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14 マロンは私の家族
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ふと目が覚め周りを見ると真っ暗で静かだったから夜中なのだろう。
音も無いシーンとする部屋で両手を見ていた。
(ラットやウルフ……初めて刃物で刺してしまった。あの時切りつけた感触が手に残ってる……怖い…誰か、下にライラがいるはず!)
バッと掛布団をはがし、力が入らない足で床に立つと転びそうになり(ギルマス、ライラのところまで行きたい、足動いて!!)と、震える自分の足と心に言い聞かせて、ゆっくりと廊下と階段をヨロヨロと歩き下までフラフラな足取りだったが降りることが出来た。
「……ライラァーー…うぅぅ、ギルマスゥゥーー…ヒック、ヒック」
後ろを振り向き私に気付いてくれたライラが走り寄り「レイン!」名前を呼んで抱きしめてくれた。
(暖かい)
ライラに抱っこされた私は涙を流し「怖くて、眠れないの」と一言。
「もう大丈夫よ。
じゃあ……あれ…なら眠れるかもしれないわ」
奥の部屋の戸棚から毛布を取り出し、フワリと包み、横抱きにされた格好は恥ずかしいけど、なぜか安心する。人の温もりがあるからかな、一番安心するのはギルマスだけど、今はいない。
受付の椅子に座り、トントンっとされていると眠気が……。
「ライ…ラ……、ありが…とう…。
ギ…ルマ…ス…………」
誰かが何か言ってる?
重いまぶたをゆっくり開くと、目の前にドルバルがいる。
目元が緩み、涙をいっぱい溜めてドルバルに抱きついた。
「ドルバル!」
必死になって首元に抱きつき、ライラが来たがドルバルから離れることはなかった。
少しすると気持ちが落ち着き、普通に話せるまで回復していた。
「ドルバル……あのね、聞いてほしい。
えっとね、これくらいの短剣でね……初めて生き物を殺しちゃったの…それが怖くて、切りつけたり刺した感触やぬるっとした血の温もりが凄く怖かった」
話してる途中から、可愛い瞳からポタリ、ポタリと涙が服に落ち吸い込まれ、涙の跡を残していた。
暖かい手で涙を拭ってくれ。
「怖い思いをした夜に1人にさせて悪かった。
だが、これからは俺達がいるから大丈夫だ?」
「うん、ドルバルありがとう!
あ、私レンにお礼を言ってない」
「レンに会いに行くか?」
「行きたいけど、もう寝てるかもしれない」
「確かめてみるか?」
「うん」
というわけで、奥の部屋へ行くことになったが、ライラは「くすくす」と笑い手を振ってくれたので、私も「ありがとう」と一言と手を振って奥の部屋へ行く前に私の部屋へ指をさした。
「ん? 部屋に何かあるのか?」
「うん、私の大切な家族がいるの」
「な、何! 家族だと?
男じゃないだろうな?」
(男って、私は幼女だよ? 恋愛はしたいけど、まだ早いでしょ……)
ドルバルと部屋に入ると、机の上でコチラを向いたつぶらな瞳の子は可愛い声で鳴いた。
『キュキュウゥ、ピヨンッ……』
クリクリっとした可愛い目とフワフワで柔らかそうな羽根で私の肩まで飛んで来たマロンは、頬にスリスリしドルバルを見ていた。が、私の肩からドルバルの肩へと移動し『ピュルル』と鳴いたあとドルバルの頬にもスリスリしていた。
頬をスリスリされたドルバルの顔が気になり盗み見すると……笑顔だったぁぁぁ!!
「へへへ……可愛いヤツだなぁ」
強面顔からニヤニヤした顔になるとは、マロンやるなぁ。
「ドルバル、ニヤニヤした顔になってる。
マロンも連れて行ってもいい?」
あれ? ニヤ顔から元の顔に戻ちゃった。残念!
「ニヤニヤした顔……。
マロンはレインの従魔か、可愛いな。
ああ、連れて行っていいぞ」
「うぅん、兄様の従魔だよ?
マロンは家族なの」
「兄様?
そ、そうか……」
ん?
私何かおかしなこと言ったかな?
(ヤバい、兄様って言ってしまった!)
