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アリアが工房を訪れた翌朝。
夜の雨は上がっていたが、街はまだ乾ききっていない。
窓硝子の外では、石畳の目地に残った水が光を受け、馬車の車輪が通るたびに濡れた音が引きずってゆく。角のガス灯は消し忘れたのか、火が細く残っている。
レンは作業台の上に日誌を置き、革紐を結び直した。手を入れる順番は決まっている。迷っている暇はない。
外套を手に取ると、店の鍵を掛け、工房を出た。
通りは朝の支度の時間帯だった。売り子の声はまだ少なく、代わりに荷車の軋みと、鉄の輪が石畳を叩く音が目立つ。遠くで蒸気機関車の汽笛が一度鳴り、すぐに途切れた。街の挨拶みたいな音で、誰も顔を上げない。
レンは北港貨物区へ向かう。そこは大河を渡る貨物船や、大陸を横断する列車などが集まる場所だった。
港に近づくほど、通りの匂いが変わってゆく。
様々な匂いが混在する道を抜けて目指す商会は、表の通りには面していない。倉庫と倉庫の間の細い路地を進んだ先。小さな工房らしき建物があり、戸口に小さな札が掛かっているだけではあったが、そこがレンの目的の店だった。
扉の横、曇ったガラス窓の内側に、レンズ筒と金属の小箱が並んでいるのが薄っすらと見える。
店内にレンが入ると、店主は顔も上げずに言った。
「注文か」
「ああ」
それだけで通じた。店主は帳面と、薄い注文票を差し出す。必要事項の欄が並び、署名欄だけがやけに大きい。
レンは注文書を、黙って書いた。
寸法、倍率、焦点距離。納期。前金。用途欄は空白のままにしておく。ここで余計な口を開く理由はない。
店主は注文票に目を走らせ、ペン先で紙を二度叩いた。
「十日。遅れれば、もう少し」
「それで構わない」
「前金」
レンは小さな麻袋に入った金を置いた。店主は受け取り、中身を確認した後で帳面に走り書きしてから、注文票の下に割り印を押し、その部分を二つに器用に裂いた。片方を引き出しに仕舞うと、もう片方をレンに差し出す。引換書だ。
差し出されたその紙をレンは受け取る。
「頼んだ」
「ああ」
話はそれで終わりだ。
店を出ると、港の方から蒸気の吐き出し音が聞こえた。機関車の姿は見えないが、音だけが建物の間を抜けてくる。雨上がりの空はまだ白く、その向こう側にある青い空は見えていない。
レンは工房へ戻るなり、日誌に手を入れ始める。
表紙の革は乾き、角が裂けかけている。留め具も部品が劣化とともに壊れている。まずはそれを整える。頁の縁が脆いものは補強し、これ以上欠けないようにする。その日のうちにできる作業は片づいた。翌日も、翌々日も同じだ。レンズが届くまでに、日誌そのものを崩れない状態にしておく。そう決めて、淡々と手を動かした。
アリアが来てから、数日が過ぎた。
工房の机の上で、日誌は見た目だけなら、既に修復は終えていた。表紙は貼り直され、綴じは締まり、頁のめくりは滑らかになった。読める箇所は守られ、破れは止まった。留め具も滑らかになり、本来の動きで機能している。
だが、最後の数枚だけは持ち込まれた当初のまま。そこだけは、手が止まる。レンズが来るのを待つしかないからだ。
手が空くと、余計なものが頭に浮かぶ。作業の途中に、不意にアリアの声が脳内で再生された。
三日月横丁。アリアが『今は、そこで働いている』と言った場所だ。踊りと、占術と、カード。
それと、彼女が去り際に残した言葉『カップのナイン』
「タロットカード……か?」
誰に言うでもなく、言葉を落とす。カードの知識は少しはあれど、その意味まではわからない。
彼女は何を言いたかったのだろうか。
そんなことをぼんやりと思いながら、レンは自分の指先を見下ろした。
