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101 護送 ーChapter エリオス
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ミネルバが観念したとはいえ、このまま無防備に連れ歩くわけにはいかなかった。
ナルヴァ国の追手がいつ現れるかわからない。他の三人が次々と口封じで消されたと思われる以上、ミネルバもまた狙われている可能性が高い。
エリオスは下宿屋を出ると、シリルに目配せをした。
「荷馬車と、そうだな。念のために傭兵が必要だ」
「それなら、請負所に参りましょう。国境沿いの街には必ずあるはず。護衛と荷馬車の手配は、そこで出来ると思います」
シリルが周囲を見回し、近くにいた荷運びの男に声をかけた。請負所の場所を聞き出すと、三人はミネルバを連れてその方角へ歩き出した。
国境の街の空気は、雑然としている。言語は様々で、身なりの違う人間が右往左往と行き交う。その喧騒の中を、四人は目立たぬように進んだ。
☆
請負所は、街外れにある石造りのしっかりとした建物の一角にあった。
壁には護衛募集、荷運び、商隊護衛など、様々な請負仕事の札が、同じく壁に打ち付けられた釘に、乱雑に掛けられてあった。中に入ると、荒事を生業とするような男たちが何人か、暇を持て余した様子で木造りの丸椅子に腰かけていた。
窓口に座っていたのは、髪は薄く脂を浮かせた丸顔の中年男。シリルが近づくと、値踏みするような目を向けてきた。
「請負か? 雇用か?」
挨拶もなく、直ぐに用件を聞く男。
「ウィンター語がわかる護衛を二人、短期で雇いたい。荷馬車も一台、すぐに借りたい」
シリルの注文に、窓口の男は顎をしゃくった。
「あいよ。護衛なら、そこの二人が暇してる。馬車は裏にある」
示された先には、傭兵上がりと思しき男が二人座っていた。一人は四十程の毛は全くない完全なる禿頭、もう一人は二十代後半の浅黒い肌をした短髪の男。どちらも体格が良く、腰には剣を佩いている。
その二人に歩み寄ったシリルは、こちらの条件を伝え、報酬の交渉を済ませた。二人の傭兵は、金貨の額を聞くと顔を見合わせ、すぐに立ち上がった。
「あんたらの荷物ってのは、あの女か」
禿頭の傭兵が、入口付近で待たせていたミネルバを顎で示した。
「そうだ。丁寧に扱え」
「へいへい」
☆
裏手に回ると、幌付きの荷馬車が一台あった。
車体は使い込まれて色褪せているが、車輪や軸はしっかりしている。荷台は簡素で、木の床板に藁が敷かれているだけだった。
エリオスは荷台を確認しながら、オクターブに声をかけた。
「縄を」
「御意」
オクターブが差し出したのは、細いが丈夫な麻縄だった。
ミネルバの前に立ち、エリオスは低く告げた。
「逃げる気はないだろうが、念のためだ」
ミネルバは何も言わず、小さく頷いた。
腰に縄を回し、荷馬車の手すりに軽く結びつける。手首は縛らない。本気で逃げようと思えば解ける程度の、最低限の拘束だった。
ミネルバは静かに荷台へ上がり、藁の上に腰を下ろした。
彼女の目はどこか、安堵感に包まれているようにも見えた。
ある意味において、こうして捕まることは、彼女にとっては逃亡の終息を示しているせいなのかもしれない。
☆
傭兵の配置を決める。禿頭の男が御者台に、浅黒い肌の男が荷台の後ろで見張りにつく。エリオスたちは馬で並走する形をとった。
出発の準備が整ったところで、シリルがエリオスの傍に馬を寄せた。
「殿下。関所のことですが」
その言葉に、エリオスは眉を上げた。
「ナルヴァ側の関所を正面から通るのは、避けた方がよいかと思います」
「ああ、そうだな」
「ミネルバの顔が知られている可能性があります。それに、ナルヴァ側が彼女を探しているなら、関所に手配が回っていないとも限りません」
