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第2章 ポーショントラブル
37.出会いがあるみたいです
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倒れたエルフの3人は役所のスタッフにより宿泊している役所にある貴賓室へと運ばれていった。
その場にいた5人はハジメを取り囲み先ほどの事情を聞こうと息巻いていた。ハジメはどう説明しようかと頭を悩ませていたとき、店のドアをノックする音がした。リナリーはお茶を入れるため台所にいたし、コウもリナリーを手伝うために台所にいたので、ハジメがそのノックに答える。
「それに対応する必要はありません。今の出来事について説明をしてください!」
とエヴァが強めに言うが、ハジメは既に扉を開けていた。そしてそこには白髪で白いひげを蓄えた好々爺の雰囲気を持った人物が立っている。
「えっと、どちら様ですか?」
「その前に・・・」
と告げると老人がぱーんと柏手を打つ。その一瞬で辺りの・・・世界の空気が止まる。言葉の揶揄ではなく本当に時が止まった。その場にいる5人の動きや呼吸、気配も止まっている。コウとリナリーの気配も動く様子はなかった。窓から見える人々も止まっており、飛んでいる鳥もその場に固定されたかのように存在していた。そう、この世界で今動いているのはハジメとその老人だけであった。
「初めまして、ハジメ様。私は精霊の王、ユドルと申します」
と老人が頭を下げる。ハジメも自己紹介をし頭を下げる。
「今回神々が動いたのは私たちの願いなんです」
とユドルはハジメを見つめる。
「ホンに澄んだ瞳をしてらっしゃる。シャプシェ様の言った通りですな」
ふぉっふぉっふぉと老人が微笑む。
「それでなぜ精霊の王様がここに来られたんですか?」
と不思議そうにハジメが言う。
「その前にハジメ様、私たち精霊とエルフの関係性はご存知ですかな?」
と質問されたがハジメには分からなかったので頭を振る。
「そもそも精霊は4大精霊と呼ばれる存在と精霊王しか存在しなかったのです。しかし、この世界に存在するモノたちの中で”精霊”という認識が生まれ、その強い祈りによって上位・中位・下位という精霊たちが生まれたのです」
「つまり、この世界に住むモノたちの認識によってのみ精霊たちが存在出来ている・・・・。その認識がなければ存在できないと?」
とハジメが言葉を発するとユドルが満足そうに頷く。
「最初にその存在に気づいたのは魔力適正の高いエルフでした。彼らは精霊の力を研究しました。そして”魔法”を生み出したのです。その頃は人間もエルフもドワーフもすべての種族が魔法を学んでいました。魔力適正の高いエルフたちは特に仲の良い精霊と友誼を結び、その威力を強めていきました。しかしエルフの王の中の1人がその友誼を結ぶ方法を秘匿し、”友誼”が精霊から一方的に与えられる”加護”と名前を変えました。本来なら友誼を結ぶ人物と精霊が共に望むことで結んでいた方法が魔方陣の近くを漂っている精霊を無理やり捕まえ契約を結ぶという方法に変わってしまいました。無理やり結ばれた契約では精霊は悲鳴を上げなら力を搾り取られているのです。しかし契約は契約であり、精霊から一方的に破棄はできないのです」
老人はため息を漏らす。
「そこで私たちは神々にこの状況をなんとかしてほしいと祈ったのですが、さきほどようやく願いが届いたのです。先ほど、シャプシェ様はハジメ様がいたからその祈りに気づけたとおっしゃられました。そしてシャプシェ様が姿を現したことによりハジメ様に迷惑がかかるだろうから、僕の姿を見た人から記憶を取り除いて欲しいと。私もハジメ様にお礼を伝えることができるので、喜んでその任を受けました」
と再度頭を下げる。
「しかし、このままでは精霊を認識できる存在がいなくなる・・・」
ハジメはこのままではせっかく生まれてきた精霊が消えていくのではないかと問いたかったが上手い言葉がでてこなかった。
「大丈夫です。そのことは私たちは覚悟しているのです。ハジメ様がお気にすることではありませんよ。それよりも今ハジメ様が持たれている2つの神器である『万物の書』と『水の祝福』の使い方もお伝えする任を頂いております」
ユドルはハジメの持っている本と青色の光を放つ3つの珠を見る。3つの珠はそれぞれ青いが色の濃淡が異なっている。
