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10 ギルマスとの約束ともう一人の受付嬢

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    ここは安全な地球の日本ではなく、異世界なのだから十分に気をつけないといけない。

    ニコニコしているギルマスの向かえ側のソファーに座り、南の森のことを尋ねた。

「あのねギルマス、ここから南にある森には強い魔物やモンスターはいますか?」

「ん?

    そうだな、南の森にはウルフや飛びうさぎ……たまに、いや、ごく稀にサラマンダーの出現報告が一度あったが、アレは俺が退治したんだったな。

    それからは聞かねぇなぁ。

    南の森に何か用があるのか?」

「採取に行こうと思っているので、魔物の情報を聞いておこうかなって……」

「そうか、そうか。

    情報を聞くことは大切な事だからな。

    レインは幼いのにエライな!

    だが、採取は危険だろ?

    もっとこう……街から出ない依頼をしないか?」

    突然ギルマスが立ち上がり、私の隣に座り、頭に手を置いた。

    そして、なでなでなでなで……。

    この頭を撫でるのは、私が子供だからだよね?

    これでも中身は大人なんだけどな。

    まぁ、幼いのは認めるけど、採取にも行きたいし冒険もしたい。

    でも、面倒事は嫌だからなぁ、ニコニコ笑顔で子供らしくしておこう。

(ニコニコ)

「ギルマス、そろそろ寝ようと思うので部屋に戻るね」

「そうか、何か困ったことがあれば直ぐに言うんだぞ?

    あと、知らない奴について行くんじゃねぇぞ?」

    胸にキュンと来るような満面の笑みを向けて「クスクス」と萌可愛く笑い。

「大丈夫だよ……」

    と、言いかけたが、ギルマスは心配モードの変なスイッチが入ってしまったようだ。私を抱きかかえ、何度も何度も耳が痛くなるくらい言い聞かされた。

「レインは俺たちが守ってやらねぇといけねぇ小さな幼子なんだ。

    それに俺はレインが怪我をしねぇかや売人に誘拐されねぇかが心配なんだよ」

    ギルマスの頬をナデナデして、首にギュッと抱きつき、心配してくれたことに感謝した。

「心配してくれてありがとう。

    森の奥までは行かないし、知らない人について行かないと約束する」

「あぁ、ありがとうな。

    もう遅いからな、部屋に戻ったら寝るんだぞ?」

    頭をナデナデされながら「うん」と返事をしたあと。

「おやすみなさい」

「あぁ、おやすみ」

    手を振ってギルマスの部屋を後にした。

    このまま部屋へ戻ろうと思ったが、冒険者さんと仲良くなりたいのもあった私は、食堂にヒョコっと顔を出し周りを見渡すと、いつもの冒険者さんたちがいた!

    声をかけようと思うと恐怖と緊張からのドキドキする胸を押さえ、食堂にいる強面の人達に「みんな、おやすみなさい」と笑顔で挨拶が出来た私は、手を振りながら部屋へと戻り、マロンにパンを食べさせ、枕の横にマロンを移動させた。

    マロンと一緒に、久しぶりのベッドで疲れた体を休めた。




    朝日が昇るとともに、窓を開けたあと髪をブラシでとかし、手早く着替えを済ませ。



    タタタタタタッ!


    と、小さな足で素早く階段を駆け下り周りを見ると、冒険者のみんなは3人くらいしかいなく、昨夜手を振ってくれた冒険者さんがいた。

「おはようございます。

    私はレインと申します。

    分からないことばかりですが、宜しくお願い致します!」

「あぁ、おはよう。

    レインか、良い名だな。

    俺はレンだ、敬語もいらない。気楽に話してくれ」

    言葉はぶっきらぼうだけど、笑うとギャップがあるレンに手を振って食堂を後にした。

(レンはギャップ萌えが凄まじい!)

