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第3章、俺達が出来る事。
第12話、闇の支配者。
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深淵の闇に来てから1週間、深淵の闇でも外周部になる場所での戦闘も幾度となくこなし着実に実力を上げていった。
深淵の闇でも、外の大森林と同じで外周部、中層部、深層部と明確では無いけど分かれている。
外周部と中層部のモンスターでは実力が子供と大人程の違いがあるし、深層部だと今の俺だと想像もつかない位に強いだろう。
それにAクラスからは、同じクラスでも上位と下位とでは強さに差があるし、相性もある。
今は少しずつ中層に移動しながらモンスターと戦っているんだけど、Aクラスの上位とSクラスの下位との戦闘も何度か戦闘をしている。
実際、Sクラスになると余裕なんて殆んど無いギリギリの戦闘になる。
目の前のでかいヤツもそうだ。
___________________
【ガイアドラゴン】レア度S500才
HP10000/9100
MP300/210
竜の中では低ランクの陸竜だが、十分に脅威であり、その外装は土魔法で土を体に纏い、硬質化させている為、かなりの守備力に優れている。
___________________
『ギャオォォォォオ!!』
俺達は今、Sランクのモンスター、ガイアドラゴンと戦闘をしている。
10㍍を超える巨体、何より厄介なのが、その巨体と守備力だ。
普通の攻撃だと簡単に弾かれると言うか、外装の岩を削るくらいしか出来ない。
それにただ身体を動かすだけで、俺達には無視できないダメージを受ける攻撃になる。
「クソ!全然HPが減らねぇ!!」
「本当に厄介でゴザル!!」
「やーん!私の魔法も効きにくいです!」
『グアグアー!』(マスター僕の攻撃が通りません!)
『ピッピー!』(まずはごはんたべておちつこう!キリッ)
「良し!このアホウドリをあの竜に喰わして逃げるか?」
『ピピ!?』(えぇえ!?)
いつものやり取りをしつつ攻撃を続ける。
苦戦はするものの、何度かSクラスのモンスターとは戦っているから話す位の余裕はある。
「それでも少しずつでもダメージは通っているし、絶対に倒すぞ!」
「ハイ!」
「剣聖の技、その身に刻むゴザル」
『グオーー!』(僕のパワーで砕く!)
『ピピー!』(ぼくは美味しくないよー!)
それから1時間後、ようやくガイアドラゴンを倒した俺達はガイアドラゴンの魔石とガイアドラゴンの牙、そして鱗を手に入れた後、休憩の為に亜空間へと入った。
ガイアドラゴンのMPが低くて良かった。
MPが無くなった途端に岩の鎧が減っていってダメージが通る様になったからな。
それが無かったらと思うとウンザリしてくる。
もちろん外装の岩は鱗じゃない。
魔力を使って、身体に岩を纏っていただけだったし、死んだ後は岩は身体から完全に剥がれ落ちて中から、薄茶色な鱗が出てきてます。
「さすがSクラスのドラゴンだな。攻撃の速度は遅いから躱せたけど、防御力がハンパなかったな。マジで疲れたぜ」
思わず溜め息が漏れた。
「しかし、固かったでゴザルな。
拙者の剣が、まったく役に立たなかったでゴザルよ……」
レイピアを見つめ、肩を落とすコウ。
「コウさん、剣だけじゃ無いですよ!魔法だって全然ダメージが通りませんでした!だから落ち込まないでください!」
一生懸命にコウを励ますリリム、必死に励ます姿を見るとホッコリする。
レツガは肉を腹一杯食べた後、自分の小屋に行って休んでる。
そして、例のアホウドリは……………飯を食べた後はいつも通りだな。
『ピーピロロロロ~ピーピロロロロ~』
相変わらず、鳥らしくない仰向けで寝て、奇妙なイビキをかき寝ながら器用に羽で腹をボリボリかいていた。
オッサンだ。オッサンがいる…………。