「別の道があるのか?」
「商人の間で知られている裏道があります。関所を避けて国境を越えられる」
「ほう? 裏ルートと言う事か? 俺にそれを言うのはリスクがないか?」
シリルは肩を竦めた。
「関税を避けたい商人が、ごく稀に使う道です。ただし、非常に遠回りになります。それと、見つかれば面倒なことになる。なので余り使われていないのです」
密輸ルートというわけではないが、正規の道ではない。その程度のものだろう。
「どのくらい遠回りになる」
「通常の数倍近くかと」
エリオスは少し考え込んだ。関所で足止めを食うリスク。追手に見つかるリスク。それと、遠回りになる時間的損失。
天秤にかけるまでもなかった。
「その道を使って行く」
「承知しました」
☆
国境の街を離れ、本街道から外れて脇道へ入った。
最初のうちは、まだ道らしい道だった。だが、しばらく進むうちに、路面は次第に荒れ始める。
石が転がり、轍の跡は深く、馬車が通るたびに車体が大きく揺れる。
ガタン、と一際大きな揺れがあった。
オクターブが顔をしかめ、馬の手綱を握り直した。
「……なるほど、これは避けられるわけですね」
その言葉に、御者台の禿頭の傭兵が振り返って笑った。
「これくらいならマシな方だぜ。もっと奥に入ると、馬車が横転しかけることもある」
「それは聞きたくなかった情報です」
「ハッ。商人ってのは、こんな道を通ってでも関税を浮かせたいもんかね」
浅黒い肌の傭兵が、荷台の後ろから声を上げた。
「浮いた金で傭兵雇うんだから、世話ねぇよな」
禿男は、クッと鼻を鳴らした。
「違いねぇな」
傭兵たちの軽口が、荒れた道をかみ砕く車輪の音に混ざり響く。
エリオスは黙って馬を進めながら、時折ミネルバの様子を確認した。荷台の中で膝を抱えるようにして座る小柄な影は、揺れに身を任せるだけで、何の反応も示さなかった。
☆
裏道の旅は、予想以上に難儀した。
道の悪さだけでなく、途中で迂回を余儀なくされる箇所がいくつもあった。倒木に塞がれた道、増水で渡れない浅瀬。夜営の場所を探すのにも手間取る。
それでも、追手の気配はなかった。ナルヴァ側の関所を避けたことで、公的な追跡の目からは逃れられたようだった。
三日目の夕刻。
見慣れた景色がようやく視界に広がった。グレイストン領の西端、鉱山を抱える国境の街。ウィンター国に入ったことを示す風景だった。
街の入口で、エリオスは馬を止めた。
「ここで別れよう」
傭兵たちに向けて、残りの報酬を投げ渡す。禿頭の男が器用に受け取り、金貨を数えた。
「毎度。また何かあったら声かけてくれや」
「世話になったな」
傭兵たちは荷馬車を引き、来た道を戻っていく。
その背中を見送った後、エリオスはオクターブに命じてミネルバの腰縄を解かせた。ミネルバは解かれても、ぼんやりと立ち尽くしたまま動かない。逃げる気配はなかった。もはや逃げる場所などないと、彼女自身が一番よくわかっているのだろう。
「宿駅へ向かうぞ」
「御意」「はい」
エリオスがそう告げると、シリルとオクターブが頷いた。
三頭の馬を引き、ミネルバを伴って宿駅へ向かう。借りていた馬を返却し、代わりに幌付きの馬車を一台手配した。御者台には、宿駅の馬丁らしき若い男。
「公爵邸まで、明日の昼過ぎにはあちらへ着きたい」
シリルの言葉に、短い返事と頷きを馬丁は返した。
ミネルバを馬車に乗せると、シリルが幌の中で見張りに着き、エリオスとオクターブは公爵領から乗って来た馬を並走させた。
御者が鞭を振るい、馬車が動き出した。
グレイストン領の道は、裏道とは比べ物にならないほど整っていた。馬車の揺れも穏やかで、ミネルバは隅に座ったまま、幌の外を眺めている。その横顔には、何の感情も浮かんでいなかった。
途中で仮眠のために、小休憩を挟む。
エリオスは腕を組み、目を閉じた。
