女の頬は薄紅を帯び、体調は回復しつつあったが、まだ痩せた輪郭には影が残る。
その後ろをオクターブ、侍医ガレーニャ、侍女が二人控えていた。
行き交う人々もエリオスやオクターブに気づくと、軽く頭を下げ気軽に声を掛ける。
「殿下! オクターブ卿! 今日はいい天気ですね!」
そう言い微笑みあう。その飾らない交流の様子だけで、エリオスの統治がこの地の民にとって信頼と安心の証であること、そして王都の貴族社会とは違うということがよくわかった。
☆
石畳をしばらく歩くと流石に、冬の冷たい空気がセレイナの薄くなった身体に堪え始めた。
「少し、身体が冷えているようです」
と、ガレーニャがエリオスに耳打ちする。それを受けてエリオスは、セレイナの方を少し伺い、小さな白い息を吐きつつ彼女に問う。
「寒くないか?」
「はい。陽が温かくて、気持ちがいいです」
そう答えたセレイナが微笑むと、冬の空気が少しだけ柔らかくなるようだった。
彼女はまだ歩きたいのだろう。と、そう思ったエリオスは、すぐ傍にあるスパイスと柑橘系の香りが漂う屋台を見つけ、足を止めた。温かい湯気と甘い香りが周囲に漂っている。
「無理はないようにな。暖かい飲み物でもどうだ?」
セレイナは微笑んで頷いた。
オクターブが人数分の温かい飲み物を買った。
麦を煎った香ばしい香りと、果実の甘酸っぱい匂いが鼻をくすぐる。
彼はエリオスに二つのカップを手渡す。そこからエリオスがセレイナへ。手渡した瞬間、エリオスの指先がわずかに触れた。セレイナの指は、驚くほど冷たかった。
「早く手を温めて」
言われたセレイナはコクリ頷くと、両手でカップを包む。その仕草がなんだか幼く見えて、エリオスは頬が緩くなった。
「エリオスさまー!」
明るい声が後ろから飛んだ。
振り返ると、店番をしていたらしき少年が、エプロンを振りながら駆け寄ってくる。
「そのおねいさん、エリオスさまの恋人なの? 今、友達と賭けてるんだ!」
その問いに、セレイナがカップを持ったまま固まり、エリオスが咳き込みながら言葉を探す。だが、少年はおかまいなしに、悪びれもせず続ける。
「それとも、オクターブさまが、エリオスさまの恋人なのー?」
エリオスは反射的に、口にしていた温かな果実茶を噴き出した。
空気が一瞬止まるが、オクターブが素早く懐から出した布でエリオスの顔を拭き、周囲の侍女たちが小さく動揺する。
少年はまだまだ続ける。
「オクターブさまじゃないの? オクターブさまはいつも『ただならぬ熱い視線』をエリオスさまに向けてるって!」
エリオスはオクターブからハンカチを取り、自らで濡れた口元を拭いながら、半ば呆然と少年を凝視した。
「そんな言葉、どこで覚えた!?」
「かーちゃんが言ってた!」
エリオスはオクターブへ鋭い視線を向ける。
「オクターブ……お前、そんな目で俺を見ていたのか?」
「不本意です。断固として、不本意です。私は忠誠心に従い……はぁ……」
そしてオクターブは少年の方を見て、真剣な声で言った。
「少年。お母様に言っておいてください。その解釈は誠に遺憾であると」
「いか? いかかん?」
「遺憾、です」
「イカ缶! おう! 任せて!」
無邪気な笑顔で親指を立てる少年に、オクターブは深い深いため息を漏らし、額を押さえた。
その一部始終を見ていた侍医のガレーニャとセレイナは、思わず声を上げて笑っていた。
通りに笑いが広がる。気づけば、控えている侍女たちも口元を抑えつつ、肩を震わせていた。その笑いは、雪解けのように軽く、長く、優しかった。
セレイナが、東の塔でエリオスに救い出されてから初めて、こんなにも大きく、心から笑う顔をエリオスは見た。目を見開いたエリオスの顔も、嬉しさに満ちていた。不本意な風評に膨れっ面だったオクターブも、自然と笑みを零した。
