異世界聖女召喚(仮)

如月 桜

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21.もふもふまつり!

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 セイに連れられてやってきたのは、山の奥のそのまた奥にあるような場所だった。
 ぽっかりとあるそこには、獣の皮で作ったような簡易の小屋を建てていた。
 エルフの時よりも、建物はしっかりしてるなぁと、思いながら眺めていると、誰かがこちらへとかけてきた。
 また見張りの人だろうか、そう思っていると、その人影はこちらへと突っ込んでくる。そう、まっすぐ、こちらへと・・・・・・。
【あらん、見つかっちゃったわねぇ。モモ、ちょっと危ないからここにいてねぇ】
 というと、セイは、私を近くの木の枝の上へとおろした。
「えーっと・・・・・・セイ?」
【ちょっと待ってなさい。話はスムーズに終わるわよ】
「あ、はい・・・・・・」
 という、数秒にも満たない会話をし終わったときに、どーんと大きな音があたりに響いた。
 いうまでもなく、先ほどの人影?がセイへと体当たりをしたのだ。
「セレイスティーネ様!!!!」
 体当たりしてきた人が叫んだ。
【ほんとにもう、しょうのない子ねぇ】
 と言いつつ、セイはあのふかふかの毛皮で体当たりしてきた人を受け止めてた。
 うん、ていうか、片手で今、受け止めたよね、片手で・・・・・・。
 んでさぁ、よく見ると、セイに体当たりしてきたのって、くま・・・・・・?くま、なのかなぁ・・・・・・たぶん、くまだと思うんだ。まるっこい耳に、丸っこい尻尾っぽいものが上着の裾からちらちらみえるから・・・・・・。
 たぶん、くまだよね・・・・・・?突進してきたから、イノシシかと思ったよ。
【イーヴァ。お父さんは?】
「父ちゃんなら、セレイスティーネ様のお姿がみえたから、宴の準備をしなければぁっていって、村の人たちに声をかけてるところだよ」
【ほんとにもう、セルーシュも変わらないわねぇ。イーヴァ、今日はね、大切な用事があってきたのよ。セルーシュと、あと、そうね・・・・・・ライネルも呼んできてくれないかしら?あたしの大切な人を紹介したいの】
「大切な人?」
【そうよ、大切な人。だから、すぐにセルーシュとライネルを呼んできて】
「村には入らないの?」
【入ってもいいのだけど、あの子がおびえちゃうのよ】
 ふふっと笑うと、セイはちらりと私のほうを見上げた。
 セイの視線につられてくまっこが顔を上げ、こちらを見上げた。
 おもいっきり目が合った・・・・・・。
「―――――――――――エルフだぁっ!!!!!!!!!」
「ひゃいんっ」
 あまりの大きな声に思わず変な声が上がってしまった。
「ねぇ、セレイスティーネ様っ!!!エルフだよね!!!エルフの女の子だよねっ!!!うわぁ、本当に耳がとんがってるぅ。ねぇ、尻尾はないの?羽は??」
【イーヴァ。そんなに大きな声を出したら彼女が驚くわ。ね、わかったでしょ?すっごく臆病なの。だからね、ここまでセルーシュとライネルを連れてきて】
「うんっ!!わかったよっ!!!!すぐだよ、すぐに戻ってくるからね!!!絶対に動いちゃだめだからねっ!!!!」
 何度も何度もセイへと念を押し、一目散に村へと帰っていった。
 それから、少しも時間をおかずに、くまっこに連れられて大きな熊みたいな体格の男の人(もちろん耳もくま)とウサギっぽい耳のおじいちゃんがやってきた。
【セルーシュ、ライネル、久しぶりねぇ】
 と、セイはくまさん姿で片手をちょこっと上げて挨拶をした。
「お久しぶりです、セレイスティーネ様」
「わしがくたばる前にお会いできてよかったですよ」
 最初に口を開いたのがくまっこのお父さん。あとに言ったのはウサギのおじいちゃん。
【あら、まだまだ若いって言ってたのはどこのどなただったかしらん】
 なんて笑いながら言うセイ。
 それから、セイは二人の獣人から相変わらず木の枝の上に座らされている私のほうを見た。
【今日はね、あなたたちにお願いがあってきたのよ】
