9 / 33
第二話 焦熱~繭の戯れ
#7 勘違い
しおりを挟む
──早く知りたい。ぜんぶ教えて? 中でイクって、どんな感じか。
「そういうのは危ないって言ってるのに、恐ろしい子だね、花は」
ささやく吐息が熱い。
まだ誰に触れられた記憶もない蜜口に、Dの舌先がゆっくりと入っていった。
ぬち…、ぬち…、ぬち……──
優しくほぐし、角度を変えてまたほぐし、奥へ奥へと、少しずつ深めてゆく。
「あ、あ、あ、ああぁ……」
そうして差し入れた舌で柔襞をなぞりながら。
しっかりとつないだままの手が、おもむろに乳首をこすりはじめた。そうすると、絡み合った二人の指の甲が、入れ替わり立ち替わり、勃ちきった先端をバラバラとかすめるのだ。
「あ!あ!あ!あ!あんっ!」
半分は自分の手なのに、逃げ場なく弄られ、追い込まれて。予測のつかない刺激に、花は怖いくらい乱れた。
その間も、Dの口の奉仕は続いている。
「や、これ、あ!待ってお願い、止、めてっ」
「ごめん、急すぎた? 夢中になって、つい深く挿れてしまった」
「うううん、違……。あの、そっちじゃなくて、こっち」
と、つないだ手をゆする。
「え?」
「こっちが、その、すごく……て、わからなく、なっちゃう。から、……む、胸は、しないで」
そんな可愛いことを言いながら、指を絡めたままの手を口元まで引き上げ、大事そうに頬をすり寄せたものだから。
「わかった」
Dの眸に熱がたぎった。
「胸はしない。中だけするね。そのかわり、花、僕の目を見てて」
「え?」
「花を見ていたい」
「D、さん……」
「だから花も、僕を見てて」
「……」
「感じても、イッても、目を離さないで。いい?」
「……ん、がんばる」
「……かわいいにも程がある」
最後の呟きは、ぬるぬるに沸騰した花の中に注がれて、耳には届かない。
くちゅ、くちゅ、くちゅ、くちゅ、くちゅ、くちゅ──
「は、あ、あっ、あっ、あっ!んっ!」
ぞくぞくぞくんっ……
身も心もとろける深い口づけを秘唇に受け、花は泣きそうになりながら、必死にDを見つめていた。
ぢゅ、ぢゅ、ぢゅ、ぢゅ、ぢゅ、ぢゅぷ──
「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、ああああああああ」
気を抜くと目を瞑りそうになる。顔を隠しそうになる。頭をそむけそうになる。涙がこぼれそうになる。勘違いしそうになる。
ちゅく、ちゅく、ちゅく、ちゅく、ちゅく、じゅるるるるる──
舐められ、吸われ、撫でられるたびに、ぞくぞくぞくっと背中を走り抜けるものがある。
「ん、あ、あっ、あっ、あっ、んっ、んああああああああぁっ」
熱い視線。五指を絡めてつないだ手。ガラス細工を扱うような愛撫。祈りを唱えるような舌の動き。
熱い。自分の吐く息も、Dの息遣いも。んっく、んっくと、大事そうに、味わうように、たまらないように食べられている自分の身体も。
ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ぢゅっ、ぢゅううぅぅぅ──
「あ、あっあっあっ、ぃあああああああああああ……!」
こんなの反則だ。
同じことをされたら、どんな女だって間違うだろう。
本当は愛されてるんじゃないかと錯覚してしまいそうになる。そんなはずがないとわかっていても、胸が早鐘のように轟いて。免疫のない若い娘でなくとも、たとえば蝶子のような遊びなれた大人であっても、うっかり一瞬で恋に落ちてしまっておかしくない。
(たしかにこれは封印して正解)
花の中の蝶子も嘆息した。
ぢゅうっ、ぢゅうっ、ぢゅうっ、ぬろぬろぬろぬろぬろぬろ……──
「ああああああっ!ああああああっ!あっ!あっ!……ん、ぅ、ひ……」
「花」
「あああんっ」
しゃべる吐息の空気の振動さえもが、花を翻弄した。
「花」
Dがずいっと目の高さに上がってきた。
「花」
ひくひくと、ほとんど嗚咽に近い浅い呼吸。
とろけきった目の中に、Dの姿が映っている。
濡れて震える唇が、やけに紅かった。
「かわいい。すっかり女の顔になってる」
はぁ、はぁ、はぁ……。
ひくひくと震えているのは、唇だけではない。
内腿を撫でていたDの手が、脚のつけねを越えた。
「そろそろ指も挿れてみよう」
こくりとうなづいたのは、もう半ば無意識だったかもしれない。
目を合わせたまま、Dはゆっくりと花の中に指を埋めていった。
次ページへ続く
「そういうのは危ないって言ってるのに、恐ろしい子だね、花は」