笑いが収まり、セレイナが顔を上げる。彼女の目は、賑わう通りから少し離れた場所、一軒の大きな布地店に向けれらた。そこには、冬支度用の厚手のウールや、色鮮やかな木綿の生地が並べられている。
「あの……少し……我儘を言ってもいいでしょうか」
それを見たセレイナが、小さな微笑みを残しながら、躊躇いがちにエリオスに尋ねた。
「もちろん」
「キルト生地が欲しいのです。厚手の……柔らかい色のものを」
ガレーニャが嬉しそうに頷いた。
「それはとてもいいですね、エリオス様? ぜひご購入を」
「必要なだけ買うといい。なんなら店ごとでも構わ――」
「やりすぎです」
オクターブが即座に制した。
一行が布地店へと足を向けた。店内の一角に、キルト生地が幾重にも重ねられ、窓から挿す陽の光で淡く輝いている。
セレイナが笑みを浮かべ、布の山に手を伸ばす。指先が反物に触れ、さらさらと布の音がした。
「何を作るつもりだ?」
「今は、秘密です。……冬の夜が、少し優しくなるものを」
その声に、また自然な笑みが零れた。セレイナの頬にはほんのりと血色が戻っている。
そうして布を選びながら、セレイナは少し恥ずかしそうに口を開いた。
「お代ですが……私の口座が王都にあります。ただ、今は手続きができません。後日改めてお返しいたしますので、お借りすることは……出来ますでしょうか? もしくは、銀行に……」
オクターブがすぐに口を挟む。
「どうかご心配なく。セレイナ様のお支払いは全て――」
エリオスが穏やかにそれを制した。
「続きは俺が。セレイナ、申し訳ない。ちゃんと伝えていなかったな。これは街中でする話でもない。帰りの馬車で説明しよう。今は、好きなものを選ぶといい。金銭のことはここにいる間、一切案ずる必要はない」
☆
夕暮れの馬車の中。
窓外には、風に舞う白い粉雪がちらちらと流れ、車輪が石畳に積もり始めた雪を柔らかく越えていく。
セレイナは買った布の束を膝に乗せ、指先でその感触を確かめていた。
「兄、セラフィムから賠償がある」
エリオスが静かに言った。
「王の裁可も下りている。治療費は王家負担、政務での功績に対する報酬も支払われる。……思い出すのも苦いだろうが、側妃として計上されていた経費も精査される。その上で使われていなかった分は、貴方の口座に振り込まれる」
セレイナは目を伏せた。沈黙の中、彼女の声が僅かに震える。
「私が……受け取って、よいものなのでしょうか?」
「当然だ。義務として支払われるべきものだ。必要なら行員を居館へ呼ぼう。もう一度言うが、金の心配は今後一切しなくていい」
そして、少し間をおいてエリオスは続けた。
「貴方が将来、何かをしたくなった時のために、口座の金は貯めておくといい」
その言葉にセレイナは小さく頷き、キルト生地を見下ろしながら、微笑を浮かべる。
「では……まずはこの布を使って、お裁縫をします」
「いい選択だ」
ガレーニャが銀縁眼鏡をあげつつ、嬉しそうに言葉を添える。
「前向きなことは、どんどんなさるといいですよ。針仕事も心の薬になります」
オクターブがぼそりと付け足す。
「……イカ缶は薬になりませんが」
「まだ言うのか」
「忘れたくとも、忘れられません。どうして私が……はぁ……」
「それは俺の台詞だ」
セレイナが堪えきれずに笑い、馬車の中に柔らかな空気が満ちた。
外では木枯らしが枝を鳴らしている。
それでも、彼らのあいだには確かに温もりがあった。
冬は長い。だが、必ず芽吹きの春はやってくるのだ。
この日は早冬にしては珍しく穏やかな晴れで、街は年末の支度に沸いていた。
石畳の上には薄く雪が積もり、人々の足跡が幾筋も交差している。靴の跡の隙間から、雪解け水が陽光に反射して光っていた。
広場では荷馬車が行き交い、露店前では子どもたちが店の手伝いをしていたり、雪だるまを作って遊んでいたり。煮込み鍋の香りと焼き菓子の甘い匂いが、風に乗り吹き抜ける。寒気の中にも人々の笑い声と体温が溶け込み、王都の整然とした冷たさとは違う暮らしの音と匂いがあった。
