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狙い

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達也の会社はレギンドーとの取引再開の目処が立たず、さらに折からの円安の影響をモロに受け、危険水域を超えてしまった。


達也の事務所に取り立てに来た桐山は、それが適わないと知ると、態度を急変させた。

「佐藤さん。
もう限界ですね。今月の返済すら出来なくなってしまうなんてね。」


「すいません…」


「まあ、ウチも慈善事業じゃないし、一昔前で言うところの闇金ですから、あなたにかけた保険金で清算していただくことも視野に入れていますよ。」


桐山はキツイ話を表情を変えずにサラッと言った。


「…」


「佐藤さん、もう肚決めてやるしかないんじゃないですか?」


「ええ…ですが…」


「私は協力はさせてもらうが、やるのはあくまでもあなただ。
その覚悟は出来てるんですか?」


「それは…はい…
先日も美智香の働いている店に行ったんですが、とにかく頑なで…」


「佐藤さん、いつまで同じところをぐるぐる回ってるんですか。

押してダメなら引いてみる事ですよ。」


「そう言われましても…」


「興信所で色々調べてみたんですよね?
美智香さんの事、その若い旦那のことも」


「はい、それは。」


「旦那の働いている会社はわかってますか?」


「ええ。」


「それだったら、攻め手を変えましょう。

旦那の方に接触して、それを足掛かりに美智香さんに出てきてもらうんです。」


「でも、どうやって?」


「だから、協力はさせてもらうと言ってるじゃありませんか。
あなたは旦那の方に上手く話をして交渉の場に引き摺り出す。

しかし、それはあくまでも形だけ。」


「…」


「やるんですか、やらないんですか。」


「わかりました。
やります…ご協力のほど、よろしくお願い致します」

達也は桐山に頭を下げた。


「佐藤さん、まあ金のことも大事だが、私にはもう一つ楽しみがありましてね」


「楽しみ…ですか?」


「ええ。
まさか、あなたの元奥さんの弟があのトモちゃんだとは思ってもみなかったですよ。
私は彼女を再びこの手に入れたいんです。」


「智君を…」


「あなたの元奥様も大変美しくて魅力的だが、弟さんには敵わないですよ。」


桐山は意味深な笑みを浮かべた。
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