Two seam

フロイライン

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戦慄

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次の日曜日は咲聖学園にとって、とても大きな行事があった。

それは、他校との練習試合であった。

しかも…

「相手は栄神学院だよ!」

すみれが練習用ユニフォームに着替える優里に興奮気味に語りかけた。

「栄神?」

「昨年の全国大会の準優勝校」

「それはすごいねー」

「優里、もっと驚いてよ!
ウチみたいな弱小校がさあ、栄神みたいな強豪校と練習試合が出来るなんて、まあ無いんだから。
本当にスゴイ事なんだよ」

「それはそうだね。」

「ウチは昨年くらいまでレギュラーメンバー揃えるのにも必死だったから、対外試合をやることすらままならなかったのよ。
だから、尚更嬉しいのよ!」

優里はボールを右手で握り締めながら頷いた。

「もし、その栄神学院に投げさせてもらえるなら、全力でいくわ。」

「楽しみ!
優里のボールが全国トップの実力校にどれだけ通用するか、考えただけでワクワクが止まらないわ。

遂に優里のピッチングの凄さが他の人達に知れ渡るのね」

「まあ、頑張るよ」

優里はそう言いながらストレッチを始めた。

「ところで、優里の球速って、最高でどれくらい出るの?」

「男だった時に出した…155キロが最高かな」

「すごっ、一年でしょ?そのとき」

「うん。あのときはボールも速く投げれたし、足も速かったのよ」

「へえ、そうなんだ」

「でも、今は筋力も落ちちゃったからムリなんだけどね

それと、コレ」

優里は自分の胸を指さして言った。

「あ、そうそう。
聞きたいと思ってたんだよ、その胸の事

めっちゃ巨乳なんだけど、何か入れてるの?」

すみれは優里の胸の膨らみを見つめながら言った。

「入れてないよー
治療の一環として女性ホルモンの投与をされてるんだけど、何か…体に合ったというか
どんどん膨らんできて、大きくなってきたっていうか…」

「私はそんな心配はないけど」

すみれは優里とは比べ物にならないサイズの胸をしており、自嘲気味に言って笑った。

「とにかく痛いのよ、動くとね
だから全力でプレイ出来ないっていうか

投げる方は単純に筋力が落ちたせいでスピードが出なくなっちゃったんだと思うけどね」

「でも、今のスピードでも女子野球の世界ではあり得ないものだから、それくらいでじゅーぶんよ」

「そうだと良いんだけど」

優里は不安げに呟いた。
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