証人と証拠を手に入れた。あとは、これをどう使うか。
頭の中で、これからの段取りを組み立て始めていた。
ナルヴァ国の追手がいつ現れるかわからない。他の三人が次々と口封じで消されたと思われる以上、ミネルバもまた狙われている可能性が高い。
エリオスは下宿屋を出ると、シリルに目配せをした。
「荷馬車と、そうだな。念のために傭兵が必要だ」
「それなら、請負所に参りましょう。国境沿いの街には必ずあるはず。護衛と荷馬車の手配は、そこで出来ると思います」
シリルが周囲を見回し、近くにいた荷運びの男に声をかけた。請負所の場所を聞き出すと、三人はミネルバを連れてその方角へ歩き出した。
国境の街の空気は、雑然としている。言語は様々で、身なりの違う人間が右往左往と行き交う。その喧騒の中を、四人は目立たぬように進んだ。
☆
請負所は、街外れにある石造りのしっかりとした建物の一角にあった。
壁には護衛募集、荷運び、商隊護衛など、様々な請負仕事の札が、同じく壁に打ち付けられた釘に、乱雑に掛けられてあった。中に入ると、荒事を生業とするような男たちが何人か、暇を持て余した様子で木造りの丸椅子に腰かけていた。
窓口に座っていたのは、髪は薄く脂を浮かせた丸顔の中年男。シリルが近づくと、値踏みするような目を向けてきた。
「請負か? 雇用か?」
挨拶もなく、直ぐに用件を聞く男。
「ウィンター語がわかる護衛を二人、短期で雇いたい。荷馬車も一台、すぐに借りたい」
シリルの注文に、窓口の男は顎をしゃくった。
「あいよ。護衛なら、そこの二人が暇してる。馬車は裏にある」
示された先には、傭兵上がりと思しき男が二人座っていた。一人は四十程の毛は全くない完全なる禿頭、もう一人は二十代後半の浅黒い肌をした短髪の男。どちらも体格が良く、腰には剣を佩いている。
その二人に歩み寄ったシリルは、こちらの条件を伝え、報酬の交渉を済ませた。二人の傭兵は、金貨の額を聞くと顔を見合わせ、すぐに立ち上がった。
「あんたらの荷物ってのは、あの女か」
禿頭の傭兵が、入口付近で待たせていたミネルバを顎で示した。
「そうだ。丁寧に扱え」
「へいへい」
☆
裏手に回ると、幌付きの荷馬車が一台あった。
車体は使い込まれて色褪せているが、車輪や軸はしっかりしている。荷台は簡素で、木の床板に藁が敷かれているだけだった。
エリオスは荷台を確認しながら、オクターブに声をかけた。
「縄を」
「御意」
オクターブが差し出したのは、細いが丈夫な麻縄だった。
ミネルバの前に立ち、エリオスは低く告げた。
「逃げる気はないだろうが、念のためだ」
ミネルバは何も言わず、小さく頷いた。
腰に縄を回し、荷馬車の手すりに軽く結びつける。手首は縛らない。本気で逃げようと思えば解ける程度の、最低限の拘束だった。
ミネルバは静かに荷台へ上がり、藁の上に腰を下ろした。
彼女の目はどこか、安堵感に包まれているようにも見えた。
ある意味において、こうして捕まることは、彼女にとっては逃亡の終息を示しているせいなのかもしれない。
☆
傭兵の配置を決める。禿頭の男が御者台に、浅黒い肌の男が荷台の後ろで見張りにつく。エリオスたちは馬で並走する形をとった。
出発の準備が整ったところで、シリルがエリオスの傍に馬を寄せた。
「殿下。関所のことですが」
その言葉に、エリオスは眉を上げた。
「ナルヴァ側の関所を正面から通るのは、避けた方がよいかと思います」
「ああ、そうだな」
「ミネルバの顔が知られている可能性があります。それに、ナルヴァ側が彼女を探しているなら、関所に手配が回っていないとも限りません」
「別の道があるのか?」
「商人の間で知られている裏道があります。関所を避けて国境を越えられる」
「ほう? 裏ルートと言う事か? 俺にそれを言うのはリスクがないか?」
シリルは肩を竦めた。