エリオスは街中を視察がてらセレイナと共に、彼女の体調に合わせてゆっくりと歩いていた。彼女の頬は薄紅を帯び、体調は回復しつつあったが、まだ痩せた輪郭には影が残る。
その後ろをオクターブ、侍医ガレーニャ、侍女が二人控えていた。
行き交う人々もエリオスやオクターブに気づくと、軽く頭を下げ気軽に声を掛ける。
「殿下! オクターブ卿! 今日はいい天気ですね!」
そう言い微笑みあう。その飾らない交流の様子だけで、エリオスの統治がこの地の民にとって信頼と安心の証であること、そして王都の貴族社会とは違うということがよくわかった。
☆
石畳をしばらく歩くと流石に、冬の冷たい空気がセレイナの薄くなった身体に堪え始めた。
「少し、身体が冷えているようです」
と、ガレーニャがエリオスに耳打ちする。それを受けてエリオスは、セレイナの方を少し伺い、小さな白い息を吐きつつ彼女に問う。
「寒くないか?」
「はい。陽が温かくて、気持ちがいいです」
そう答えたセレイナが微笑むと、冬の空気が少しだけ柔らかくなるようだった。
彼女はまだ歩きたいのだろう。と、そう思ったエリオスは、すぐ傍にあるスパイスと柑橘系の香りが漂う屋台を見つけ、足を止めた。温かい湯気と甘い香りが周囲に漂っている。
「無理はないようにな。暖かい飲み物でもどうだ?」
セレイナは微笑んで頷いた。
オクターブが人数分の温かい飲み物を買った。
麦を煎った香ばしい香りと、果実の甘酸っぱい匂いが鼻をくすぐる。
彼はエリオスに二つのカップを手渡す。そこからエリオスがセレイナへ。手渡した瞬間、エリオスの指先がわずかに触れた。セレイナの指は、驚くほど冷たかった。
「早く手を温めて」
言われたセレイナはコクリ頷くと、両手でカップを包む。その仕草がなんだか幼く見えて、エリオスは頬が緩くなった。
「エリオスさまー!」
明るい声が後ろから飛んだ。
振り返ると、店番をしていたらしき少年が、エプロンを振りながら駆け寄ってくる。
「そのおねいさん、エリオスさまの恋人なの? 今、友達と賭けてるんだ!」
その問いに、セレイナがカップを持ったまま固まり、エリオスが咳き込みながら言葉を探す。だが、少年はおかまいなしに、悪びれもせず続ける。
「それとも、オクターブさまが、エリオスさまの恋人なのー?」
エリオスは反射的に、口にしていた温かな果実茶を噴き出した。
空気が一瞬止まるが、オクターブが素早く懐から出した布でエリオスの顔を拭き、周囲の侍女たちが小さく動揺する。
少年はまだまだ続ける。
「オクターブさまじゃないの? オクターブさまはいつも『ただならぬ熱い視線』をエリオスさまに向けてるって!」
エリオスはオクターブからハンカチを取り、自らで濡れた口元を拭いながら、半ば呆然と少年を凝視した。
「そんな言葉、どこで覚えた!?」
「かーちゃんが言ってた!」
エリオスはオクターブへ鋭い視線を向ける。
「オクターブ……お前、そんな目で俺を見ていたのか?」
「不本意です。断固として、不本意です。私は忠誠心に従い……はぁ……」
そしてオクターブは少年の方を見て、真剣な声で言った。
「少年。お母様に言っておいてください。その解釈は誠に遺憾であると」
「いか? いかかん?」
「遺憾、です」
「イカ缶! おう! 任せて!」
無邪気な笑顔で親指を立てる少年に、オクターブは深い深いため息を漏らし、額を押さえた。
その一部始終を見ていた侍医のガレーニャとセレイナは、思わず声を上げて笑っていた。
通りに笑いが広がる。気づけば、控えている侍女たちも口元を抑えつつ、肩を震わせていた。その笑いは、雪解けのように軽く、長く、優しかった。
セレイナが、東の塔でエリオスに救い出されてから初めて、こんなにも大きく、心から笑う顔をエリオスは見た。目を見開いたエリオスの顔も、嬉しさに満ちていた。不本意な風評に膨れっ面だったオクターブも、自然と笑みを零した。
