フィロス

フロイライン

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覚悟と自覚

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「三浦皧流さん…

ひょっとして、作家の?」



「…はい。

そうです。」


加納は、その珍しい名前から、皧流が著名な作家と同姓同名だと気付いたのだった。


「そうでしたか。

こんなところで、有名人にお会いできるとは思ってもみなかったですよ。」


「全然有名なんかじゃ…」


皧流は、頬を赤くし、俯いた。


性転換してからの皧流は、何故だか、すぐに顔が真っ赤になるようになり、ちょっとした事でこうなってしまう。


「すいません。
話が脱線してしまいましたね。

本題に戻ります。


三浦さんは、性転換薬を使用し、男性から女性となった。

そして、現在、妊娠をされている。」



「そうです…」



「で、お腹の赤ちゃんの父親は、竹脇さん…

間違いないですか?」



「間違いありません。」


加納の質問に、竹脇は落ち着いた口調で答えた。


「わかりました。

木村さんから、ご質問は?」


加納が、ファイン製薬の木村に振ると、木村は頷き、少し身を乗り出して、皧流に話しかけた。


「三浦さん。

女性に性転換されて、何か変わった事はありましたか?」



「変わった事?

ですか…」



「そうです。

もちろん、男性から女性になられたんですから、全てが変わった事という事になるんでしょうが、特にこれは?と思った事はありましたか?」


木村にそう質問された皧流は、少し考える素振りを見せたが、すぐに顔を上げ、何かを話そうとした。
だが、やはり、躊躇したようで、暫しの沈黙があった後、小さな声で話し始めた。


「えっと…

こんな事言っていいのか…


男性との性交渉で、異常に感じてしまうというか…」

皧流は、非常に言いにくそうにしていたが、ぽつりぽつりと告白した。


竹脇は、無表情で聞いていたが、その目は泳ぎまくっていた。
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