「関税を避けたい商人が、ごく稀に使う道です。ただし、非常に遠回りになります。それと、見つかれば面倒なことになる。なので余り使われていないのです」
密輸ルートというわけではないが、正規の道ではない。その程度のものだろう。
「どのくらい遠回りになる」
「通常の数倍近くかと」
エリオスは少し考え込んだ。関所で足止めを食うリスク。追手に見つかるリスク。それと、遠回りになる時間的損失。
天秤にかけるまでもなかった。
「その道を使って行く」
「承知しました」
☆
国境の街を離れ、本街道から外れて脇道へ入った。
最初のうちは、まだ道らしい道だった。だが、しばらく進むうちに、路面は次第に荒れ始める。
石が転がり、轍の跡は深く、馬車が通るたびに車体が大きく揺れる。
ガタン、と一際大きな揺れがあった。
オクターブが顔をしかめ、馬の手綱を握り直した。
「……なるほど、これは避けられるわけですね」
その言葉に、御者台の禿頭の傭兵が振り返って笑った。
「これくらいならマシな方だぜ。もっと奥に入ると、馬車が横転しかけることもある」
「それは聞きたくなかった情報です」
「ハッ。商人ってのは、こんな道を通ってでも関税を浮かせたいもんかね」
浅黒い肌の傭兵が、荷台の後ろから声を上げた。
「浮いた金で傭兵雇うんだから、世話ねぇよな」
禿男は、クッと鼻を鳴らした。
「違いねぇな」
傭兵たちの軽口が、荒れた道をかみ砕く車輪の音に混ざり響く。
エリオスは黙って馬を進めながら、時折ミネルバの様子を確認した。荷台の中で膝を抱えるようにして座る小柄な影は、揺れに身を任せるだけで、何の反応も示さなかった。
☆
裏道の旅は、予想以上に難儀した。
道の悪さだけでなく、途中で迂回を余儀なくされる箇所がいくつもあった。倒木に塞がれた道、増水で渡れない浅瀬。夜営の場所を探すのにも手間取る。
それでも、追手の気配はなかった。ナルヴァ側の関所を避けたことで、公的な追跡の目からは逃れられたようだった。
三日目の夕刻。
見慣れた景色がようやく視界に広がった。グレイストン領の西端、鉱山を抱える国境の街。ウィンター国に入ったことを示す風景だった。
街の入口で、エリオスは馬を止めた。
「ここで別れよう」
傭兵たちに向けて、残りの報酬を投げ渡す。禿頭の男が器用に受け取り、金貨を数えた。
「毎度。また何かあったら声かけてくれや」
「世話になったな」
傭兵たちは荷馬車を引き、来た道を戻っていく。
その背中を見送った後、エリオスはオクターブに命じてミネルバの腰縄を解かせた。ミネルバは解かれても、ぼんやりと立ち尽くしたまま動かない。逃げる気配はなかった。もはや逃げる場所などないと、彼女自身が一番よくわかっているのだろう。
「宿駅へ向かうぞ」
「御意」「はい」
エリオスがそう告げると、シリルとオクターブが頷いた。
三頭の馬を引き、ミネルバを伴って宿駅へ向かう。借りていた馬を返却し、代わりに幌付きの馬車を一台手配した。御者台には、宿駅の馬丁らしき若い男。
「公爵邸まで、明日の昼過ぎにはあちらへ着きたい」
シリルの言葉に、短い返事と頷きを馬丁は返した。
ミネルバを馬車に乗せると、シリルが幌の中で見張りに着き、エリオスとオクターブは公爵領から乗って来た馬を並走させた。
御者が鞭を振るい、馬車が動き出した。
グレイストン領の道は、裏道とは比べ物にならないほど整っていた。馬車の揺れも穏やかで、ミネルバは隅に座ったまま、幌の外を眺めている。その横顔には、何の感情も浮かんでいなかった。
途中で仮眠のために、小休憩を挟む。
エリオスは腕を組み、目を閉じた。
証人と証拠を手に入れた。あとは、これをどう使うか。
頭の中で、これからの段取りを組み立て始めていた。
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