笑いが収まり、セレイナが顔を上げる。彼女の目は、賑わう通りから少し離れた場所、一軒の大きな布地店に向けれらた。そこには、冬支度用の厚手のウールや、色鮮やかな木綿の生地が並べられている。
「あの……少し……我儘を言ってもいいでしょうか」
それを見たセレイナが、小さな微笑みを残しながら、躊躇いがちにエリオスに尋ねた。
「もちろん」
「キルト生地が欲しいのです。厚手の……柔らかい色のものを」
ガレーニャが嬉しそうに頷いた。
「それはとてもいいですね、エリオス様? ぜひご購入を」
「必要なだけ買うといい。なんなら店ごとでも構わ――」
「やりすぎです」
オクターブが即座に制した。
一行が布地店へと足を向けた。店内の一角に、キルト生地が幾重にも重ねられ、窓から挿す陽の光で淡く輝いている。
セレイナが笑みを浮かべ、布の山に手を伸ばす。指先が反物に触れ、さらさらと布の音がした。
「何を作るつもりだ?」
「今は、秘密です。……冬の夜が、少し優しくなるものを」
その声に、また自然な笑みが零れた。セレイナの頬にはほんのりと血色が戻っている。
そうして布を選びながら、セレイナは少し恥ずかしそうに口を開いた。
「お代ですが……私の口座が王都にあります。ただ、今は手続きができません。後日改めてお返しいたしますので、お借りすることは……出来ますでしょうか? もしくは、銀行に……」
オクターブがすぐに口を挟む。
「どうかご心配なく。セレイナ様のお支払いは全て――」
エリオスが穏やかにそれを制した。
「続きは俺が。セレイナ、申し訳ない。ちゃんと伝えていなかったな。これは街中でする話でもない。帰りの馬車で説明しよう。今は、好きなものを選ぶといい。金銭のことはここにいる間、一切案ずる必要はない」
☆
夕暮れの馬車の中。
窓外には、風に舞う白い粉雪がちらちらと流れ、車輪が石畳に積もり始めた雪を柔らかく越えていく。
セレイナは買った布の束を膝に乗せ、指先でその感触を確かめていた。
「兄、セラフィムから賠償がある」
エリオスが静かに言った。
「王の裁可も下りている。治療費は王家負担、政務での功績に対する報酬も支払われる。……思い出すのも苦いだろうが、側妃として計上されていた経費も精査される。その上で使われていなかった分は、貴方の口座に振り込まれる」
セレイナは目を伏せた。沈黙の中、彼女の声が僅かに震える。
「私が……受け取って、よいものなのでしょうか?」
「当然だ。義務として支払われるべきものだ。必要なら行員を居館へ呼ぼう。もう一度言うが、金の心配は今後一切しなくていい」
そして、少し間をおいてエリオスは続けた。
「貴方が将来、何かをしたくなった時のために、口座の金は貯めておくといい」
その言葉にセレイナは小さく頷き、キルト生地を見下ろしながら、微笑を浮かべる。
「では……まずはこの布を使って、お裁縫をします」
「いい選択だ」
ガレーニャが銀縁眼鏡をあげつつ、嬉しそうに言葉を添える。
「前向きなことは、どんどんなさるといいですよ。針仕事も心の薬になります」
オクターブがぼそりと付け足す。
「……イカ缶は薬になりませんが」
「まだ言うのか」
「忘れたくとも、忘れられません。どうして私が……はぁ……」
「それは俺の台詞だ」
セレイナが堪えきれずに笑い、馬車の中に柔らかな空気が満ちた。
外では木枯らしが枝を鳴らしている。
それでも、彼らのあいだには確かに温もりがあった。
冬は長い。だが、必ず芽吹きの春はやってくるのだ。
27
あなたにおすすめの小説
壊れた心はそのままで ~騙したのは貴方?それとも私?~
志波 連
恋愛
バージル王国の公爵令嬢として、優しい両親と兄に慈しまれ美しい淑女に育ったリリア・サザーランドは、貴族女子学園を卒業してすぐに、ジェラルド・パーシモン侯爵令息と結婚した。
