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第4章 英雄プレリュード

第43話 どうやらあなたが原因のようで①

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 背景 お父さん、お母さん、お元気ですか?

 僕は今、悪夢から覚めた異世界で捕まってしまいました。

「ゴチャゴチャうるせぇぞ!! 何一人でブツブツ喋ってんだ刑期延ばすぞ!!」

 俺とギルドマスターは、ちょび髭のおっさんに縛られ、そのまま馬車へと乗せられて現在絶賛護送中である。
 馬車の通る道はお世辞にも綺麗に舗装されているとは言い難く、石に引っかかる度にガタガタと揺れる。すっごく乗り心地悪い!!

「ギルドマスター......俺なんで運ばれてるんですか? あとどこに向かってるんですか?」

 ちょび髭に怒られないようにこっそりと話しかけないとな。

「はは......おそらあおいなー」

 ダメだこりゃ。完全に目が死んでる。
 最近ようやく石像から元に戻ったっていうのにすぐこれかよ......

『えっとね、これから君が連れて行かれるのは“ノヴァーリス”って国だよ』

 おっとナマコ神様が答えてくれた。

〈ノヴァーリス? どんな国なんだ?〉

『ノヴァーリスはね、本当に昔の昔からある最古の国で、数千年の歴史の中で一度も王の血が途絶えた事がないの』

 王の血が途絶えた事が無いの凄さ加減はよく分からないが、最古の国というのはすごいな......

『――それでね、ギルドがどうこうって言うのは私よく知らないけど、一番ヤバイのは王を護り続けている聖騎士だね』

 おお! 聖騎士!! 魔物を許さない人類の守護者って感じがする!

『確か聖騎士長は3人で、みんな亜人と魔物だったね』

 俺の信じる聖騎士の概念が崩れ去る音がする!! 

 “聖”騎士ってなんだっけ!?

『ノヴァーリスは最初から完全実力主義の国だからね~。建国初期からバカみたいに強くて長命な種族がトップに立ってたら変える意味無いもんね~。騎士は国を護れればそれで良いんだから』

 確かにその通りだ。忠誠心さえあれば別に誰が守護者だろうと関係無いからな。

〈その聖騎士長ってどんな奴なんだ!?〉

『君はそれを聞いて戦いに行ったりしないよね......?』

〈ナマコ神様心配性ぉ~! 戦いを避ける為に聞いておこうっての!〉

 ナマコ神様は色々と聖騎士長についての情報を教えてくれた。

 まず第一聖騎士長、これは代々人間が就任するのが慣例なので、短い寿命の元頻繁に代替わりをするらしい。人族の叡智の結晶である魔法を自在に操る事ができる、人間の中ではトップクラスの実力の持ち主なんだと。

 次に第二聖騎士長。彼はナマコ神様の記憶が正しければ今も昔も鬼族の長が務めているそう。代替わり多分していない。
 文字通り鬼のように強く、魔法大正義のこの世界で剣を振っているらしい。是非とも仲良くなりたい。

 最後に第三聖騎士長。これは超長命なエルフの女性が務めているそうなので代替わりは確定でしていないらしい。こちらも魔法ではなく弓を使っていたらしい。
 エルフ!! 絶対にお会いしたい!!

〈ナマコ神様詳しいな! なんで?〉

『そりゃ、伊達に長生きしてないからねぇ~......って今の無し!! マツル君には年寄りって思われたくない!!』

 どうやらナマコ神様は俺に隠したい事があるみたいだが、そこまで深くは気にしていない。
 だって、ナマコの過去って言ったら海で浮いてる位だろ? そこまで気にならないね。


◇◇◇◇


「おい罪人共、出ろ」

「でっけぇ城......」

 小高い丘の上で降ろされた俺が目にしたのは、遠目でもその大きさが分かるほどの巨大な城と、その城を囲むように広がる街であった。
 馬車に揺られること約三日、俺とギルドマスターは最古の国にしてギルド本部がある、星龍王国“ノヴァーリス”へと到着したのだった!
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