上 下
43 / 76

遺産と私のお金【後編】

しおりを挟む
 私はギルドの食堂に入った時、背後から聞きたくもない声がした。

「お前は、あの時のガキじゃねえか!
 今、金貨を持ってなかったか?」

 後ろを振り返ると、あの時の魔物泥棒オヤジがいた!

 私は魔物泥棒オヤジとの距離を少しずつ開けていると。

「さっき見てたんだぞ!
 金貨を持ってただろう?」

「あれはダンに頼まれ物を買う為に金貨を預かったのよ! 私のじゃない!!」

 私は大声で叫んだあと、移動すると同じように魔物泥棒オヤジも移動してくる。

 トコトコトコ……ドカドカドカ!

 トコトコトコ……ドカドカドカ!

 トコトコトコ……ドカドカドカ!

 もう、しつこいな! あっ、エリックさんだ!

「エリックさん、助けて!」

「ミオじゃねえか、どうした?」

 私は変なオヤジに付きまとわれている事を話すと、私をエリックさんの背後に隠してくれた。

「ミオに付きまとっているのは、お前の事か!」

「そのガキは俺の金貨を盗ったんだ!
 今すぐ返せ、クソガキが!!」

 魔物泥棒オヤジは私を引きづり出そうと手を伸ばした時、怖くて悲鳴をあげていた。

「きゃあぁぁっ! やだっっっ!!」

 エリックさんは悲鳴をあげて怖がる私を背後で守り、オヤジの手をアーサーが怖い顔で掴んだ。

「お前、ミオに何してんだよ!
 テメェ、ミオを泣かせたな?」

「アーサー、落ち着け!
 お前はあの時の奴じゃねえか、またミオに何かしてんのか?」

 ダンがアーサーを抑え、ミオに因縁をつけてる奴を見て顔つきが変わった。

「このクソガキが俺の金貨を盗って、ここまで逃げやがったんだ!
 俺は盗られた金を取り返しに来たんだ!!」

 何かを察したアーサーがオヤジに怒鳴った。

「ミオはダンに頼まれた物を買いに来ただけなんだよ!
 ギルマスである俺の所にな!!」

「離しやがれっっっ!!」

 あの魔物泥棒オヤジはブツブツと言いながらギルドを出て行った。

 エリックさんに「ありがとう」と御礼を言い、アーサーとダンとで奥の部屋へ入った。

「ミオ、アイツは闇商人とも言われている。
 あの男はダルーズ・グレッグと繋がっているから気をつけるんだぞ?」

 私は大切な話があるので、アイリスさん、エミリーさん、ボブさん、リリーさん、アリア、バズ、ルシア、ゼクス、ダン、エリックさん、クリスさん、サムさん、ポーラさんを呼んでほしいとお願いした。

『サイレント!!』この部屋の音や声が周りに聞こえないようにした。

 夜になり皆が揃い、私が地球という世界からの転生者である事、スペールディ神の手違いで『命の糸』を切られ、地球の身体と魂が抜けた状態だったので、スペールディ神に身体を貰い私の魂を入れ、この世界へ転生した事を話した。

 あとは、さっき神様からの手紙を見せた!

「ミオ、これはギルドで預かる事も出来るが、全部は預かれない。
 金額が金額だからな」

 アーサーは困った顔で「美音、すまない」と言った。

「ミオは巨大な宝石の塊だな、アイテムボックスを無くすなよ!」

「やっぱ、それしかないよね……不安になる……」

 皆は私を守ってあげるから大丈夫って言ってくれたけど、だけど不安だよ。

 こんな時に玲央兄ちゃんがいてくれたら、ジワーーと目に涙が溜まり、皆が慌てていた。

「美音に何かあったら、お、俺が責任を……」

「私に何かあったら責任者として、お嫁さんにしてもらうからね!」

 私は冗談で言ったつもりだったんだけど。

「あぁ、良いぜ」

 部屋に居る皆が一瞬止まったが無言で全員頷いていた。

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

潰れた瞳で僕を見ろ

BL / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:21

能力持ちの若き夫人は、冷遇夫から去る

恋愛 / 完結 24h.ポイント:99pt お気に入り:1,203

男は歪んだ計画のままに可愛がられる

BL / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:11

1人の男と魔女3人

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

子供の頃結婚の約束をした男の子は魔王でした。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:326

【完結】転生令嬢は遠慮いたしません!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:397pt お気に入り:815

処理中です...