ガイアドラゴンとの長い時間、激戦をして皆の疲労もかなり溜まっていたので少し早いが、この日は全員寝たのだった。
次の日、早目に休んで疲労もすっかり取れた俺達は再び得物を捜して深淵の闇の中を歩き回っていた。
何度かAランクのモンスターを倒しながら進んで居ると、マップの端にゆっくりと移動する1つの赤いマーカーを見つけた。
「皆、この先にゆっくり移動する反応がある、風向きに注意して近付こう」
俺の言葉を聞き皆が頷く。
弱いモンスターでも臭いの探知能力は高い、なおさらこの深層の闇のモンスターは臭いだけでは無く、音、魔力、気配などの探知能力が非常に高い。
マップのお陰で先制攻撃が出来ているだけで、マップが無かったらと思うと辟易する。
それから15分ほどして反応まで200㍍の場所まで来ていた。
「もう直ぐだ、皆気を付けろ………」
モンスターに気付かれないように声を潜め慎重に忍び寄る。
だが残り100㍍を切った時、凄まじいプレッシャーを感じた。
今までに感じた事の無い圧力、後ろに控える仲間達を見ると皆も感じているようで顔の色が真っ青になっている。
「な、なんでゴザルか?この気配は?」
「わ、私、身体が、ふ、震えてきます」
コウとリリムは、プレッシャーを感じ顔色を変え身体を震わせている。
ハクヨウとレツガは、戦闘体勢をとっているけど、やっぱり震えている。
いや、怯えているのか?
人間よりも本能での行動が多い動物やモンスターは、その辺り分かりやすい。
俺はメンバーをその場に残し偵察する事にした。
絶対に気付かれない様に慎重に、確実に、そしてゆっくりと近付く。
そして、残り50㍍を切った時「ソレ」が、そこに居た。
圧倒的な存在が…………
そこには、体の太さが数千年の大木よりも遥かに太く深く吸い込まれそうな闇の如く漆黒、ただ鼓動に合わせて時おり虹色に見える。その体の長さは果てが見えない、おそらく数百メートル以上はあるだろう、そしてその口は昨日、俺達が倒したガイアドラゴンよりもふた回りくらいの大きさがあるガイアドラゴンを丸飲みしていた。
ソレは、まるで悪夢を見ているかの様な圧倒的な存在感を放つ「大蛇」だった。
俺は恐る恐る鑑定をしてみる。
「鑑定」
___________________
【ディザスターカイザースネーク】レア度SS+
HP鑑定不能
MP鑑定不能
【スキル】【魔法】
鑑定不能
その圧倒的な大きさと獰猛な性格で、他のSSランクのモンスターさえ逃げ出す程の「災害級」のモンスター、互角に戦えるのは、勇者や魔王、そして竜王などレジェンド級の戦闘力を持つ者だけだ。
幾千もの時を越え生き続ける、この大地の覇者でもある。
普段は深層の闇の深層にいて眠りについていて、数十から数百年に一度、目を覚まし深層の闇のモンスターを襲い腹を満たす。
その時だけは、深層の闇のモンスターの数は激減する。
___________________
鑑定をし【災害】の名が付く巨大な蛇を後にして、俺は本能的にその場から逃げ出していた。
震える身体を無理やり動かして皆が待つ場所まで音をたてない様に戻る。
「皆、今すぐここを離れよう!詳しい話しは後でする!とにかく離れるぞ!」
全員に【アクセルウインド】をかけ全速力で離れる。
マップを確認しながら必死に走る俺を見て、皆も今までに感じた事の無い不安を胸に誰も言葉を発せずただ走り続けた。
一時間くらい走り続け限界まで体力を消耗した俺達は、足を止め亜空間へと入り休む事にした。
あんなバケモノのそばで亜空間を開いても、出た瞬間に会えばそこで終わりなのは明確だしな。
少しでも安心できる距離が欲しかった。
ログハウスに戻ってきてからも誰も話さない沈黙の時間が流れた。
シルファルであった魔族を超える恐怖に俺達は何も話す事が出来ない程の戦慄を覚え、その日の夜は殆んど会話をする事なく、それぞれの部屋に戻った。