日が落ちた頃、外套を手に取った。アリアに……今のところ、用事はない。が、行ってはいけない理由もないはずだ。
☆
三日月横丁は、都市の裏側に広がる迷宮だった。
石造りの階段と、運河に架かるアーチ橋。水面に揺れるガス灯の灯り。
路地の奥から聞こえるアコーディオンの音色に誘われるように、レンは一軒の宿屋兼酒場『青鈍亭』の扉を開けた。
琥珀色の光に満ちた店内は、葉巻の煙と談笑の熱気で溢れていた。
レンはカウンターの隅、影になる席を選んで腰を下ろす。店員らしき男が側に来ると、干し肉を挟んだ簡易サンドと、キャベツと塩豚の煮込みスープ、そしてエール酒を注文した。
運ばれてきた料理を口に運び、食事が終わりかけた頃、店の照明がゆっくりと絞られた。ざわめきが潮が引くように静まり、舞台袖の楽団が弓を構え直した。
バイオリンが、哀愁を帯びた旋律を奏で始める。東方の異国情緒を含んだ、切なくも情熱的なワルツ。その音色に乗せて、彼女が現れた。
その姿を見たレンは、呼吸をすることを一瞬、忘れた。そこにいたのは、昨日の儚い依頼人ではなかった。
深い夜空のような、藍色のロングドレス。露出は極端に少ない。首元も、手首も、滑らかな布地で覆われている。だというのに、身体のラインに沿って流れる布のドレープが、反って彼女の肢体の美しさを際立たせていた。
顔の半分は、薄い青のシルクヴェールで覆われている。隠されているからこそ、露わになった双眸の碧さが、宝石のように強く、鋭く、見る者を射抜く。
彼女が舞う。
スカートの裾が、ふわりと舞い上がった。激しいステップを踏んでいるはずなのに、足音がしない。まるで重力から解き放たれた妖精のように、軽やかに、優雅に。指先が空を切り、見えない何かを掴み取る仕草をする。黄金の髪が、室内の絞られた灯を反射して輝き、星の軌跡のように流れてゆく。
その両手首に嵌めてある、金色の腕輪が煌めいた。
レンの職人としての目は、それが安物の真鍮であると見抜いていた。市場の露店で売られている、ただのガラクタだ。
だが、どうしたことだ。
彼女が腕を掲げ光の中で舞うたびに、その粗悪な金属が王冠に使われる純金よりも神々しく輝いて見える。
(……素材じゃない)
レンはグラスを持ったまま、微動だにできなかった。
彼女自身が、光なのだ。その身に宿る気高さと隠しきれない気品が、身につけるもの全ての価値を変えてしまっている。
これはただの踊りではない。魂の独白だ。
ヴェールの奥で、彼女が何かを呟いたように見えた。誰かに祈るような、あるいは遠い故郷を想うような、どこか寂し気な眼差し。
その時、激しい旋回に合わせて、ヴェールの裾がふわりと舞い上がった。
一瞬だけ露わになった、整った鼻梁と、桜色の唇。汗に濡れた素顔は、とてつもなく無防備で。
そして暴力的に狂気なほど……美しかった。
目が合った、気がした。
アリアの瞳が、薄暗い客席の隅にいるレンを捉え、ふわりと細められた。ヴェール越しに、彼女が微笑んだのが分かった。
ドクン、とレンの心臓が早鐘を打つ。
舞と演奏が終わると、訪れる深い静寂。そして、次に訪れたのは、爆発するような喝采と歓喜。客たちが皆、彼女の虜になった瞬間だった。既にそう言った客もいたのだろう。あらかじめ用意していたのか、彼女が舞っていた舞台へ向けて花束やコインの入った麻袋を彼女には当たらないように、投げ込み始めていた。
アリアは胸に手を当て、優雅に一礼すると、逃げるように舞台袖へと消えていった。
残されたレンは、しばらくの間、指先が震えるのを止めることができなかった。
ただの依頼人と修復士。そうであったはずなのに、それが自分の中で音を立てて崩れていく。
「……あんな目で見られたら、直さないわけにいかないだろ」
レンはグラスのエール酒を一気に呷った。
アルコールの熱さとは違う、甘く痺れるような熱が、胸の奥で燻り始めていた。