「『万物の書』はこの世のありとあらゆる作り方が載っているモノです。ハジメ様が今まで見たことのある素材からどのようなものが作れるのかを調べることが出来るそうです。そして『水の祝福』は一番色が薄いものを水の中に入れると”清らかな水”が、真ん中のものは”魔力水”が、一番濃いものは”精霊の水”に変化するそうです。ハジメ様の思う通り作り使用して構わないとのことでした」
ハジメはまじまじとそれらの神器を見てしまう。
「おや、もうあまり時間がないようです。私の力ではこれくらいの時間の停止が限界のようです。ハジメ様今回のお礼をお渡ししたいので、今夜の夜中裏庭の畑へとお越しいただいて宜しいでしょうか?」
と言われたので、
「お礼も言っていただきましたし、これ以上は申し訳ないのですが」
と言うと
「いえいえ、これでも精霊の王、そんなことをしては他の精霊たちに怒られてしまいますので。今夜お待ちしておりますね」
と言い2度柏手を打つ。
「ふむ、これでシャプシェ様の記憶は消されました。今回の事はこの5名には作戦があったようですので、それによりエルフを退けたという事にしておきましょう。なに、生きるものとは自分を守るため都合の良いように考えるものですか、それを後押しするだけですよ。」
とにっこりと笑い、再度は1度打った。すると空に固定されていた小鳥はぴぴぴと泣きながら飛び始めていた。
「では店主様、このポーションを1つ頂きます」
とユドルは言い、お金を渡してきたので受け取ると、
「ではまた」
と言い店から出て行きお茶を乗せたお盆を持ってコウとリナリーがやってきた。それを受け取りながらベスパとアベルが
「本当に計画通りになりましたね」
「俺に監視を付けていてここに来るのを見計らって連絡されて来たと言って脅す。みんな演技うまいぜ。しかし少し大げさな気もするがな・・・・」
と言う。
「え?脅しじゃないですよ。散々エルフの国には面倒を掛けられているので、実際に行います。いつ実行するかの段階であったのですが、ポーションをどう確保するかというのが問題だったのです。冒険者にとってポーションは必要不可欠なものですので、そこの課題がクリアできなければ行えなかったんですが、そこにハジメさんという切り札が我々には出来ましたので。ハジメさんにご迷惑をおかけしていますがこれで計画を実行に移せます」
とエヴァとウォールが笑顔で言った。
怖いのは笑顔の実力のある権力者だとハジメは改めて思った。
ハンドブック 8項目目
8-9.精霊王に会おう!:Clear!
8-10.精霊に商品を売ろう!::Clear!
8-11.報酬:魔法:空間拡張
その場にいた5人はハジメを取り囲み先ほどの事情を聞こうと息巻いていた。ハジメはどう説明しようかと頭を悩ませていたとき、店のドアをノックする音がした。リナリーはお茶を入れるため台所にいたし、コウもリナリーを手伝うために台所にいたので、ハジメがそのノックに答える。
「それに対応する必要はありません。今の出来事について説明をしてください!」
とエヴァが強めに言うが、ハジメは既に扉を開けていた。そしてそこには白髪で白いひげを蓄えた好々爺の雰囲気を持った人物が立っている。
「えっと、どちら様ですか?」
「その前に・・・」
と告げると老人がぱーんと柏手を打つ。その一瞬で辺りの・・・世界の空気が止まる。言葉の揶揄ではなく本当に時が止まった。その場にいる5人の動きや呼吸、気配も止まっている。コウとリナリーの気配も動く様子はなかった。窓から見える人々も止まっており、飛んでいる鳥もその場に固定されたかのように存在していた。そう、この世界で今動いているのはハジメとその老人だけであった。
「初めまして、ハジメ様。私は精霊の王、ユドルと申します」
と老人が頭を下げる。ハジメも自己紹介をし頭を下げる。
「今回神々が動いたのは私たちの願いなんです」
とユドルはハジメを見つめる。
「ホンに澄んだ瞳をしてらっしゃる。シャプシェ様の言った通りですな」
ふぉっふぉっふぉと老人が微笑む。
「それでなぜ精霊の王様がここに来られたんですか?」
と不思議そうにハジメが言う。
「その前にハジメ様、私たち精霊とエルフの関係性はご存知ですかな?」
と質問されたがハジメには分からなかったので頭を振る。
「そもそも精霊は4大精霊と呼ばれる存在と精霊王しか存在しなかったのです。しかし、この世界に存在するモノたちの中で”精霊”という認識が生まれ、その強い祈りによって上位・中位・下位という精霊たちが生まれたのです」
「つまり、この世界に住むモノたちの認識によってのみ精霊たちが存在出来ている・・・・。その認識がなければ存在できないと?」
とハジメが言葉を発するとユドルが満足そうに頷く。
