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それからの旅の間は、口数が少なくなったと思う。
空を見上げては、どこまでも続いている雨雲をただひたすら眺めていた。
ノアが時折声をかけてくるが、まともに返事を返した記憶があまりないのは、いつも、ふと、考えてしまうからだ。
―――――――神の願いとはなんだろうか
魂だけこちらの世界に呼ばれたときに、神様と話をしたような記憶はない。
この世界を救ってくれとも、禍を祓ってくれとも、言われた覚えなんてない。
そんな覚えないけど、ノアは祓ってくれという。
でも、祓ってくれという割には、今まで、一度もこの場の禍を祓ってほしいといわれたことはなかった。
【モモ】
少し離れたところで火の番をしていたノアが私の背中に声をかけてくる。
毎日生返事ばかり返していると、いつの間にかノアは私の名前を呼ぶようになってた。
最初はその変化にも気づかなかったが、最近、やっと、名前を呼ばれていることに気づいた。
【モモ】
再度、ノアが背中に向けて呼びかけてきた。
今日はちょうどいい町がなかったので野宿だ。
ノアは町に立ち寄れるときはできるだけ立ち寄るようにしてくれている。
服を見たり、食材を見たり。
屋台でいろいろな食べ物を買ってはすぐにアイテムボックスに放り込んでた。
そんなに買ってもノアは食べないのに。
そう思いながら見ているが、それに対して何かを言うこともなく、私は町の人たちの顔をついつい目で追ってしまう。
楽しそうに日々を過ごしているように見えるのに、でも、ふとした時に空を見上げて、小さく息を吐く横顔。
小さな子供たちが路地裏や空き地で遊んでいる姿も何度も見た。
遊んでいる子供たちも、空を見上げては小さく息を吐き出してた。
【モモッ!】
強い口調で呼ばれるのと同時に、ノアは私の腕をつかんだ。
【どこへ行く気だ】
どこか焦ったような、そんな声音で続いたノアの科白。
「―――――――」
頭一つ分ほど違うノアの顔を見上げ、その瞳を見る。
どうして、ノアの金色の目は、そんなに揺れているのだろうか・・・・・・。
【モモ】
揺れる瞳が私の姿をとらえている。
【モモ】
もう、何度目になるのかもわからないノアの呼ぶ声。
聞こえているのに、返事をしようとする声が喉の奥から出てこない・・・・・・。
疑ってはいけない人を 疑ってしまった
ストンと落ちる思考。
ノアを疑うということは、ノアが今まで私に話してくれた言葉すべてを疑うということ。
それはすなわち、私が私であるということを疑う、ということ・・・・・・。
私はどうして桃子の記憶を持っているのだろうか。
19歳と私は言った。
だが、本当に19歳なのだろうか、それは、桃子の記憶の中の年齢であって、実際にこの“エルフ”は何歳なのだろうか・・・・・・。
私は本当に向こうの世界で死んだのだろうか。
ノアのいうことを信じれば、死んだ、ということになるが、もし、ノアの言うことが嘘で、桃子としての記憶だけがこちらへと飛んできていたら?もしくは、何らかの原因で桃子の身体が眠っていて、魂だけがエルフの身体に定着をしていたら・・・・・・。
疑い始めたらきりがないということはわかっている。
わかっているけど、疑ってしまったんだ。
この世界で、唯一、自分を“守ってくれる存在”を・・・・・・。
空を見上げては、どこまでも続いている雨雲をただひたすら眺めていた。
ノアが時折声をかけてくるが、まともに返事を返した記憶があまりないのは、いつも、ふと、考えてしまうからだ。
―――――――神の願いとはなんだろうか
魂だけこちらの世界に呼ばれたときに、神様と話をしたような記憶はない。
この世界を救ってくれとも、禍を祓ってくれとも、言われた覚えなんてない。
そんな覚えないけど、ノアは祓ってくれという。
でも、祓ってくれという割には、今まで、一度もこの場の禍を祓ってほしいといわれたことはなかった。
【モモ】
少し離れたところで火の番をしていたノアが私の背中に声をかけてくる。
毎日生返事ばかり返していると、いつの間にかノアは私の名前を呼ぶようになってた。
最初はその変化にも気づかなかったが、最近、やっと、名前を呼ばれていることに気づいた。
【モモ】
再度、ノアが背中に向けて呼びかけてきた。
今日はちょうどいい町がなかったので野宿だ。
ノアは町に立ち寄れるときはできるだけ立ち寄るようにしてくれている。
服を見たり、食材を見たり。
屋台でいろいろな食べ物を買ってはすぐにアイテムボックスに放り込んでた。
そんなに買ってもノアは食べないのに。
そう思いながら見ているが、それに対して何かを言うこともなく、私は町の人たちの顔をついつい目で追ってしまう。
楽しそうに日々を過ごしているように見えるのに、でも、ふとした時に空を見上げて、小さく息を吐く横顔。
小さな子供たちが路地裏や空き地で遊んでいる姿も何度も見た。
遊んでいる子供たちも、空を見上げては小さく息を吐き出してた。
【モモッ!】
強い口調で呼ばれるのと同時に、ノアは私の腕をつかんだ。
【どこへ行く気だ】
どこか焦ったような、そんな声音で続いたノアの科白。
「―――――――」
頭一つ分ほど違うノアの顔を見上げ、その瞳を見る。
どうして、ノアの金色の目は、そんなに揺れているのだろうか・・・・・・。
【モモ】
揺れる瞳が私の姿をとらえている。
【モモ】
もう、何度目になるのかもわからないノアの呼ぶ声。
聞こえているのに、返事をしようとする声が喉の奥から出てこない・・・・・・。
疑ってはいけない人を 疑ってしまった
ストンと落ちる思考。
ノアを疑うということは、ノアが今まで私に話してくれた言葉すべてを疑うということ。
それはすなわち、私が私であるということを疑う、ということ・・・・・・。
私はどうして桃子の記憶を持っているのだろうか。
19歳と私は言った。
だが、本当に19歳なのだろうか、それは、桃子の記憶の中の年齢であって、実際にこの“エルフ”は何歳なのだろうか・・・・・・。
私は本当に向こうの世界で死んだのだろうか。
ノアのいうことを信じれば、死んだ、ということになるが、もし、ノアの言うことが嘘で、桃子としての記憶だけがこちらへと飛んできていたら?もしくは、何らかの原因で桃子の身体が眠っていて、魂だけがエルフの身体に定着をしていたら・・・・・・。
疑い始めたらきりがないということはわかっている。
わかっているけど、疑ってしまったんだ。
この世界で、唯一、自分を“守ってくれる存在”を・・・・・・。
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