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十四話 決戦に向けて

●今しかできないこと

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 身体の中心だけ露わにした俺に、英正は小さな息をつきながら吸い付いてくる。

 首筋と胸元を念入りに吸い、胸の尖りも念入りに舐られる。こうされると俺の口から「んン……」と甘くもどかしげな声が出てしまうことを、英正はよく知っている。そして、それを聞くのが好きなのか、いつも必ず責めてくる。

 もう慣れてしまった行為だ。
 どこを淫らに触れられても、身体の劣情が隠せない昂りを見られても、羞恥を覚えながら求めたがってしまう身体が恨めしい。応えてくれるなら誰でも良いのかと、変わり果てた身を嘆きたくなる気持ちもある。

 それでも今はいつになく鼓動が走り、英正を全身で感じたい衝動が止まらない。自分からも手を伸ばし、本気で求めてしまう。

 抱き合い、肌に手を這わせ合いながら、どこまでも英正とともに身も心も高揚していく。

 不意に触れる手が消えたかと思えば、小さく蓋が開く音が聞こえ、間もなく俺の後孔に英正の指が埋められる。

 ぬぷ、と滑らかに俺の身体は英正の指を招き、軽く揉まれただけで肉壁は柔らかく歓迎の準備を終えてしまう。

 連日のまぐわいに加えて、早朝まで華侯焔に一晩中抱かれた身体。
 まだ鮮明に快楽の頂きを覚えている最奥は、華侯焔を恋しがるように激しく疼く。

「あぁ……ンっ、むぅ……」

 身悶えてしまう俺の唇を味わいながら、英正は念入りに俺の後孔を奥まで解していく。息は荒く、今すぐにでも俺と繋がりたいだろうに、自分の欲よりも俺の身体を気遣ってくれる――その分、長く交わることになるから、俺の負担は別の意味では大きくなるのだが。

 今はそれがありがたい。
 華侯焔に暴かれ切って、何もかもそのまますべて感じて取り込めるような身体に、英正を刻み込むことができる。

 身体の深淵を突き抜けて、俺の魂まで刻む。
 きっとそれができるのは今しかない。そんな気がしてならなかった。

 柔らかく解し、最早欲情を煽るだけの指にもどかしさが募ってしまう。
 俺は火照った目で英正を覗き込みながら訴える。

「英正……はやく……っ……ひとつに……」

 英正は俺からの許しを得ないと繋がろうとしない。どれだけ身体を重ねても、それだけは変わらないこの忠臣が、もどかしくもあり愛おしい。

 俺が許しを与えると、英正の顔は一瞬だけ緩む。
 今日も俺に招いてもらえるという安堵感。俺と関係を持つ中で、ただ一人、こうなることを当たり前と思っていない証だ。

 そうして俺の中に自らを埋めていけば、喜びと快感に英正の瞳が潤む。
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