    あれ、知らない受付のお姉さんがいる。ギルマスもローランもまだ起きていないんだね。

    小走りで受付のお姉さんにの元へ行き、南の森に行くことを伝えてから行くことにした。

「お、おはようございます。

    私は、レインと申します。

    今から南の森へ行くので、ギルマスに伝えて下さい」

「あら、おはよう。ギルマスとローランから聞いてるわ。

    私はライラよ。よろしくね。

    それにしても、レインは早起きだし言葉も丁寧で偉いわね。

    ここでは普通に話してくれて良いからね。

    ギルマスとローランには伝えておくけど、気をつけて行くのよ?

    あと、知らない人について行かないようにね?」

    ライラも優しいお姉さんで良かったと胸をなでおろした。

「はぁい。

    行ってきまぁーーす!」

    私は小走りで南の森へと急いだ。



    ゴクリッ!



    両手を拳にして森を上まで見上げ、奥まで続く暗い入口を見つめた。

    こ、ここが南の森。それも稀にサラマンダーが出る魔の森!

    まぁ、魔の森とは言われてないが、森は森だよ。両手で胸を押さえ心の中で力説した。

    よしっ、行こう。

「んー、入ってみると普通の森だ。

    肩に力を入れすぎかも。

    おぉ、今日もある!

    光って教えてくれてる」

    プチプチ、プチプチプチ。

    プチプチプチ、プチプチプチプチ。

    昨日ギルド内の防具屋で、兄様の形見である鞄の破れた箇所はないかのメンテをしてもらったんだ。その鞄がアイテムボックスだからいっぱい採取しちゃった。

    何かに夢中になると時間を忘れると言うけど、周りは少し暗い森へと変わっていることに気付いた私。

「あれっ?

    うそっ、ヤバいかも!

    いつの間にか日が傾いて沈みかけてる!」

    早く戻らないとギルマスたちが心配してるかもしれない。それに、強い魔物は日が沈むと出没するって本に書いてあった。


    ドンッ!

    ドシーン! ドシーン!

    ドドンッ! ドシーンッ!!


    えっ、何の音?

    凄い地響きと木々が揺れ、振り向いたときに目にしたのは、巨大な影が大きく揺れ動いた何かだ。

    どうしよう、きっと強い魔物かモンスターだ!

    隠れる所……洞穴……は駄目。

    前方から襲来されたら、逃げ場がなくなって危険だ。

    魔物が見えない位置。

    それは……木の上!

    大木の窪みやへこみを利用して器用に登り、大木を半分くらい登ったところで、影の主が正体を現した。

    あれは……えっ、【サラマンダー】だ!!

    ギルマスに魔物図鑑を見せてもらったのもあるけど、物心がついた時から、兄様と一緒に図鑑を見ていたから分かるよ。

    でも、何でサラマンダーが?

    稀にしか出ないんじゃないの?

    話が違うよ!

    今、サラマンダーに気配を察知されれば終わり。

    どんな攻撃されるのか分からないし、大木に体当たりされたり、炎攻撃されると命がない。


    ここに爆弾……サラマンダーは火属性のモンスターのはず。

    それだったら、水? 氷?

(大きくて先端が鋭い氷柱がサラマンダーの体に突き刺されば倒せるのに!)

    そんな呑気なことを考えていると、サラマンダーの頭上に先端が鋭く尖った氷柱が数本浮かんでいる。

    その先が鋭く尖った氷柱は動かない?

    もしかして、私が命令するまで動かないってことなのかな?

    一か八かやってみよう。考えるのは、その後よ!

(氷柱よ、サラマンダーに突き刺され!)


    ザシュッッ!

    ザシュッッ!!

    ザシュッ、ザシュッッ!!

    命令した瞬間に、氷柱がサラマンダー目掛けて突き刺さり、呆気なくサラマンダーは倒れた?

「うそっ……」

    私、サラマンダーを一撃で倒してしまった。

    ただ脳内で考えた通りに、氷柱が出現し。私が命令すれば、サラマンダー目掛けて突き刺さった。

    えっと、攻撃したい時はさっきのようにすれば倒せるんだ。攻撃する時はそうすればいいのね。

    私は、木から降りて。サラマンダーに近付くと、数人の足音が聞こえて来た。

    王都から来た騎士だったらどうしよう。と、私は身構えた。
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