 そういいながら、セイは木の枝の上に座らされていた私をひょいっと前足で抱き上げ、地面へとおろした。
【紹介するわね。彼女は神の使わした巫女よ。そういえば、あなたたちならわかるでしょう?】
 含みを込めた笑みをたたえいうセイに、くまっこのお父さんとウサギのおじいちゃんは顔を見合わせ、そして、二人してエルフの人たちと同じように膝をついて頭を下げてきた。
【きちんと伝わっているようで安心したわぁ。それでねぇ、ものは相談なんだけど、あなたたち、この子が治める予定の土地に住まない?】
 ちょっとそこまで買い物に行ってくるわね、というノリでいうセイに、くまっこのお父さん、セルーシュの耳がぴくりと動いた。
 あの耳、触ったらもふもふしてて気持ちよさそうだなぁ・・・・・・。
「治める予定の土地、ということは、今は別の者の土地ということでよいのでしょうか」
 そう聞いてきたのはウサギのおじいちゃんだ。
【いいえ、誰のものでもない土地よ。精霊界を渡った先に、あの険しいケシュガン山を越えた先の土地があるのよ。そこなら、この子でも住みやすいからね。わかるでしょう?あなたたちなら。この子が受けるであろう扱いも、そして、目下魔族と人族が必死になって探しているということも】
 微笑みながら、それでも、やっぱり、どこか含みのある笑みを浮かべながら言うセイ。
【本来ならば、私とノワールが二人でこの子の面倒を見るのが筋なんだけどね、この子も知らない土地で、しかも、異世界に飛ばされてきて、頼ることのできる相手が私とノワールだけだと寂しいでしょう?だからね、この子と一緒にケシュガン山の向こうに行かない?】
 悪い話ではないでしょ?
 と、ニコニコと口元に笑みを浮かべているセイ。
【あぁ、そうそう、言い忘れるところだったわぁ。ここに来る前にね、ノワールと一緒にこの子、エルフのところにもいってきてね、そこでも同じ話をしてきているのよ。もちろん、彼らは一も二もなく、ついてくるといっていたわ。すぐに荷物をまとめるって言ってたから、その間にこっちに話を通しに来たの。すぐに返事を出せとは言わないわ。あなたたちはエルフよりも数が多いものね。必要なだけ時間は上げるから、期限を決めて頂戴】
 とどめの一言を言うと、ウサギのおじいちゃんの耳がひくりと動いた。
「――――――セイ、なんか、怖いよ・・・・・・」
 ふかふかのセイの毛皮に手を当て、言えば、セイは【そう?】ととぼけた声で返事をしてきた。
 すっとぼけているセイに、盛大なため息をつくと、私はくまっこのお父さんとウサギのおじいちゃんのほうを見た。
「あの、無理にって話じゃないんですよ?エルフの皆さんは確かに乗り気でしたけど――――――獣人族の方々の事情とかもありますし・・・・・・」
【あら、でも、少しでも人数が多いほうが嬉しいでしょう?】
 と、なぜか追い打ちをかけてくるセイ。
「――――セイ、だめだって、追いこんじゃぁ・・・・・・。そりゃぁ、確かに人が増えたらにぎやかかなぁって思うけど、無理矢理連れてこられたら、後々問題になるんだよ?」
【そうよねぇ、モモは無理矢理こっちの世界に連れてこられて、しかも、しばらく面倒を見てたのはノワールだものねぇ。しかも、ノワールったら、しっかりちゃっかりお手付きしてるし。ほんっとに、あいつ、何を考えているのかしらっ!!】
「えーっと、セイ、話がずれてるよ――――――あの、本当に、私は、気にしないので、皆さんにとって一番いい選択をなさってくださいね。この次に訪れるときまでに返事を下さればいいので」
【世界に散らばってる仲間も呼び戻して話をするなら、一週間ぐらいかしら?必要な時間は】
 今すぐ返事をしてくれてもかまわないのよぉ。
 と、やっぱり、追い詰めるようなことを言うセイに、名前を呼び、諫めると、セイはモモは優しすぎよ、と笑った。
「それでは、また、一週間後に参りますので、その時までに返事を決めておいてください」
 それだけ言えば、セイは私を背中へと乗せた。
【色よい返事を待ってるわよ】
 捨て台詞のように言い放ち、セイはあっという間に彼らの前から姿を消した。
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