普通はお兄ちゃん呼びなのに、やってしまったぁ。
「ド、ドルバル…あのね……」
大きくてぎこちない手で頭を撫でてくれるドルバルは。
「大丈夫だ、ギルマスの部屋で話してくれるか?」
「うん、聞いても……嫌いになったり、距離を置いたりしないでね?」
「そんなことしねぇよ。大丈夫だ!」
ドルバルの「大丈夫だ!」と言う力強い言葉に大きく頷いた。
ギルマスの部屋の前に来た私は、小さな手で戸をノックしたのだが、音が小さかったようで、それをドルバルが遊んでやっていると勘違いをされ、戸を乱暴に開けた瞬間、私は驚いて「ぴゃぁぁ!」と声が漏れてしまった。
(は、恥ずかしい。変な声が出ちゃった)
「てめぇ、ドルバル何を遊んでやがんだ!!
幼子のような声を出しやがって!
うをっ! ……レイン!!」
レイブンの「レイン」と言う名の言葉に振り向くみんな。一応手を振るとマロンがギルマスの部屋をパタパタグルグルと飛び回った。
「な、なんだ!
鳥か?」
「いや、この鳥は……まさかな…そんなわけないか……」
私はドルバルに抱っこをされたまま、みんなの顔を見回し口を開いた。
「みんな、心配をかけてごめんなさい。
この子は私の大切な家族のマロンです。
レン、私のことを守ってくれてありがとう!」
優しく微笑んだレンに感謝の言葉が言えた。そして、一番に言いたかった言葉をギルマスに言った。
「た、ただいま……。
ギルマス! ただいまぁ!!」
と、感動的なシーンなのに……なんでこうなった?
「なんでドルバルがレインを抱っこしてんだ!」
「あ、俺はレインと手を繋いだし抱っこもしたなぁ。
小さくて可愛い手で必死に握ってくるレインは可愛かった!!」
ギルマスはドルバルに文句タラタラだけど、レンは自慢っぽい言い方だ。
その言葉にレイブンがコチラを振り向き、片目をキラキラではなくギラギラさせて、あることを口走り、レイブンの体からハートがたくさん出ている。
「レイン、飴ちゃんやるから俺の腕の中においでぇ!」
「へっ?
腕の中って……うぅーん、言い方がなんか…(ハートが出てるし、なんだかオヤジっぽいんですけどぉ)」
あぁーー、ほら。
みんなの目がスンってしてる!
これは、レイブンが私を抱っこしてみたいってことだよね。
仕方ないなぁ……「んっ!」と言って両手を前に出した。
音も無いシーンとする部屋で両手を見ていた。
(ラットやウルフ……初めて刃物で刺してしまった。あの時切りつけた感触が手に残ってる……怖い…誰か、下にライラがいるはず!)
バッと掛布団をはがし、力が入らない足で床に立つと転びそうになり(ギルマス、ライラのところまで行きたい、足動いて!!)と、震える自分の足と心に言い聞かせて、ゆっくりと廊下と階段をヨロヨロと歩き下までフラフラな足取りだったが降りることが出来た。
「……ライラァーー…うぅぅ、ギルマスゥゥーー…ヒック、ヒック」
後ろを振り向き私に気付いてくれたライラが走り寄り「レイン!」名前を呼んで抱きしめてくれた。
(暖かい)
ライラに抱っこされた私は涙を流し「怖くて、眠れないの」と一言。
「もう大丈夫よ。
じゃあ……あれ…なら眠れるかもしれないわ」
奥の部屋の戸棚から毛布を取り出し、フワリと包み、横抱きにされた格好は恥ずかしいけど、なぜか安心する。人の温もりがあるからかな、一番安心するのはギルマスだけど、今はいない。
受付の椅子に座り、トントンっとされていると眠気が……。
「ライ…ラ……、ありが…とう…。
ギ…ルマ…ス…………」
誰かが何か言ってる?
重いまぶたをゆっくり開くと、目の前にドルバルがいる。
目元が緩み、涙をいっぱい溜めてドルバルに抱きついた。
「ドルバル!」
必死になって首元に抱きつき、ライラが来たがドルバルから離れることはなかった。
少しすると気持ちが落ち着き、普通に話せるまで回復していた。
「ドルバル……あのね、聞いてほしい。
えっとね、これくらいの短剣でね……初めて生き物を殺しちゃったの…それが怖くて、切りつけたり刺した感触やぬるっとした血の温もりが凄く怖かった」
話してる途中から、可愛い瞳からポタリ、ポタリと涙が服に落ち吸い込まれ、涙の跡を残していた。
暖かい手で涙を拭ってくれ。
「怖い思いをした夜に1人にさせて悪かった。
だが、これからは俺達がいるから大丈夫だ?」
「うん、ドルバルありがとう!
