どんぐり

目から鱗

「勉強が捗るぞ

頑張らなきゃ」


ヒロトは、快適に勉強が出来るようになり、夏休み中に、遅れた分を取り戻そうと奮起した。



「性欲のない生活がこんなにも勉強に集中出来るようになるとは…

すげー…」


午前中にニ時間ほど勉強した勉強したヒロトは、自身の集中力が過去最高に増していることに気付き、思わず感嘆の声を上げた。

これで、誘惑に負ける事なく、夏休みを充実したものに出来ると確信していた。


メリットだらけの性転換に手応えを感じるヒロトだったが、多少の不便は生じた。

その中でも一番の問題はトイレである。

男性の体に女性器が付いているヒロトは、小の時も座って用を足さなければならない。

家ではまだいいが、外だと、男子用トイレに入り、大用の個室でしなければならないのだ。

大体の男子トイレは、小用の回転は凄まじく早いが、大用は元々少ない上に回転が悪い。

小だけなのに、並ばなければならない不便さは、ヒロトの最大の悩みとなった。

まあ、勉強に集中する身ゆえに、出かける事などほぼないのだが…


あとは、嗜好の問題も日が経つにつれて出てきた。


元々甘いものがそれほど好きではなかったヒロトだったが、性転換してからはドーナツやグミなどを好んで食べるようになった。

性器だけの変化だと思っていたところ、好みの食べ物などが変わった事に、ヒロトは、一抹の不安を感じていた。


だが、この時点では、それは些細な問題であり、受験勉強に影響を及ぼす事はなかった。