政略結婚ではあったものの、二人はお互いを信頼し愛を深めていった。
社交界でも仲睦まじい夫婦として有名だった二人は、マーガレットという娘も授かり、順風満帆な生活を送っていた。
ある日、学生時代の友人と旅行に行った先でリリアは夫が自分でない女性と、夫にそっくりな男の子、そして娘のマーガレットと仲よく食事をしている場面に遭遇する。
ショックを受けて立ち去るリリアと、追いすがるジェラルド。
一緒にいた子供は確かにジェラルドの子供だったが、これには深い事情があるようで……。
リリアの心をなんとか取り戻そうと友人に相談していた時、リリアがバルコニーから転落したという知らせが飛び込んだ。
ジェラルドとマーガレットは、リリアの心を取り戻す決心をする。
そして関係者が頭を寄せ合って、ある破天荒な計画を遂行するのだった。
王家までも巻き込んだその作戦とは……。
他サイトでも掲載中です。
コメントありがとうございます。
タグのコメディに反対意見が多かったので修正しました。
必ず完結させますので、よろしくお願いします。
嘘をありがとう
七辻ゆゆ
恋愛
「まあ、なんて図々しいのでしょう」
おっとりとしていたはずの妻は、辛辣に言った。
「要するにあなた、貴族でいるために政略結婚はする。けれど女とは別れられない、ということですのね?」
妻は言う。女と別れなくてもいい、仕事と嘘をついて会いに行ってもいい。けれど。
「必ず私のところに帰ってきて、子どもをつくり、よい夫、よい父として振る舞いなさい。神に嘘をついたのだから、覚悟を決めて、その嘘を突き通しなさいませ」
【完結】さよならのかわりに
たろ
恋愛
大好きな婚約者に最後のプレゼントを用意した。それは婚約解消すること。
だからわたしは悪女になります。
彼を自由にさせてあげたかった。
彼には愛する人と幸せになって欲しかった。
わたくしのことなど忘れて欲しかった。
だってわたくしはもうすぐ死ぬのだから。
さよならのかわりに……
ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように
柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」
笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。
夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。
幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。
王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
【3月中――完結!】
積み上がった伏線の回収目前!!
夫にも子どもにも、私は選ばれなかった。
長年の裏切りを抱え、離縁状を置いて家を出た――。
待っていたのは、凍てつく絶望。
けれど同時に、それは残酷な運命の扉が開く瞬間でもあった。
「夫は愛人と生きればいい。
今さら縋られても、裏切ったあなたを許す力など残っていない」
それでも私は誓う――
「子どもたちの心だけは、必ず取り戻す」
歪で、完全な幸福――それとも、破滅。
“石”に翻弄された者たちの、狂おしい物語。
ご安心を、2度とその手を求める事はありません
ポチ
恋愛
大好きな婚約者様。 ‘’愛してる‘’ その言葉私の宝物だった。例え貴方の気持ちが私から離れたとしても。お飾りの妻になるかもしれないとしても・・・
それでも、私は貴方を想っていたい。 独り過ごす刻もそれだけで幸せを感じられた。たった一つの希望
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる