異世界に転生したら?(改)

まさ

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第2章、破滅に向かう世界。

第2話、城塞都市ウェストレイド。①

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 俺達は、ガーディッシュから見て西にある都市へと向かっていた。


 ギルドで聞いた話だと、ガーディッシュから馬車で3週間の場所に城塞都市『ウェストレイド』と言う所があるらしい。


 軍部に重きを置いていて、兵士の実力は勿論、兵士の数も多く、この国をモンスターと隣国の侵略から防ぐ防衛の要として存在しているみたいだな。


 ウェストレイドがある地域には、昔から何度も侵略してくる隣国と、お馴染みの大森林も隣接しているので、それらに対応している内に強固な防壁で囲まれた難攻不落の城塞都市として有名になったんだとか。


現在いままで、何度も侵略して来た他国やモンスターを壊滅、または撤退させている。

しかも負けなし、まぁ確かに守りの方が壁や高さも考慮して有利なのは間違いないけど、何百年も敵の攻撃を防ぎきったと言う事実は揺るがない。


だからこそ、そこなら魔王軍を追い返している可能性が高いとギルドマスターから情報を貰い、俺達の向かう最初の目標として決定した。


 移動は、ウエストレイドに繋がっているメインの道を使っているんだけど、普段は兵士や冒険者が間引き等して、あまり出てこないハズのモンスターがウンザリする程に現れている。

 主に低ランクのモンスターだけど、やはり数の力は面倒だ。


     素材集めのために国中を網羅してきたゴルドーも、ここまでモンスターが多いのは見たことが無いと言っていた。


 どういう方法でやっているのか分からないけど、間違いなく魔王が元凶だろうしな。

 まさか……産んでるとか?そんなわけは無いか、さすがに……それとも召喚?

 
ん~考えても分からんし、分からんものは気にしないでおくか。

 目の前にモンスターがいるなら倒すだけだ。



 昔、勇者が魔王を倒してから300年以上経つ。

 そしてそれからどれ程の年月を掛けて、今の魔王が用意をしていたのか……


 俺には想像も出来ないけども、暇だったのかな?

 趣味が世界征服とか……古いと思うぞ?


 そう一人でブツブツ言ってたら、リリムさんに「マサムネさん、大丈夫ですか?」と本気で心配されたのはキツかったです。



「ちきしょう!黙って斬られろ!」


 リリムに「大丈夫ですか?」発言され落ち込んでいた時に現れた下級悪魔『インプ』

 ほとんど八つ当たりで、瞬殺しました。

 鑑定もかけてません……


 何で種族名が分かったかと言うと「あれは!下級悪魔のインプ!」と、モンスターマニア……ゲフン。

 『世界のモンスター大全集』と言う本が大好きな読書大好き娘ことリリムさんがモンスター登場した途端に指をさして叫んだので、種族名を知ることになりました。

 ハッとして、恥ずかしさのあまり熊車に引きこもったのは見なかった事にしましょう。



 たいして強くも無いくせに『ギャーハッハ!俺様は魔王軍の……ゲハッ!?』

 何かムカついていたから口上を全部聞く前に剣で斬り速攻で倒した。


 うん、何か身体の調子が良いな。

自分の考えた通りに動いている感じがする。

オッサンの修行前に比べると、それまでがいかにスキルとかステータスの高さで無理矢理戦っていたかが分かる。




 そんな感じで戦いつつも、ガーディッシュを出て2週間、遠くにうっすらと「城塞都市ウェストレイド」の姿が見えてきた。

 さすがウチのレツガくん、馬車より1週間早く着きました。

途中からは戦うのも面倒になってきたので、レツガ君の体当たりで弾き飛ばして進んできたからってのもあるかもね。

 

 このスピードだと町まで一時間くらいかな?

見えたと言っても、まだうっすら見える距離だし。



それから三十分、だいぶはっきり町の防壁が見えてきた。

まだ距離があるのに壁の威圧感を感じる。
 

 ウェストレイドは小高い丘の上に作られている様で都市を囲む高い防壁があるにも関わらず、その全貌が、ここからでも見える様になっていた。

町の周囲に背の高い木や建物が一切無いから余計に目立つ。

町と言うより、まさに『要塞』だ。



 それから、更に近付くと異変を感じた。



「あれは!?」


 
防護壁の上部と下部で動きが見られたのだ。


目を凝らすと上部にいるのは鎧を着た兵士か冒険者に見える。

そして下部の方に視線を向けると明らかに人ではなかった。


大小の大きさ様々で、何よりも人外、モンスターの集団が、まるでエサに群がる蟻のように壁に張り付いていたのだ。


 城塞都市の兵とモンスターの軍勢がぶつかり合い激しい戦闘を繰り広げている。



 良く見ると壁には何ヵ所か破損した所も見えるし、壁の周辺の地面にはモンスターの死体が数多く見られる。

腐敗した死体も見えるので、一日や二日の戦いでは無さそうだ。

それこそ一週間以上は戦い続けているんじゃないかと思える。


「これは……酷いでゴザルな……」


 コウが見つめる先には、人間ともモンスターとも分からない位にバラバラになった肉片が、大量の血溜りと共に広範囲にわたり散らばっていた。

何度か壁の外にも出て戦闘をしていたのか人間の死体の姿も少なくない。


 リリムは、その光景に見続ける事が出来ずに、俺の背中に顔を埋めている。


「結構ヤバいな、完全に壁の外はモンスターに囲まれて逃げ場もないし、何よりもモンスターが多すぎる」


多種多様なモンスターが死体を足場に壁の上部に迫りつつあるのだ。

モンスターの死体だけでも数千体あるが、蠢くモンスターの数は万を優に越えているのは間違いない。


 俺は、レツガに熊車を止めさせると一人で肉片が散らばる広野へと降り立った。


「……………フレア」


 俺は魔力をこめて、広野へ火魔法を放つ

 辺り一面にあった、肉片や血溜りが、その熱によって消えていく。


 その後も俺は、フレアを何度も放ちながら戦場を移動していく、どうやらモンスター達も気が付いた様で、俺達の方へと向かう者も居たが、あっという間に「フレア」の餌食となって消えていく。


 そして現在戦いが行われている所まで来た俺は、モンスター軍の後方に居た事もあり、モンスター軍の後方へと手当たり次第に魔法を放っていく。


「お前ら……いい加減にしとけよ?」

 
俺は、前から身勝手に戦争を仕掛けた魔王軍に対して少なくない怒りを感じていた。

今まで戦ってきた魔族や悪魔達の命を軽んじる行為に脳が沸騰しそうになった。


 そして今、目の前で起こるモンスター軍の町を襲っている姿を見て、俺の中で何かが弾けた気がした……それからは殆んど覚えていない。



 どうやら魔力の限界まで魔法を打ち続けた事で魔力切れを起こして俺は気を失ったらしい。


 次に気が付いた時、そこには見知らぬ天井が見えていた。
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