俺は、ここに来て、確実に実力をつけ、自分の強さに自信を持って来ていた俺達だったけど、それを粉々に砕かれた気がしていた。
深淵の闇でも、外の大森林と同じで外周部、中層部、深層部と明確では無いけど分かれている。
外周部と中層部のモンスターでは実力が子供と大人程の違いがあるし、深層部だと今の俺だと想像もつかない位に強いだろう。
それにAクラスからは、同じクラスでも上位と下位とでは強さに差があるし、相性もある。
今は少しずつ中層に移動しながらモンスターと戦っているんだけど、Aクラスの上位とSクラスの下位との戦闘も何度か戦闘をしている。
実際、Sクラスになると余裕なんて殆んど無いギリギリの戦闘になる。
目の前のでかいヤツもそうだ。
___________________
【ガイアドラゴン】レア度S500才
HP10000/9100
MP300/210
竜の中では低ランクの陸竜だが、十分に脅威であり、その外装は土魔法で土を体に纏い、硬質化させている為、かなりの守備力に優れている。
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『ギャオォォォォオ!!』
俺達は今、Sランクのモンスター、ガイアドラゴンと戦闘をしている。
10㍍を超える巨体、何より厄介なのが、その巨体と守備力だ。
普通の攻撃だと簡単に弾かれると言うか、外装の岩を削るくらいしか出来ない。
それにただ身体を動かすだけで、俺達には無視できないダメージを受ける攻撃になる。
「クソ!全然HPが減らねぇ!!」
「本当に厄介でゴザル!!」
「やーん!私の魔法も効きにくいです!」
『グアグアー!』(マスター僕の攻撃が通りません!)
『ピッピー!』(まずはごはんたべておちつこう!キリッ)
「良し!このアホウドリをあの竜に喰わして逃げるか?」
『ピピ!?』(えぇえ!?)
いつものやり取りをしつつ攻撃を続ける。
苦戦はするものの、何度かSクラスのモンスターとは戦っているから話す位の余裕はある。
「それでも少しずつでもダメージは通っているし、絶対に倒すぞ!」
「ハイ!」
「剣聖の技、その身に刻むゴザル」
『グオーー!』(僕のパワーで砕く!)
『ピピー!』(ぼくは美味しくないよー!)
それから1時間後、ようやくガイアドラゴンを倒した俺達はガイアドラゴンの魔石とガイアドラゴンの牙、そして鱗を手に入れた後、休憩の為に亜空間へと入った。
ガイアドラゴンのMPが低くて良かった。
MPが無くなった途端に岩の鎧が減っていってダメージが通る様になったからな。
それが無かったらと思うとウンザリしてくる。
もちろん外装の岩は鱗じゃない。
魔力を使って、身体に岩を纏っていただけだったし、死んだ後は岩は身体から完全に剥がれ落ちて中から、薄茶色な鱗が出てきてます。
「さすがSクラスのドラゴンだな。攻撃の速度は遅いから躱せたけど、防御力がハンパなかったな。マジで疲れたぜ」
思わず溜め息が漏れた。
「しかし、固かったでゴザルな。
拙者の剣が、まったく役に立たなかったでゴザルよ……」
レイピアを見つめ、肩を落とすコウ。
「コウさん、剣だけじゃ無いですよ!魔法だって全然ダメージが通りませんでした!だから落ち込まないでください!」
一生懸命にコウを励ますリリム、必死に励ます姿を見るとホッコリする。
レツガは肉を腹一杯食べた後、自分の小屋に行って休んでる。
そして、例のアホウドリは……………飯を食べた後はいつも通りだな。
『ピーピロロロロ~ピーピロロロロ~』
相変わらず、鳥らしくない仰向けで寝て、奇妙なイビキをかき寝ながら器用に羽で腹をボリボリかいていた。
オッサンだ。オッサンがいる…………。
ガイアドラゴンとの長い時間、激戦をして皆の疲労もかなり溜まっていたので少し早いが、この日は全員寝たのだった。
次の日、早目に休んで疲労もすっかり取れた俺達は再び得物を捜して深淵の闇の中を歩き回っていた。