夜の雨は上がっていたが、街はまだ乾ききっていない。
窓硝子の外では、石畳の目地に残った水が光を受け、馬車の車輪が通るたびに濡れた音が引きずってゆく。角のガス灯は消し忘れたのか、火が細く残っている。
レンは作業台の上に日誌を置き、革紐を結び直した。手を入れる順番は決まっている。迷っている暇はない。
外套を手に取ると、店の鍵を掛け、工房を出た。
通りは朝の支度の時間帯だった。売り子の声はまだ少なく、代わりに荷車の軋みと、鉄の輪が石畳を叩く音が目立つ。遠くで蒸気機関車の汽笛が一度鳴り、すぐに途切れた。街の挨拶みたいな音で、誰も顔を上げない。
レンは北港貨物区へ向かう。そこは大河を渡る貨物船や、大陸を横断する列車などが集まる場所だった。
港に近づくほど、通りの匂いが変わってゆく。
様々な匂いが混在する道を抜けて目指す商会は、表の通りには面していない。倉庫と倉庫の間の細い路地を進んだ先。小さな工房らしき建物があり、戸口に小さな札が掛かっているだけではあったが、そこがレンの目的の店だった。
扉の横、曇ったガラス窓の内側に、レンズ筒と金属の小箱が並んでいるのが薄っすらと見える。
店内にレンが入ると、店主は顔も上げずに言った。
「注文か」
「ああ」
それだけで通じた。店主は帳面と、薄い注文票を差し出す。必要事項の欄が並び、署名欄だけがやけに大きい。
レンは注文書を、黙って書いた。
寸法、倍率、焦点距離。納期。前金。用途欄は空白のままにしておく。ここで余計な口を開く理由はない。
店主は注文票に目を走らせ、ペン先で紙を二度叩いた。
「十日。遅れれば、もう少し」
「それで構わない」
「前金」
レンは小さな麻袋に入った金を置いた。店主は受け取り、中身を確認した後で帳面に走り書きしてから、注文票の下に割り印を押し、その部分を二つに器用に裂いた。片方を引き出しに仕舞うと、もう片方をレンに差し出す。引換書だ。
差し出されたその紙をレンは受け取る。
「頼んだ」
「ああ」
話はそれで終わりだ。
店を出ると、港の方から蒸気の吐き出し音が聞こえた。機関車の姿は見えないが、音だけが建物の間を抜けてくる。雨上がりの空はまだ白く、その向こう側にある青い空は見えていない。
レンは工房へ戻るなり、日誌に手を入れ始める。
表紙の革は乾き、角が裂けかけている。留め具も部品が劣化とともに壊れている。まずはそれを整える。頁の縁が脆いものは補強し、これ以上欠けないようにする。その日のうちにできる作業は片づいた。翌日も、翌々日も同じだ。レンズが届くまでに、日誌そのものを崩れない状態にしておく。そう決めて、淡々と手を動かした。
アリアが来てから、数日が過ぎた。
工房の机の上で、日誌は見た目だけなら、既に修復は終えていた。表紙は貼り直され、綴じは締まり、頁のめくりは滑らかになった。読める箇所は守られ、破れは止まった。留め具も滑らかになり、本来の動きで機能している。
だが、最後の数枚だけは持ち込まれた当初のまま。そこだけは、手が止まる。レンズが来るのを待つしかないからだ。
手が空くと、余計なものが頭に浮かぶ。作業の途中に、不意にアリアの声が脳内で再生された。
三日月横丁。アリアが『今は、そこで働いている』と言った場所だ。踊りと、占術と、カード。
それと、彼女が去り際に残した言葉『カップのナイン』
「タロットカード……か?」
誰に言うでもなく、言葉を落とす。カードの知識は少しはあれど、その意味まではわからない。
彼女は何を言いたかったのだろうか。
そんなことをぼんやりと思いながら、レンは自分の指先を見下ろした。
日が落ちた頃、外套を手に取った。アリアに……今のところ、用事はない。が、行ってはいけない理由もないはずだ。
☆
三日月横丁は、都市の裏側に広がる迷宮だった。