「最初にその存在に気づいたのは魔力適正の高いエルフでした。彼らは精霊の力を研究しました。そして”魔法”を生み出したのです。その頃は人間もエルフもドワーフもすべての種族が魔法を学んでいました。魔力適正の高いエルフたちは特に仲の良い精霊と友誼を結び、その威力を強めていきました。しかしエルフの王の中の1人がその友誼を結ぶ方法を秘匿し、”友誼”が精霊から一方的に与えられる”加護”と名前を変えました。本来なら友誼を結ぶ人物と精霊が共に望むことで結んでいた方法が魔方陣の近くを漂っている精霊を無理やり捕まえ契約を結ぶという方法に変わってしまいました。無理やり結ばれた契約では精霊は悲鳴を上げなら力を搾り取られているのです。しかし契約は契約であり、精霊から一方的に破棄はできないのです」
老人はため息を漏らす。
「そこで私たちは神々にこの状況をなんとかしてほしいと祈ったのですが、さきほどようやく願いが届いたのです。先ほど、シャプシェ様はハジメ様がいたからその祈りに気づけたとおっしゃられました。そしてシャプシェ様が姿を現したことによりハジメ様に迷惑がかかるだろうから、僕の姿を見た人から記憶を取り除いて欲しいと。私もハジメ様にお礼を伝えることができるので、喜んでその任を受けました」
と再度頭を下げる。
「しかし、このままでは精霊を認識できる存在がいなくなる・・・」
ハジメはこのままではせっかく生まれてきた精霊が消えていくのではないかと問いたかったが上手い言葉がでてこなかった。
「大丈夫です。そのことは私たちは覚悟しているのです。ハジメ様がお気にすることではありませんよ。それよりも今ハジメ様が持たれている2つの神器である『万物の書』と『水の祝福』の使い方もお伝えする任を頂いております」
ユドルはハジメの持っている本と青色の光を放つ3つの珠を見る。3つの珠はそれぞれ青いが色の濃淡が異なっている。
「『万物の書』はこの世のありとあらゆる作り方が載っているモノです。ハジメ様が今まで見たことのある素材からどのようなものが作れるのかを調べることが出来るそうです。そして『水の祝福』は一番色が薄いものを水の中に入れると”清らかな水”が、真ん中のものは”魔力水”が、一番濃いものは”精霊の水”に変化するそうです。ハジメ様の思う通り作り使用して構わないとのことでした」
ハジメはまじまじとそれらの神器を見てしまう。
「おや、もうあまり時間がないようです。私の力ではこれくらいの時間の停止が限界のようです。ハジメ様今回のお礼をお渡ししたいので、今夜の夜中裏庭の畑へとお越しいただいて宜しいでしょうか?」
と言われたので、
「お礼も言っていただきましたし、これ以上は申し訳ないのですが」
と言うと
「いえいえ、これでも精霊の王、そんなことをしては他の精霊たちに怒られてしまいますので。今夜お待ちしておりますね」
と言い2度柏手を打つ。
「ふむ、これでシャプシェ様の記憶は消されました。今回の事はこの5名には作戦があったようですので、それによりエルフを退けたという事にしておきましょう。なに、生きるものとは自分を守るため都合の良いように考えるものですか、それを後押しするだけですよ。」
とにっこりと笑い、再度は1度打った。すると空に固定されていた小鳥はぴぴぴと泣きながら飛び始めていた。
「では店主様、このポーションを1つ頂きます」
とユドルは言い、お金を渡してきたので受け取ると、
「ではまた」
と言い店から出て行きお茶を乗せたお盆を持ってコウとリナリーがやってきた。それを受け取りながらベスパとアベルが
「本当に計画通りになりましたね」
「俺に監視を付けていてここに来るのを見計らって連絡されて来たと言って脅す。みんな演技うまいぜ。しかし少し大げさな気もするがな・・・・」
と言う。
「え?脅しじゃないですよ。散々エルフの国には面倒を掛けられているので、実際に行います。いつ実行するかの段階であったのですが、ポーションをどう確保するかというのが問題だったのです。冒険者にとってポーションは必要不可欠なものですので、そこの課題がクリアできなければ行えなかったんですが、そこにハジメさんという切り札が我々には出来ましたので。ハジメさんにご迷惑をおかけしていますがこれで計画を実行に移せます」
とエヴァとウォールが笑顔で言った。
怖いのは笑顔の実力のある権力者だとハジメは改めて思った。
ハンドブック 8項目目
8-9.精霊王に会おう!:Clear!
8-10.精霊に商品を売ろう!::Clear!
8-11.報酬:魔法:空間拡張
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