あ、私レンにお礼を言ってない」
「レンに会いに行くか?」
「行きたいけど、もう寝てるかもしれない」
「確かめてみるか?」
「うん」
というわけで、奥の部屋へ行くことになったが、ライラは「くすくす」と笑い手を振ってくれたので、私も「ありがとう」と一言と手を振って奥の部屋へ行く前に私の部屋へ指をさした。
「ん? 部屋に何かあるのか?」
「うん、私の大切な家族がいるの」
「な、何! 家族だと?
男じゃないだろうな?」
(男って、私は幼女だよ? 恋愛はしたいけど、まだ早いでしょ……)
ドルバルと部屋に入ると、机の上でコチラを向いたつぶらな瞳の子は可愛い声で鳴いた。
『キュキュウゥ、ピヨンッ……』
クリクリっとした可愛い目とフワフワで柔らかそうな羽根で私の肩まで飛んで来たマロンは、頬にスリスリしドルバルを見ていた。が、私の肩からドルバルの肩へと移動し『ピュルル』と鳴いたあとドルバルの頬にもスリスリしていた。
頬をスリスリされたドルバルの顔が気になり盗み見すると……笑顔だったぁぁぁ!!
「へへへ……可愛いヤツだなぁ」
強面顔からニヤニヤした顔になるとは、マロンやるなぁ。
「ドルバル、ニヤニヤした顔になってる。
マロンも連れて行ってもいい?」
あれ? ニヤ顔から元の顔に戻ちゃった。残念!
「ニヤニヤした顔……。
マロンはレインの従魔か、可愛いな。
ああ、連れて行っていいぞ」
「うぅん、兄様の従魔だよ?
マロンは家族なの」
「兄様?
そ、そうか……」
ん?
私何かおかしなこと言ったかな?
(ヤバい、兄様って言ってしまった!)
普通はお兄ちゃん呼びなのに、やってしまったぁ。
「ド、ドルバル…あのね……」
大きくてぎこちない手で頭を撫でてくれるドルバルは。
「大丈夫だ、ギルマスの部屋で話してくれるか?」
「うん、聞いても……嫌いになったり、距離を置いたりしないでね?」
「そんなことしねぇよ。大丈夫だ!」
ドルバルの「大丈夫だ!」と言う力強い言葉に大きく頷いた。
ギルマスの部屋の前に来た私は、小さな手で戸をノックしたのだが、音が小さかったようで、それをドルバルが遊んでやっていると勘違いをされ、戸を乱暴に開けた瞬間、私は驚いて「ぴゃぁぁ!」と声が漏れてしまった。
(は、恥ずかしい。変な声が出ちゃった)
「てめぇ、ドルバル何を遊んでやがんだ!!
幼子のような声を出しやがって!
うをっ! ……レイン!!」
レイブンの「レイン」と言う名の言葉に振り向くみんな。一応手を振るとマロンがギルマスの部屋をパタパタグルグルと飛び回った。
「な、なんだ!
鳥か?」
「いや、この鳥は……まさかな…そんなわけないか……」
私はドルバルに抱っこをされたまま、みんなの顔を見回し口を開いた。
「みんな、心配をかけてごめんなさい。
この子は私の大切な家族のマロンです。
レン、私のことを守ってくれてありがとう!」
優しく微笑んだレンに感謝の言葉が言えた。そして、一番に言いたかった言葉をギルマスに言った。
「た、ただいま……。
ギルマス! ただいまぁ!!」
と、感動的なシーンなのに……なんでこうなった?
「なんでドルバルがレインを抱っこしてんだ!」
「あ、俺はレインと手を繋いだし抱っこもしたなぁ。
小さくて可愛い手で必死に握ってくるレインは可愛かった!!」
ギルマスはドルバルに文句タラタラだけど、レンは自慢っぽい言い方だ。
その言葉にレイブンがコチラを振り向き、片目をキラキラではなくギラギラさせて、あることを口走り、レイブンの体からハートがたくさん出ている。
「レイン、飴ちゃんやるから俺の腕の中においでぇ!」
「へっ?
腕の中って……うぅーん、言い方がなんか…(ハートが出てるし、なんだかオヤジっぽいんですけどぉ)」
あぁーー、ほら。
みんなの目がスンってしてる!
これは、レイブンが私を抱っこしてみたいってことだよね。
仕方ないなぁ……「んっ!」と言って両手を前に出した。
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