石造りの階段と、運河に架かるアーチ橋。水面に揺れるガス灯の灯り。
路地の奥から聞こえるアコーディオンの音色に誘われるように、レンは一軒の宿屋兼酒場『青鈍亭』の扉を開けた。
琥珀色の光に満ちた店内は、葉巻の煙と談笑の熱気で溢れていた。
レンはカウンターの隅、影になる席を選んで腰を下ろす。店員らしき男が側に来ると、干し肉を挟んだ簡易サンドと、キャベツと塩豚の煮込みスープ、そしてエール酒を注文した。
運ばれてきた料理を口に運び、食事が終わりかけた頃、店の照明がゆっくりと絞られた。ざわめきが潮が引くように静まり、舞台袖の楽団が弓を構え直した。
バイオリンが、哀愁を帯びた旋律を奏で始める。東方の異国情緒を含んだ、切なくも情熱的なワルツ。その音色に乗せて、彼女が現れた。
その姿を見たレンは、呼吸をすることを一瞬、忘れた。そこにいたのは、昨日の儚い依頼人ではなかった。
深い夜空のような、藍色のロングドレス。露出は極端に少ない。首元も、手首も、滑らかな布地で覆われている。だというのに、身体のラインに沿って流れる布のドレープが、反って彼女の肢体の美しさを際立たせていた。
顔の半分は、薄い青のシルクヴェールで覆われている。隠されているからこそ、露わになった双眸の碧さが、宝石のように強く、鋭く、見る者を射抜く。
彼女が舞う。
スカートの裾が、ふわりと舞い上がった。激しいステップを踏んでいるはずなのに、足音がしない。まるで重力から解き放たれた妖精のように、軽やかに、優雅に。指先が空を切り、見えない何かを掴み取る仕草をする。黄金の髪が、室内の絞られた灯を反射して輝き、星の軌跡のように流れてゆく。
その両手首に嵌めてある、金色の腕輪が煌めいた。
レンの職人としての目は、それが安物の真鍮であると見抜いていた。市場の露店で売られている、ただのガラクタだ。
だが、どうしたことだ。
彼女が腕を掲げ光の中で舞うたびに、その粗悪な金属が王冠に使われる純金よりも神々しく輝いて見える。
(……素材じゃない)
レンはグラスを持ったまま、微動だにできなかった。
彼女自身が、光なのだ。その身に宿る気高さと隠しきれない気品が、身につけるもの全ての価値を変えてしまっている。
これはただの踊りではない。魂の独白だ。
ヴェールの奥で、彼女が何かを呟いたように見えた。誰かに祈るような、あるいは遠い故郷を想うような、どこか寂し気な眼差し。
その時、激しい旋回に合わせて、ヴェールの裾がふわりと舞い上がった。
一瞬だけ露わになった、整った鼻梁と、桜色の唇。汗に濡れた素顔は、とてつもなく無防備で。
そして暴力的に狂気なほど……美しかった。
目が合った、気がした。
アリアの瞳が、薄暗い客席の隅にいるレンを捉え、ふわりと細められた。ヴェール越しに、彼女が微笑んだのが分かった。
ドクン、とレンの心臓が早鐘を打つ。
舞と演奏が終わると、訪れる深い静寂。そして、次に訪れたのは、爆発するような喝采と歓喜。客たちが皆、彼女の虜になった瞬間だった。既にそう言った客もいたのだろう。あらかじめ用意していたのか、彼女が舞っていた舞台へ向けて花束やコインの入った麻袋を彼女には当たらないように、投げ込み始めていた。
アリアは胸に手を当て、優雅に一礼すると、逃げるように舞台袖へと消えていった。
残されたレンは、しばらくの間、指先が震えるのを止めることができなかった。
ただの依頼人と修復士。そうであったはずなのに、それが自分の中で音を立てて崩れていく。
「……あんな目で見られたら、直さないわけにいかないだろ」
レンはグラスのエール酒を一気に呷った。
アルコールの熱さとは違う、甘く痺れるような熱が、胸の奥で燻り始めていた。
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