何度かAランクのモンスターを倒しながら進んで居ると、マップの端にゆっくりと移動する1つの赤いマーカーを見つけた。
「皆、この先にゆっくり移動する反応がある、風向きに注意して近付こう」
俺の言葉を聞き皆が頷く。
弱いモンスターでも臭いの探知能力は高い、なおさらこの深層の闇のモンスターは臭いだけでは無く、音、魔力、気配などの探知能力が非常に高い。
マップのお陰で先制攻撃が出来ているだけで、マップが無かったらと思うと辟易する。
それから15分ほどして反応まで200㍍の場所まで来ていた。
「もう直ぐだ、皆気を付けろ………」
モンスターに気付かれないように声を潜め慎重に忍び寄る。
だが残り100㍍を切った時、凄まじいプレッシャーを感じた。
今までに感じた事の無い圧力、後ろに控える仲間達を見ると皆も感じているようで顔の色が真っ青になっている。
「な、なんでゴザルか?この気配は?」
「わ、私、身体が、ふ、震えてきます」
コウとリリムは、プレッシャーを感じ顔色を変え身体を震わせている。
ハクヨウとレツガは、戦闘体勢をとっているけど、やっぱり震えている。
いや、怯えているのか?
人間よりも本能での行動が多い動物やモンスターは、その辺り分かりやすい。
俺はメンバーをその場に残し偵察する事にした。
絶対に気付かれない様に慎重に、確実に、そしてゆっくりと近付く。
そして、残り50㍍を切った時「ソレ」が、そこに居た。
圧倒的な存在が…………
そこには、体の太さが数千年の大木よりも遥かに太く深く吸い込まれそうな闇の如く漆黒、ただ鼓動に合わせて時おり虹色に見える。その体の長さは果てが見えない、おそらく数百メートル以上はあるだろう、そしてその口は昨日、俺達が倒したガイアドラゴンよりもふた回りくらいの大きさがあるガイアドラゴンを丸飲みしていた。
ソレは、まるで悪夢を見ているかの様な圧倒的な存在感を放つ「大蛇」だった。
俺は恐る恐る鑑定をしてみる。
「鑑定」
___________________
【ディザスターカイザースネーク】レア度SS+
HP鑑定不能
MP鑑定不能
【スキル】【魔法】
鑑定不能
その圧倒的な大きさと獰猛な性格で、他のSSランクのモンスターさえ逃げ出す程の「災害級」のモンスター、互角に戦えるのは、勇者や魔王、そして竜王などレジェンド級の戦闘力を持つ者だけだ。
幾千もの時を越え生き続ける、この大地の覇者でもある。
普段は深層の闇の深層にいて眠りについていて、数十から数百年に一度、目を覚まし深層の闇のモンスターを襲い腹を満たす。
その時だけは、深層の闇のモンスターの数は激減する。
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鑑定をし【災害】の名が付く巨大な蛇を後にして、俺は本能的にその場から逃げ出していた。
震える身体を無理やり動かして皆が待つ場所まで音をたてない様に戻る。
「皆、今すぐここを離れよう!詳しい話しは後でする!とにかく離れるぞ!」
全員に【アクセルウインド】をかけ全速力で離れる。
マップを確認しながら必死に走る俺を見て、皆も今までに感じた事の無い不安を胸に誰も言葉を発せずただ走り続けた。
一時間くらい走り続け限界まで体力を消耗した俺達は、足を止め亜空間へと入り休む事にした。
あんなバケモノのそばで亜空間を開いても、出た瞬間に会えばそこで終わりなのは明確だしな。
少しでも安心できる距離が欲しかった。
ログハウスに戻ってきてからも誰も話さない沈黙の時間が流れた。
シルファルであった魔族を超える恐怖に俺達は何も話す事が出来ない程の戦慄を覚え、その日の夜は殆んど会話をする事なく、それぞれの部屋に戻った。
俺は、ここに来て、確実に実力をつけ、自分の強さに自信を持って来ていた俺達だったけど、それを粉々に砕かれた気がしていた。
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