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六話 将の育成は体を張って
才明の来室
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◇ ◇ ◇
昼間から抱き潰され、ぐったりしながら「だからやり過ぎなんですってばー!」と華候焔に説教する白澤の声を聞き、回復後は風呂へ入り――気づけば辺りは暗くなっていた。
「はぁ……本当に夜もやるのか? いいのかこれで……」
自分の寝台でうつ伏せになりながら、俺は困惑の声を漏らす。
これが今の状況を変えるために必要なのだと分かってはいるが、やはり本音としては受け入れきれないでいる。
見ようによっては、才明が俺を淫らに堕とすために敢えて行為が必要な道を選んでいるようにも見えてしまう。
華候焔は自分の欲に正直なだけだと思う。
交わること以外では意外と気を配り、俺が領主として強くなるよう導いてくれている。
……俺は華候焔のことを信用しているのか。
気だるさを覚えながら俺は頬を熱くする。妙に恥ずかしくなってきて頭を抱えていると、
「誠人様、よろしいですか?」
部屋の外から才明に声をかけられた途端、緊張で全身が強張る。
「……あ、ああ。入ってくれ」
情けないことに声が裏返る。動揺が筒抜けだ。
さっきとは別の気恥ずかしさで顔をしかめていると、才明が小さく吹き出しながら部屋へ入ってきた。
「やはり私が相手だと警戒してしまいますか。まあ気持ちは分かりますが」
クスクスと笑う声に羞恥を煽られてたまらないが、横たえたまま迎える訳にもいかない。 俺が体を起こしていると、寝台に腰を下ろした才明の手が伸び――トン。肩を押され、俺の背が再び敷布に着く。
「力が入りませんか? 私の力でも押し倒せてしまうなんて、よほど華候焔殿に可愛がられたようですね」
「い、言うな。そうするように言ったのは才明だろう」
「ええ。必要なことでしたから……あっ、どうかそのままで。大切なお体を休ませて下さい」
見下ろされながらでは休めないんだが……。
反論したい気持ちを抑えて言われた通りにする。一度始めれば休ませる気はないだろうから、今の内に少しでも体を労えということなのだろう。
仰向いたまま息をつく俺へ、才明が静かに語りかける。
「やっと二人きりになれることを許してもらえた……ようやく貴方と腹を割って話ができます」
許してもらえた? 誰に?
俺が問いかけようとするよりも早く、才明は苦笑交じりに教えてくれた。
「華候焔殿は誠人様を大事にされていますからね。私が貴方に接近してもいい人間なのか、見定めようとしていた――だから私を早く認めてもらいたくて、先日の褒美の件で誠人様を一緒に抱かせて頂くことを提案しました」
昼間から抱き潰され、ぐったりしながら「だからやり過ぎなんですってばー!」と華候焔に説教する白澤の声を聞き、回復後は風呂へ入り――気づけば辺りは暗くなっていた。
「はぁ……本当に夜もやるのか? いいのかこれで……」
自分の寝台でうつ伏せになりながら、俺は困惑の声を漏らす。
これが今の状況を変えるために必要なのだと分かってはいるが、やはり本音としては受け入れきれないでいる。
見ようによっては、才明が俺を淫らに堕とすために敢えて行為が必要な道を選んでいるようにも見えてしまう。
華候焔は自分の欲に正直なだけだと思う。
交わること以外では意外と気を配り、俺が領主として強くなるよう導いてくれている。
……俺は華候焔のことを信用しているのか。
気だるさを覚えながら俺は頬を熱くする。妙に恥ずかしくなってきて頭を抱えていると、
「誠人様、よろしいですか?」
部屋の外から才明に声をかけられた途端、緊張で全身が強張る。
「……あ、ああ。入ってくれ」
情けないことに声が裏返る。動揺が筒抜けだ。
さっきとは別の気恥ずかしさで顔をしかめていると、才明が小さく吹き出しながら部屋へ入ってきた。
「やはり私が相手だと警戒してしまいますか。まあ気持ちは分かりますが」
クスクスと笑う声に羞恥を煽られてたまらないが、横たえたまま迎える訳にもいかない。 俺が体を起こしていると、寝台に腰を下ろした才明の手が伸び――トン。肩を押され、俺の背が再び敷布に着く。
「力が入りませんか? 私の力でも押し倒せてしまうなんて、よほど華候焔殿に可愛がられたようですね」
「い、言うな。そうするように言ったのは才明だろう」
「ええ。必要なことでしたから……あっ、どうかそのままで。大切なお体を休ませて下さい」
見下ろされながらでは休めないんだが……。
反論したい気持ちを抑えて言われた通りにする。一度始めれば休ませる気はないだろうから、今の内に少しでも体を労えということなのだろう。
仰向いたまま息をつく俺へ、才明が静かに語りかける。
「やっと二人きりになれることを許してもらえた……ようやく貴方と腹を割って話ができます」
許してもらえた? 誰に?
俺が問いかけようとするよりも早く、才明は苦笑交じりに教えてくれた。
「華候焔殿は誠人様を大事にされていますからね。私が貴方に接近してもいい人間なのか、見定めようとしていた――だから私を早く認めてもらいたくて、先日の褒美の件で誠人様を一緒に抱かせて頂くことを提案しました」
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