ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

文字の大きさ
57 / 409

詮索

しおりを挟む
その晩、多村は亮輔のいるマンションには帰って来なかった。 

多分、綾香の部屋に戻ったのだろうと、亮輔は思っていたが 

翌日も、その翌日も多村からの連絡は無く、亮輔の不安は極限に達した。 

「私が綾香に協力した事がバレたんじゃ…」 

死刑宣告を待つ囚人のように、焦りながら三日間をすごした。 

三日目の夜になって、多村がようやく亮輔の待つ部屋に戻ってきた。 

「お帰りなさい…」 

亮輔は緊張気味に多村に声をかけた。 

「おぅ…」 

多村はやや疲れたような表情を浮かべ、ソファーに腰かけた。 

「どうだったんですか?」 

亮輔は今の状況を一刻も早く知りたくて 
多村が喋る前に質問した。 

多村は横目で亮輔の顔を、しばらく何も言わずに見つめていたが、やがて、怒りに満ち満ちた表情で話し始めた。 

「綾香の奴、大阪に逃げやがった。」 

「大阪!?」 

亮輔は多村が既にそこまでわかっているという事実に、驚愕した。 

「ああ。それも沢木のヤローのところで世話になってるんだと。」 

「沢木って… あの沢木組ですか!?」 

「そうだ。ヤクザから逃げるのに、またヤクザの手を借りやがって… バカが。」 

恐ろしいほど早い情報収集能力に、亮輔は自分が協力した事が既に多村にバレてると確信した。 

「あなた… 私…」 

亮輔は震えながら全てを話す決意をした。 

しかし、多村は亮輔の話を手で遮って 
話し始めた。 

「亮輔、お前が何を言おうとしているのかはわかっている。 
だが、話を聞いたところで俺の答えは変わらない。 
だから、何も話さなくていい。」 

「え?…」 

「綾香は絶対に許さない。 前にも言ったように、俺達はメンツで生きてる部分があるからな。
こういう事を許していては、商売は成り立たなねえ。」 

「…」 

「だいたいの調べはついてる。まあ、俺も言いたいことはあるが、こうしてお前は逃げずにここにいる。今はそれで充分だ。」 

「あなた…」 

「亮輔、俺は以前、お前に綾香の影武者をしてくれって頼んだよな。」 

「はい…」 

「綾香が消えた今、その計画も全くの無駄になってしまった。 
そこで、お前に新たな提案がある。」 

多村は相変わらずの鋭い目つきで、亮輔を見つめた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

性転のへきれき

廣瀬純七
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

秘密のキス

廣瀬純七
青春
キスで体が入れ替わる高校生の男女の話

OLサラリーマン

廣瀬純七
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

BODY SWAP

廣瀬純七
大衆娯楽
ある日突然に体が入れ替わった純と拓也の話

不思議な夏休み

廣瀬純七
青春
夏休みの初日に体が入れ替わった四人の高校生の男女が経験した不思議な話

処理中です...