ささやく吐息が熱い。
まだ誰に触れられた記憶もない蜜口に、Dの舌先がゆっくりと入っていった。
ぬち…、ぬち…、ぬち……──
優しくほぐし、角度を変えてまたほぐし、奥へ奥へと、少しずつ深めてゆく。
「あ、あ、あ、ああぁ……」
そうして差し入れた舌で柔襞をなぞりながら。
しっかりとつないだままの手が、おもむろに乳首をこすりはじめた。そうすると、絡み合った二人の指の甲が、入れ替わり立ち替わり、勃ちきった先端をバラバラとかすめるのだ。
「あ!あ!あ!あ!あんっ!」
半分は自分の手なのに、逃げ場なく弄られ、追い込まれて。予測のつかない刺激に、花は怖いくらい乱れた。
その間も、Dの口の奉仕は続いている。
「や、これ、あ!待ってお願い、止、めてっ」
「ごめん、急すぎた? 夢中になって、つい深く挿れてしまった」
「うううん、違……。あの、そっちじゃなくて、こっち」
と、つないだ手をゆする。
「え?」
「こっちが、その、すごく……て、わからなく、なっちゃう。から、……む、胸は、しないで」
そんな可愛いことを言いながら、指を絡めたままの手を口元まで引き上げ、大事そうに頬をすり寄せたものだから。
「わかった」
Dの眸に熱がたぎった。
「胸はしない。中だけするね。そのかわり、花、僕の目を見てて」
「え?」
「花を見ていたい」
「D、さん……」
「だから花も、僕を見てて」
「……」
「感じても、イッても、目を離さないで。いい?」
「……ん、がんばる」
「……かわいいにも程がある」
最後の呟きは、ぬるぬるに沸騰した花の中に注がれて、耳には届かない。
くちゅ、くちゅ、くちゅ、くちゅ、くちゅ、くちゅ──
「は、あ、あっ、あっ、あっ!んっ!」
ぞくぞくぞくんっ……
身も心もとろける深い口づけを秘唇に受け、花は泣きそうになりながら、必死にDを見つめていた。
ぢゅ、ぢゅ、ぢゅ、ぢゅ、ぢゅ、ぢゅぷ──
「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、ああああああああ」
気を抜くと目を瞑りそうになる。顔を隠しそうになる。頭をそむけそうになる。涙がこぼれそうになる。勘違いしそうになる。
ちゅく、ちゅく、ちゅく、ちゅく、ちゅく、じゅるるるるる──
舐められ、吸われ、撫でられるたびに、ぞくぞくぞくっと背中を走り抜けるものがある。
「ん、あ、あっ、あっ、あっ、んっ、んああああああああぁっ」
熱い視線。五指を絡めてつないだ手。ガラス細工を扱うような愛撫。祈りを唱えるような舌の動き。
熱い。自分の吐く息も、Dの息遣いも。んっく、んっくと、大事そうに、味わうように、たまらないように食べられている自分の身体も。
ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ぢゅっ、ぢゅううぅぅぅ──
「あ、あっあっあっ、ぃあああああああああああ……!」
こんなの反則だ。
同じことをされたら、どんな女だって間違うだろう。
本当は愛されてるんじゃないかと錯覚してしまいそうになる。そんなはずがないとわかっていても、胸が早鐘のように轟いて。免疫のない若い娘でなくとも、たとえば蝶子のような遊びなれた大人であっても、うっかり一瞬で恋に落ちてしまっておかしくない。
(たしかにこれは封印して正解)
花の中の蝶子も嘆息した。
ぢゅうっ、ぢゅうっ、ぢゅうっ、ぬろぬろぬろぬろぬろぬろ……──
「ああああああっ!ああああああっ!あっ!あっ!……ん、ぅ、ひ……」
「花」
「あああんっ」
しゃべる吐息の空気の振動さえもが、花を翻弄した。
「花」
Dがずいっと目の高さに上がってきた。
「花」
ひくひくと、ほとんど嗚咽に近い浅い呼吸。
とろけきった目の中に、Dの姿が映っている。
濡れて震える唇が、やけに紅かった。
「かわいい。すっかり女の顔になってる」
はぁ、はぁ、はぁ……。
ひくひくと震えているのは、唇だけではない。
内腿を撫でていたDの手が、脚のつけねを越えた。
「そろそろ指も挿れてみよう」
こくりとうなづいたのは、もう半ば無意識だったかもしれない。
目を合わせたまま、Dはゆっくりと花の中に指を埋めていった。
次ページへ続く
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
74
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる